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アイデンティティのマルチバース:Avital Meshi

アイデンティティのマルチバース:Avital Meshi

AI アーティスト Avital Meshi は、異なるアイデンティティの「マルチバース」を作成した。
(註)マルチバース:多元宇宙/マルチ(複数)とユニバース(宇宙・世界)からの造語

集合的無意識は実在するのか?

集合的無意識は実在するのか?
カール・ユング(Carl Gustav Jung,1875 - 1961/スイスの心理学者)の思考と行動の歴史の共有に関する理論は、クラウドソーシングされたデータと人工知能 (AI) によるその解釈の形で現れる。
サンフランシスコを拠点に活動するアーティスト、アヴィタル・メシは、パフォーマンスとニューメディアの分野で活動し、人種、ジェンダー、美、セクシュアリティに関する広範な文化的態度を理解しようと努めている。
AI が生成した何百もの自画像から組み立てられた Avital のインタラクティブな壁画-「This person is not me」(私じゃない誰か)は、特定の言葉を取り巻く個人的かつ、蔓延(まんえん)している固定観念を視聴者に考えさせる。

「金持ち、貧乏人、愚か者、失業者、トランスジェンダー・・・これらの言葉は、ステレオタイプ(固定観念)のイメージを引き出す可能性があり、規範と偏見を増幅する可能性があります」
「たとえば、『美しい』や『醜い』などの言葉が、どのように視覚化されているかを尋ねることができます。そして、私たちの社会が、これらの言葉の基準を作成する方法について、それはどういう意味がありますか?」

- Avital Meshi

This person is not meの画像を生成

オンラインで、AI プラットフォームAstriaを使用して、 This person is not meの画像を生成し、Avital はアルゴリズムに自分の画像を入力し、顔の特定の面と曲線を認識するようにプログラムをトレーニングした・・
(註)AstriaTailor-made AI image generation リンクされています。

Astria:Tailor-made AI image generation 

トレーニングが完了すると、Avital はアルゴリズムに「黒人」、「セクシー」、「スマート」、「アジア人」などのプロンプトを与え、アルゴリズムは、そのプロンプトに基づいてアーティストの画像を吐き出しました。
「テキストと画像を組み合わせて自分自身の非常に多くの画像を作成することは、無限のアイデンティティ(自己同一性)の枠組みの中で自分自身を見ることができる『多元的な美学』を表しています」-Avital
「これらの画像を見ると、自分自身を認識することができますが、同時に、それらはすべて、私にとって異質な要素を持つ「他者」を描いていることに気づきます。」
参加者は、壁画の拡張現実レイヤーにアクセスする前に、どのプロンプトが、どの肖像画につながったかを推測しようとすることがよくあります。これにより、根底にあるプロンプトが明らかになります。

by Avital Meshi
by Avital Meshi

アイデンティティと社会構造

「この種のアイデンティティツーリズム(人種的、民族的、社会経済的、性別のアイデンティティを想定する行為)には批判がつきものです」と彼女は続け、AI によって生成された画像は「私たちの社会に組み込まれた価値観と構造的思考の井戸から引き出されている」と述べている。
言い換えれば、AI を利用した画像は、私たち自身の偏見、つまりアイデンティティ(自己同一性)と社会構造に関する私たちの集合的な考えをアルゴリズムが大まかに近似したものを反映しています。
「自分自身をこれらのアイデンティティの1つと見なすという考えは、アイデンティティのステレオタイプな概念の下で生きる経験や困難を理解できることを意味するものではありません」と彼女は言い、集合的無意識から切り離された個人の経験の重要性を強調します。

「これらの画像を見ると、自分自身を認識することができますが、同時に、それらはすべて、私にとって異質な要素を持つ「他者」を描いていることに気づきます。」- Avital Meshi

- Avital Meshi

(註)Morgan Laurens(アートライター)の言説を参考にしております。

アビタル・メシ (Avital Meshi)

アビタル・メシ (Avital Meshi,1978- /サンフランシスコのメディア&パフォーマンス・アーティスト)

Avital Meshi

ニューメディア(AI)、パフォーマンス アーティスト
イスラエル、エルサレム生まれであり、主にサンフランシスコのベイエリアを拠点とする。
人間と機械がどのように相互作用するかを扱うリレーショナル美学と新しい美学理論に触発され、Avital Meshiは、AIアルゴリズムが社会的行動と社会環境にどのように影響するかを探求するパフォーマンス・アートの実践を発展させた。
Avital Meshiの作品は、テクノロジーよりもエージェンシー(agency/行動する能力)を取り戻すことができるということを人々に教えてくれる。

Video Work by Avital Meshi

Avital Meshiのアートワーク

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