機械力学から見る剛体運動論 -4-
様々な剛体運動について考える「機械力学」ですが、その内容は高校物理の範疇から高度な数学の知識を使うところまで。長いスパンで関わるであろう、機械工学系の基礎になる学問です。
今回は数回に分けて、機械力学の話を深掘りしていきます。前回は現実の問題を対象に、運動方程式を立ててから動力学の特性を把握する手順を示しました。
実例として、振動計測器の基本的な原理について触れました。現実の機械(機構)の特性を深掘りすると、面白い発見があります。今回は複雑な系に対して運動方程式を導く手法(Lagrangeの方程式)を説明します。
Lagrangeの方程式
単振り子に代表される1自由度系のモデルでは、運動方程式を立てるのは容易ですが、2自由度系や複雑な機構を有するモデルでは、難易度が一気に高まります。そのような状況を解決するのがLagrangeの方程式です。
全運動エネルギーをT、全位置エネルギーをU、散逸関数をDとして、保存力や粘性減衰力を除いた一般力をQとすると、
$${\frac{d}{dt}(\frac{\partial{T}}{\partial{\dot{q_r}}})-\frac{\partial{T}}{\partial{q_r}}+\frac{\partial{U}}{\partial{q_r}}+\frac{\partial{D}}{\partial{\dot{q_r}}}=Q_r}$$
ここで、rは自由度、qは一般座標です。この数値に応じて運動方程式の個数が決まります。常微分と偏微分の両方の演算子が出てきますので、両者の違いを意識しながら取り組みます。
1自由度系の運動方程式の導出
1自由度系(単振り子よりは機構が複雑)において、運動方程式をLagrangeの方程式から導きます。
今回は1自由度なので、運動方程式は1個です。一般座標qはxとします。ここでの全運動エネルギーは、円板の並進運動と回転運動を合わせたものです。また、減衰の機構が無いので、散逸関数Dはゼロです。
運動方程式まで導ければ、そこから固有角振動数を考えることができるので、大まかな動力学の特性を知ることができます。
今回の運動方程式は線形の微分方程式ですが、機構が複雑化すると非線形の微分方程式に変貌することが多いです。その場合はエネルギーや散逸関数を微小振動の仮定の下で線形近似します。
おわりに
今回は機械振動の運動方程式を求めるテクニックのひとつとして、Lagrangeの方程式を紹介しました。
数学的な部分で高度なところもありますが、実際に手計算を繰り返していけば、自然に慣れると思います。自分も以前に学校のテスト対策でこの手順を繰り返した記憶があります。
次回は多自由度系の機械振動を見ていきます。数学に関しては固有値問題が新しく出てきますが、実際に計算する流れを見せていければと思います。
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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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