早野「インチキ論文」事件・広河セクハラ事件から、原宿竹下通りテロ事件まで見直して、この国のことなかれ主義の核心について新年に考える。

 あけましておめでとうございます。
 昨年中は、お読み頂きありがとうございました。
 本年もよろしくお願い申し上げます。
 昨年末、急に忙しくなって最後の文章を書く余裕がなくなり、三が日まで色々とあって、一通り終わったら一気に気が抜けて寝込んでました(;_;)
 やっと、まとまったものを書くだけの気力がたまったので、書いてみようと思います。
 で、昨年末から今までに、一気に色々ととんでもないことが出てきた訳ですよ。

早野龍五・元東大教授の「インチキ論文」疑惑問題。

1つ目。
 「放射能被曝は大したことない」「福島県民は避難すべきでない」って説いて回って多くの「リベラル系の」文化人たちやマスコミまでもが言う事信じていたような元東大教授の学者さんが、伊達市の被曝状況を調べた調査で複数のインチキをやってたり・個人情報の取扱規則を無視して論文を発表していたりした。と言うのが発覚して、当時在籍してた東大が調査に乗り出したり、発覚した事実を入り口に有志がいろいろ調べはじめていて色々な疑惑が掘り返され始めてる訳です。


 この学者さん・早野龍五氏は、一年ほど前に私も取り上げてますが、余りに非科学的な「結論ありき」の研究や物言いを、東日本大震災で福島第一原発が吹き飛んだ当時から繰り返し、「放射能被曝を恐れたり・福島の現地の人達に避難するようすすめるのは”福島差別だ”」って主張してたわけですよ。


 そして、あろうことか、その主張が(元々原子力推進の仕事をしていた人達だけでなく)マスコミの中の人達の多くにも、文化人や学者の多くにも・それこそ、「リベラル」を自称してる文化人や政治運動家などの間にも一気に広まってしまった。
 そして、あくまで「被曝を強制すること自体が差別ではないか」「被曝しない権利を奪うな」「自分の身体を守るために自分の目で確かめ考えろ」などといい続ける人たちに対して、直接的にも間接的にも攻撃を煽り・ミスですらないようなミスを「差別だ」と煽り立てるようになり、日本社会の空気が本当におかしくなってる訳です。

 今や、放射能の被害を訴えることも、被害の深刻さや「除染」のいい加減さ、チェルノブィリ事故で起こったような、「ガン以外の放射能被害と疑われる病気」(橋本病や心臓疾患など、広範囲に渡るのですが)と福島第一原発の事故の因果関係を疑うことすら「差別」とされ、「放射能被災地の食物を食べるのは本質的に危険なのではないか」って科学的に当たり前のことを言えば、「差別者」「デマ吐き」と攻撃され、「被曝の実態を伝え、被爆した人々の力になりたい」って活動してきた方が選挙に出ようとすれば、「デマ」「差別者」の大合唱に「リベラル・左派」のかなりも加わる始末。

 そういう、日本社会の、この八年弱で一気に進んだ「道徳的崩壊」「反知性主義化」というものの中枢にいるような方のインチキが、少しづつではありますが公の場に曝されつつある訳です。

「DAYS JAPAN」広河隆一氏の長年のセクハラ行為がやっと告発される。

2つ目。
 原子力産業の問題や外国の紛争地帯を取材してきて、この何年かは「デイズジャパン」と言う雑誌を立ち上げていた広河隆一氏が、実は非常に「女性にだらしない」を通り越して、若い女性とみるや自分の地位を使って無理やり性行為したり・パワハラを常習的にやったり性行為以外のセクハラも常習的にしていた。と言うのが、週刊文春に告発した人が出て、表に出てきた訳ですよ。

 それで、周辺にいた人達の中でおしどりマコ氏のように「自分が鈍感でそのような事があったとわからなかったのを恥じて謝罪したい」って言う人が非常に少なくて、「なんとなくだけど知ってた」「具体的な話をいくつも知ってたけど、そういうものだと思ってた」「色々あって言いにくかった」とか言ったりする人が、彼のいる、私が「運動ムラ」と呼んでるような「左派・リベラル」の界隈…左翼という括りでは、一つの「地方」に過ぎないのですが…では続出した訳ですよ。その中には、人権団体の代表を務める弁護士さんのように、実際の相談を被害受けてた人から受けていたのに、なぁなぁで済ませてもみ消してたのが発覚した人まで出る始末。

 そして、大半の人が、「広河氏は責任取れ」って合唱を、今更始めてる。
…なぜ、今更言うのか?広河氏が「デイズジャパンを廃刊して会社を畳む」と去年半ばに宣言する前に、きちんと問題化しなかったのはどうしてか?と言う事がある訳ですよ。去年辺りからこの問題が始まったのでもなく、非常に前から同じような問題を繰り返してきてた。と言う話で、それを知ってて知らないふりしてた人が確実に沢山いる訳です。週刊文春が報道しなければ・デイズジャパンが続いていたら、彼らが全力で広河氏を護り・被害を訴えた人を口汚く罵り陰湿に嫌がらせして追い出してたのが目に見える訳です。そういう人を、私は何人も昔見てきてますので。

日経大暴落

3つ目。
 日経平均株価が、年末に暴落しました。しかし、多分年金のために国がためていたお金やゆうちょのお金を使って無理やり20000円をわずか超える所に持ち込んで年を越したのですが、1月4日の大発会の時に再び暴落して、またまた国のお金で下げ幅が大きくないように見せようとしてる訳です。

 マスコミも、この問題が「アメリカのダウの影響だ」とは言っても、「この7年間、国が法外なお金を一部の企業…ユニクロなど…の株を買うのにつぎ込んで、それで無理やり相場を上げてきていた反動が起こってる」とは口が裂けても言わない訳ですよ。
 既に、この何年かで、年金やゆうちょなど、本来ならば私達ひとり一人の生活を支えるために国が持っていた貯金を、一説には60兆円以上、日経平均のつり上げと無理やり円安にする為に「溶かして」しまってる。
 本当に、酷いものですよね。その半分でも、福祉の向上とか教育費の無料化とか失業者が無理しなくていいようにする対策とか、バスや電車の本数増やしたり働いてる人の給料を上げるのに使われてたら…勿論、原発や大地震の被災者の人達が生活を立て直すためにも、原発の被災者には新しい土地を与えて「地域」を作り直させるためにも使われてたら…。

 今「マスコミが好景気だと言っても景気悪くなってる」と言う訳わからない状況を、かなり吹き飛ばせてた可能性が高いんですよね。なにしろ、60兆円と低く見積もっても、30兆円使う訳ですからね。

「うそつき社会」の必然的な結末。

 要は、この国というのは、前々から繰り返し書いてますけど、「声の大きな人や権威や権力を握った人がやりたい放題・うそつき放題にするために、制度も教育も国民の意識も、長年作り変えていった国」なので、それを目論んだ1970年代辺りから90年代あたりの偉い人達が望むような構造に、日本がなった結果なんですよ。今挙げた3つの事って。

 私達の多くは、何が大事なのかすら気付かされないように育てられ・社会の荒波で尚更そう刷り込まれ、その結果として何をしていいのかわからないという事になってるんですよ。そしてそれは、「意識高い人」「自称リベラル」のような人達が、相手の状況を無視して・現実にあることも無視して、「自分(だけ)が素晴らしいと思う事」を社会全体に押し付けないと気がすまなくなってどんどん色んな人を悪人扱いして罰を与えるように訴えたり、自分たちだけが利益を得られるような事とセットにした「正しさ」を社会全体に押し付けるべく政府や与党や警察に取り入って手を組んで法律を作ったり運用決める場に入り込むのが当たり前。と言う、非常に腐敗してると言っていいような事が当たり前になってる。そうでないことを見つけ出すのが難しくなるくらい当たり前に。

その結果、どうなるかといえば…

原宿・竹下通りで元日夜明け前に起こった大量殺人未遂事件。

4つめ。
 東京は原宿で、新年早々と言うか除夜の鐘が鳴り止んで間もないくらいの夜明け前に、沢山の人が車で轢かれて大怪我をしました。そして、その車に乗ってた人は逃げたんだけどすぐに警察に逮捕された訳です。逮捕された後で、この犯人は「明治神宮で自作の火炎放射器使って周りを火だるまにしようと思ったけど故障して使えないので」「車で竹下通りに突っ込んで沢山殺そうと思った」と言ってるようなんですけど、この人が精神をやんでる可能性のことも含めていいますけど、物凄い絶望を抱えてるように思うんです。自分の状況は悪くなる一方で、悪くなったのは自分が悪いと思い込まされ、社会からもなにからも孤立している。原宿でキラキラしてる「リア充」みたいな人達には、どう頑張ってもなれないし、ひょっとしたら前になろうとして周りから袋叩きにされた経験をもってるかも知れない。

 そりゃ、精神病んでも仕方ないのかも知れないのですが、しかし、私が思うのは、こういう「絶望」を一部の個人に押し付けて、社会の問題や自分たちがしてきたことの問題をないかのようにことなかれ主義的に振る舞ってきたことが、巡り巡って、この社会の疲弊や破綻・崩壊を巻き起こしているんじゃないかと思うんですよ。

 問題をないかのようにしてことなかれ主義に徹していれば、自分の身の回りは「安全」でも、社会全体とかの大きめの括りではどんどんと腐ったり不都合がたまったりするんですから、結局、そこを誰かが背負わないといけない。この犯人のような人であったり、最初の話に戻すと、原発事故で放射能汚染が酷い所にいまだ住まわされたり汚染がよろしくない食物を食べさせられ、病気になっても原発事故が原因ではないと言いくるめられ・言いくるめられないで被害を訴えたら「差別者」「頭のおかしい人」って攻撃されるような少なくない人達なんかもそうだし、広河隆一氏や鳥越俊太郎氏のセクハラ・パワハラ問題の時もそうだった。。

 そういう末端の個人に押し付けてなかったことにしてる間はいいんですよ。本当は良くはないし、私にとっては破滅まっしぐらの道が見えて恐怖すらしてましたけど。

 そういう押し付けるというのも限界があって、要は、押し付けられた側は耐えきれなくなるし、社会全体からすれば腐敗や歪を拡大させ続けてどんどん腐敗や歪の方に社会が支配されれば、今まで廻ってきたことが廻らなくなったり、足りていた物が足りなくなったりするのが普通になる。アベノミクスみたいな腐敗の王様みたいな事を放置したから、日本の社会にお金が廻らなくなり・殆どの人が喰うや喰わずのところまで追い込まれてる訳で。

 今年は、4つ目で書いたような「孤立させられ絶望に追い込まれた人が一人でやるテロ」が頻発するのではないかと思います。そして、その流れは目ざとい人なら何年も前から予想していて、それが反米武装勢力などであるなら、水面下で爆弾や毒ガスを抱えて自爆テロする人をリクルートする事を、当然考えて準備してきてるでしょう。何十万か何百万かの報酬と引き換えに、自爆テロを絶望してる人にもちかける。特に、来年はオリンピックですし、「米軍の属国」(誤字ではない)である日本を攻撃するにはうってつけの二年間ですからね。

 今年、私達はそういう悲劇を経験するかも知れないし、それに間に合わないかも知れないけど、一人一人が今までの社会の有り様や自分たちがことなかれ主義で来てしまったことをきちんと見つめ直して、反省しないといけない所を反省して、そこで見つけた「やるべきこと」をやっていき、又、全く違う考えの人達とであっても議論しつながり、交わって、いろんな流れを作り上げるように意識的にしないといけないと思うのです。
 悲劇が繰り返されないためにも、悲劇を連鎖させないためにも、自分のできることから・自分の周りを変えることから、つながっていくことから、生き残りにつなげましょう。

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