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「先生と話したあとから息子が変わったんです」《本音を引き出す大切さ》


その子は楽観主義で、
のんびりしている男の子でした🦥

ゲームに精を出し、ご両親や先生に呆れられ怒られる日々を送っています。

そんな彼を前に、お母さまは、

「きっとホームレスになっても楽しめてしまう性格」

「テストで点が取れなくても焦らないし、高校も行かなくてもいいなんて言う始末」

「本当に呑気でもうどうしたらいいか分からない」

「なりたいものもないし、ゲームばかり。
部活は楽しいみたいだけれど」

と嘆き、途方に暮れていらっしゃいました。

お母さまのお気持ちもわかると同時に、
わたしはこんな風にも感じていました。

【この子は今の時代にものすごく貴重な素質を持っている

人と比べ焦ったり、卑屈になるのでなく、

どんな状況においても楽しめてしまう、
というのは才能のひとつ

闇雲に叱っても問いただしても話を聞いても、
この子にはきっと届かない】

その日、わたしは本人を呼んで1:1でお話をしました。

🌈┈┈┈┈┈🌈┈┈┈┈┈🌈

⚠️本音を引き出す環境をつくることで、自己肯定感を下げず、納得して自ら行動を起こしてくれるようになる。そのためにここで気をつけることは


子どもたちと真剣に話をしたい時、
大切なことは

🦩こちらが主導を握らないこと

🦩とにかく本音を言える環境を作り、それを必ず受け止めること

🦩口だけにならないこと(どういうことなのかこの後の説明で書きますね)

🦩和やかな雰囲気で行うこと、

です。自論ですが、ひとつずつ説明しますね🐵

🦩

こちらが主導を握らないこと

>>

まず、保護者の方とお話した後、
お子さんと話す際に言ってはいけないことは

「おうちの人と話したんだけど/聞いたんだけど、」のひとこと。

これを言われた瞬間に、
あぁ、自分のことをネガティブに言われたんだなと警戒する子が多いと感じます。

その瞬間、子供たちにとって先生(私たち)は、
自分を責める人間という認識になってしまい、
なかなか本音を引き出しづらくなります。

(その子と保護者との関係にもよりますが)

もちろんこうはいっても伝えてくれる子たちはいますが、
そういった子たちはコチラからアプローチをしなくとも「愚痴」はこぼしてくれやすいのです。

けれど、そういったタイプの子達に対しては、違ったポイントに大切なところがあって、
それは「共感」なんですね。

話が逸れたので戻します。

ですので、初めは必ず会話形式ではじめます。

すこし笑ってくれるくらいが大切。

リラックスしてもらい、この人なら大丈夫かも、と思ってもらうことが大切だと思っています。

子供たちは大人より敏感に本音や本質を嗅ぎ分けるので、ここで無理やり問題を解決しようとしたり、雑な会話になってしまうと子供たちは警戒したままです。

(もちろん、「おうちの人から聞いたんだけど、」という一言なしでは会話が進まないケースもあります。

「なんでお前がそれ知ってんの?」と不審がられてしまうケースです

その場合はきちんと言いますが、特に内向的な子たちにはゆっくり、丁寧に言葉を運ぶようにし、

保護者も私たちもあなたを責めたいのではない、という気持ちが確実に伝わるように話します。)

🦩

とにかく本音を言える環境を作り、それを必ず受け止めること

>>

私が強く大切にしていることは、
子供たちが自身で納得して言動を変えてゆくこと。です。

例えば
戦争は良くない
イジメは良くない、
と、しょっちゅう学校で教わります

勉強しなきゃダメ、の刷り込みもそうですね

けれど、ダメな理由を体感で分かっているのか?
が大切。

例え、「なんでダメなのか分からない」という意見が出ても、否定しないこと。

そこからのアプローチが、
本当に大切になってきます

🐈‍⬛例えば「これは良くないよ」と伝えたい場合
(ゲームをやめてほしい/勉強してほしい等)、

子どもたちが、自ら「ああ、そっか」と納得し、
行動してくれることがとても大切なので、

そのためにはまず、《安心出来る空気感》と
《この人なら話しても大丈夫》という信頼関係を築くことが必要です。


「なんでAはダメなのか分からない」
と立ち止まり、前に進まないことがあってもOK

無理やり刷り込まされない方が、
子どもたちは自問したり、
自分の意見を耳を傾けようとし始めるからです

そうすると、自分の意見や感じ方を見つけようとするきっかけを与えられます

何も考えずに周りに合わせて同じ言葉を使ったり、同じ行動をとることに疑問を抱かない環境にいさせてしまうよりは良いと考えています。

考えたことは残りますし、
そこで表面上変化がなくてもそれはまだ時では
ないのかなということなのです😌

あとで、あぁ先生や親が言っていたことはそういったことだったのか、と思う時が来てもそれはそれでいい経験なのではないかと。

けれど、その経験は早い方が柔軟に考えられますね🌷

🐈‍⬛もうひとつは、本音を言ってくれた方がどこに問題点があるのかよくわかるから、です。

そうするとその子への接し方もより、
その子にとって心地よいものにしていくことが出来ます。

そして
保護者の方々とお子さんが「同じ出来事を話していても」見えているものは、当たり前ですがほとんど違うということが分かるはずです

保護者から見た視点、
こどもから見た視点、

どちらも大切です


子供が分からない大人の苦しみもあります

一方で大人が分からない/忘れてしまった子供の苦しみももちろんあります。

幼稚園生だとしても、です。

だから、「子どもがそんなこと言うなんて」だとか、「ストレスなんてないでしょう」と決めつけてはいけない。

子供たちはたくさんたくさん、考えています
考えない子たちも、たくさん感じています

表面化に出てきにくいだけなのです
言語化がまだあまり上手にできないので。

だからこそ、そこに寄り添い、共感し、必ずどんな時も味方になってくれる、と思える大人がいることが本当に、どれほど力強いことか。

本音の中に解決策がある

私はそう強く感じています。
そのための、以下

🦩

こちらが口だけにならないこと

>>

よくあるパターンが、「本音を言って」「怒らないから」と言っておきながら、そんな空気感を感じさせない人たち。

そして実際、本音を言っても大人のいいように話を収束させられてしまったり、怒られるパターン。

1度でもこのパターンを見せてしまうと、傷ついてしまったり、信用度が低くなってしまったりします。

警戒している子には、
いいよ本当に本音言って大丈夫だよ~

サラッと言うこと。

怖がっている子には

丁寧に、優しく伝えること。

あまり真剣な雰囲気を出してしまうと萎縮させてしまうので、カジュアルに、お友達にお話をするように話すようにしています。

🦩

和やかな雰囲気で行うこと

>>

そして最後はこれ。

わざわざ萎縮させるような場所や空気を作らない・選ばないことです

(「ちょっといい?」と声をかける時もかたい空気感を出さないようにしています。)

相手によって話し方や空気は変えますが、

例えば1度のお話でもガチガチになってしまっている場合は、無理はさせず解放することも大切だと考えていて、

その場合は軽い世間話などを重ね、
時間をかけて様子を見ます

直接話の核心に触れなくても、
そういったコミュニケーションの中で彼らの心を溶かすものがあるからです。)

𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄

彼の変化

長くなりましたが、
彼の場合もそうだったのです

最初はヘラヘラと笑いながら、
ハイ、しか言わなかった彼。

その様子を見て、
あぁ警戒をしているなと感じました。

彼の様子に私もチューニングを合わせて、
いいよいいよ本音で〜!
勉強面倒くさいもんね。というと、

ハイ!と。

そこから話を進めていくうちにわかったことは、
やはり彼自身も周りからお前やばいぞ、とたくさん言われているのだろうなということ。

本人はそう感じていなかったとしても、
そう言われるうちにモヤモヤする気持ちがあったのだろうなということ。

そして彼は決してナマケモノではなく、
部活には一生懸命であること。

祖父母が大好きなので、
福祉介護の仕事に関心があること

素晴らしいと思いました。心から。
そして彼にこう伝えました

おじいちゃんおばあいゃんが好きだから、
介護の道に興味がある、なんて本当に素敵なことだよ。

そんなことを考えられることが本当にすばらしいし、とても優しい視点を持っていると思う

部活に精を出しているところも、高校に入ったら今の部活が強いところに行きたいと思っていることも、立派な意志だよね。

〇〇は、〇〇が思っているより沢山考えているし、やり切れる人だし、立派だよ。

少し照れて恥ずかしそうにしながら、けれどとても嬉しそうにはにかんでいました。

そしてその後はさりげなく勉強と成績のアドバイスをしたと思います

数日後、
たまたま来校されたお母様が私の顔をみるなり、

「先生とお話をしたあとから息子が変わったんです。なんか違うよねって夫とも話していて。ありがとうございます」

と仰ってくださいました。

後日談

その後、その姿勢を持続し続けるのはやや難しそうでしたが、

これ面白いんです、
と私にカフカの本を紹介してくれたり、

その後も、へぇ!というような視点を
私たちに見せてくれました。

本当に色々な視点を持ち、
関心を持ち、伸びる子だなと感じました。

最後の日には手紙を書いてくれ、
笑いと涙ありの別れとなりました。

もちろん、全てがすんなり1回で上手くいく訳ではありません。

でも大切なことはどんな時も信頼してくれる大人がいると、子供たちが思える環境をつくること。

〇〇が出来ないからヤバい、ではなくその子のワクワクや関心を、よりすくい上げること。

そこにある力や魅力を、
実感してもらう体験をつくること。


考えさせ、感じさせ、
そのどんな意見も大切に受け止める
こと。

自分の経験から、その子の選択肢を心配しすぎないこと。

これからの日本の教育はより、個人に沿ったものになっていくと確信しています。

日に日に、少しづつ、ゆっくりでも着実に、
子供たちにとって
日本にとって
輝かしい未来を創れるように。

たくさんの子供たちが、己の中にある
それぞれの力やワクワクをもっと見出し、
自信を持てますように。

そう感じています。

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