車椅子の方が映画を「普通に」観ようとして観れずに炎上した件から、技術の進歩で克服できる話が出来てない事の元凶について考えてみる。
さて、半月過ぎました。
実は、「女性と性表現」シンポジウムに関連してなにかかけないかな。と考えてましたが、結構な騒動が16日の土曜日に出てきたので、そちらの方を先に書いてしまいます。鉄は熱いうちになんとやら。で…。
シネコンのグランシアターで映画を観ようとしてできなかった車椅子の人が、ネットで怒りぶちまけたら、大炎上。
とある、車椅子を使ってる障害者の女性が、イオンシネマでグランシアターで映画を観ようとしてトラブルになって観れなくて、ツイッターで怒りぶちまけたら大炎上したと言う事件が起きた訳です。と言うか、今も炎上が続いてる。
これ、三年前にも似たような事件があったんで書いてるんですが、こういう時に、何かにつけてその場で働いてる人や経営者と障害者を対立関係としてみちゃう話で、障害者が怒るのを傲慢だとか社会に余裕がないのに無理を強いるのか。と言って障害者を批判する人たちと、障害者が怒ってるのを批判するの自体が差別だ。怒るのは正当な理由があるからだ。と全面的に障害者を擁護する(少ない割合の)人たちにすっぱり分かれきってしまってて、対話もへったくれも無くなってるのがまた繰り返されてるんで少しうんざり目だったりもするのですが。
この問題の根本は2つあると思ってて、
バリアフリーに限らず、障害者が「普通の人」でないから無理にのまされてる不都合とか手続き型草なることに対して、どう考えるか。と言う辺り…結局は、技術やシステムがある程度あってもお金がない・人がいないので出来ない。と言うことが年々増えてること
障害者という「普通のことを普通としてできない人たち」が「普通の社会」に入り込んでくることで、「普通の人たち」が「普通にできなくなる」こと
にまとめられると思うんです。
あとの方については、私はあんまし考えてないし今回は書かないつもりです。
バリアフリー化が進行し、4月から「障害者への配慮の原則義務化」が法律で施行される状況にある今現在。
その上で、まえの方にだけ書いていくことにしましょう。今は、昔と違って、あとの方をまえの方で解決できる範囲が急速に拡がっていますから。
今、多くの大きな駅やランドマーク、ショッピングモールなどで車椅子の人たちが動きやすいような「バリアフリー化」がされてる一方で、ローカル線の駅や雑居ビルなどではなかなか進んでない。と言う問題が残ってる訳です。
バリアフリー化はかなり進んでるけど、しかし、進んでいないところもまだまだ多い。
建物のスペースの問題でエレベータとか車椅子などを登り下りさせる機械がつけられない。場所がない。と言う場合もあるでしょうけど、「おかねが出ない」から出来てない。と言う場合も多い訳です。採算性が取れないとか費用対効果が悪すぎるとか、後は、そこを運営してる会社や家主さんにお金がないから。とか、そういう身も蓋もない問題が最大の理由と言っていいと思います。
そして、今回問題になってるの、設備の問題と同時に、映画館で働いてる人に車椅子をもたせるのか?怪我したらどうするんだ?とか、車いす用の場所があるのになんでそこで見ないんだ?とか、そういう話になってる訳です。
要は、根本はお金がない・人がいないから起きてる問題が、なぜか、現場で働いてる人・労働者の事を考えないわがままな障害者。と言う対立関係になっちゃってる訳ですね。
これ、不謹慎になるけど非常に面白い構図で、障害者が不都合とかを訴えると、毎度毎度、最後はこうなって、障害者の人が批判されて(でも、ひっそりと設備が改善されたりもして)めでたしめでたし。となっちゃってる訳で、それで本当に済ませてていいのかなぁ?って思うんですよ。
外殻型パワードスーツという新しい技術の導入で、相当部分の問題が解決できるのではないか。
労働者の側の安全性とかの問題に関しては、実は、解決策が出てきてる訳です。すでに三年前にも(このnoteでは書いてなかったかも知れないですがTwitterでは触れてたと思う)技術的には現実性のある形で、車椅子を担いだりなどする人たちの負担を減らして危険性も減らす、いわゆる「外殻型パワードスーツ」と言う画期的な機械が商品化されて、倉庫や介護現場などで使われ始めてた訳ですね。
三年前、伊東線の無人駅で電動車椅子を含めたら100キログラムを超えるような人と物を担いで運ぶのは非現実的だ。と言う形で障害者の言い分を批判する人が相次いでましたけど、その時ですら、パワードスーツなどの活用によって、危険性も負担も劇的に減らすことが出来てたんですよ。そこら辺、主にTwitterで私書いてたと記憶してますけど、でもまぁ、当時のTwitterはとんでもなくダメな会社だったのでシャドウバンされてたので私の書いた話はほとんど広まらなかったのですが。
軍事目的で00年代後半から一気に進歩・普及し始めたパワードスーツ技術。
2000年代頭。アメリカ軍がアフガニスタンやイラクに攻め込んだ時に問題になった中でも大きかったことの一つに、兵隊さん達が、武器弾薬や食糧などを沢山担ぎながら長期間渓谷や山の中を歩かないといけないので負担が半端ないというのがあったのです。
これを解決する目的で、米軍のDARPAなどが兵隊さんの負担を減らすための、「力を増やすような・疲れさせないための」パワードスーツの実用化の為の研究に予算を大きく投じたし、ロシアや中国でも同様の動きがあった。ということがあって、国家間で開発競争が起き、2010年代に一気にこの手の製品が進歩したんですね。
人に負担をかけない・力を助けるという「パワードスーツ」。
このパワードスーツ、SFアニメや映画などでよくあるやつまでは行かなくて、腕や足・腰などを機械で支えてかかる重さを減らしつつ動かせる力も追加していくことで普通の人なら持ち上げられないような重い荷物を簡単に持って運べるようにする。数時間はそう言うふうにやって疲れないでいける。というものなんですが、この五年間くらいで一気に商品が出てきて病院や介護施設、倉庫や工場を中心にして日本でも入れられ始めてるんです。
https://jpn.mizuno.com/poweredlife/mizunoadapt/powerassistsuit
今や、軍用のパワードスーツが、長時間動かせることやとてつもない頑丈さなど、要求される条件の厳しさやお値段の問題で普及がなかなか進まない中で、民間向けのほうがどんどん普及して進歩もしてる。
パワードスーツの普及のためには、おかねがかかる。
今回の騒動に話を戻すと、この問題を解決できそうな能力のあるパワードスーツ、実際に介護現場や工場などで使うためのパワードスーツを売ってる会社のホームページを見ると、初期費用が70万円から200万円位となってて、当然メンテナンス費用とかもかかるのですが、特定の職種に限るならば、国からの補助も相当入るようになってるんですよね。
厳しい労働環境のところでの労災を減らす目的で、電動に限らないパワードスーツや外骨格の普及にある程度ではあるけど国も力を入れ始めてる。
人手不足、低賃金、そして、企業と投資家が儲け続けるための人減らしも続いてる。という問題。
もう一つ。人手不足という問題があるわけです。
私は神奈川県に住んでるからもっぱら、JR東日本のお世話になることが多いのですが、2010年代の後半から20年代の頭にかけて・特にコロナ禍の中で、一気に駅員さんが消えたし電車のワンマン化も進んだ。
これは、鉄道会社が利益を確保するために人をどんどん減らしていってる。しまいには安全の為に必要な人たちまで減らしたり外注にしたりしてるという事も絡んでたりするんですけど、その分、車椅子を使ってる人とか杖をつくなどしてる人たちや目が見えないなどの人たちにとって、鉄道が使いにくいものにされてるわけです。だって、困ったら助ける人が減らされてるんですから。
そして、駅員さんとか運転士さんとか、駅に常駐してる警備員さんなどの負担は、人が減っても客が劇的に減ってるわけでもないんだから、却って厳しくなってる訳ですね。
JR東日本の(少数派)労働組合の一つである動労千葉とかは、まさに「人減らしをやめて車いす対応をできるようにしろ」って要求を出したりまでしてる…
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