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#2)インカ・ショニバレのバティック(ろうけつ染め)の意味

インカ・ショニバレ(Yinka Shonibare,1962- ):ナイジャリア系のイギリス人アーティスト。(国籍:ナイジャリア、イギリス)
絵画、彫刻、写真、インスタレーションアート、パフォーマンス他。

作品について、特筆すべきは「*バティック(Batik)」という素材だ。
鮮やかな色と奇抜な柄が特徴の綿布「*バティック(Batik)」を用いて、ヨーロッパ植民地主義時代を彷彿させる衣装をまとう人物像、そして、前述したが、絵画、彫刻、写真、インスタレーションアート、パフォーマンスなどを手がける。
(註)*「バティック(Batik)」とは、インドネシアの「ろうけつ染め」を元にヨーロッパ(オランダ)で製造され、やがてアフリカ(アフリカンワックスプリント)に根づいたものだ。要は、オランダの植民地下でのインドネシア(1800年代)にて、産業化されたものだ。インカ・ショニバレは、アフリカからの由来と思われがちなバティックを素材に使うことで固定観念にくつがえし、その背景、そして、人種や階級について再考させられる表象だ。
余談になるが、第2次世界大戦時、インドネシアが、オランダから、ある意味解放され、日本の統治下(植民地ではなく、インドネシアの自立の方向性を伴う要素もあったとも言われる)となると、日本文化も取り入れ、日本の着物の文様(日本の花鳥風月等の文様等)のあるバティックが製作された。

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                   (c)Yinka Shonibare

略歴-Yinka Shonibare
1962年、ロンドン生まれ、3歳からラゴス(ナイジェリア)で過ごす、そして、17歳のときにロンドンに戻った。ただ、18才の時には、横断性脊髄炎を発症している。そして、現セントラル・セントマーチンズ芸術大学(美術)を、ロンドン大学ゴールドスミス(芸術学・哲学)を学ぶ。いわゆる、YBAs(Young British Artists)の最初の世代だ。
それ以後、ロンドンを拠点に多様な活動で知られる。
・・・・・・・
そして、2000年以降は、
2003年、ロンドン大学(ゴールドスミス)-名誉フェロー
2004年、ターナー賞にノミネート
2010年-以降、野外彫刻を多く制作している。
2010-2012年、トラファルガー広場の台座を用いたプロジェクトでは、黒人アーティストとして初めて作品が選ばれた。第四の台座には「ボトルの中にあるネルソンの船」(Nelson's Ship in a Bottle -2010)が設置された。
2012年、ロイヤル・オペラ・ハウスの建物壁面に飾る回転式のオブジェ「ローブ・ヘッド・バレリーナ」
2014年、「風の彫刻(Wind sculpture )」シリーズ・バティックが風によって、はためく様なパブリックアートを発表する。
2016年、「風の彫刻(Wind sculpture シリーズ)」のスミソニアン国立アフリカ美術館(NMAA-ワシントンDC)の前に設置される
2016年、「BODY/PLAY/POLITICS」(横浜美術館)- 映像作品:バティック製の19世紀フランス風ドレスの黒人歌手が、オペラ「椿姫」のアリアを歌う。
2018年、グッドマンギャラリー(南アフリカ・ケープタウン)「風の彫刻(Wind sculpture シリーズ)」収蔵された。

また、多くの栄誉も受けている。
2005年、大英帝国勲章五等勲位(MBE)、そして、2019年、三等勲位(CBE)を授与
2013年、ロイヤル・アカデミーの正会員(RA)

最後になるが、半身麻痺の障害を持ちながら、その健闘と姿勢は、その栄誉に値するという事だろう。

Yinka Shonibare: the rebel within/Channel 4 News(BBC)



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