【アラスカ旅日記】 オーロラをみるまで帰れません!
今夜は絶対オーロラを観る!
好条件と予報が出ているこの日、強い決意と共にこれでもかと防寒対策を整え向かった先はフェアバンクス北東にあるクリアリーサミット。
宿泊地から車で20分ほどのところにある峠の一角は見晴らしもよく、駐車スペースもしっかり確保されていた。
時刻は21時過ぎ、すでに10台以上の車が停まっている。
意気揚々と車を降り、空を見上げた。
この日は雲もなく天候は良好。
光害の影響がない山中だが、満月の翌日とあって空はかなり明るい。
星は見えるが、天の川は確認できない、そんな状況だった。
外で眺め続ける人もいれば、車内で待機する人もいる。
多くの人がスマホを空に向けオーロラを探している。
事前情報によると、ぼんやりしたオーロラは雲と区別がつきずらいそうだ。カメラを通すことでその色が浮かび上がるらしい。
私も同じようにあちこちの方角に向けスマホのカメラを向けるが、設定が悪いのかオーロラが存在しないのか、いまいち手応えは感じられなかったが、これだけ周囲に人るから、オーロラが出ているならば感嘆の声をあげるはずだ。
万全の防寒対策のおかげでそれほど寒さを感じることなかったが、一旦暖かい車内に戻り様子を見ることにした。
1時間ほどソワソワしながら、車内から周囲の気配と空の様子を見ていたがオーロラは安易に顔を見せてくれるわけではなさそうだ。
夫は運転席をフラットにして「オーロラが出たら起こして」と言い残し、いびきを立て始めた。
22時、23時、24時・・・
時折ツアー客一団がやってきて賑やかになるが、オーロラが見えないことがわかりまた辺りは少し静けさを取り戻す。
しばらくは周囲を気にしていたものの、いつの間にか私もウトウトしてしまった。
「起きて起きて!出てきた!出てきた!」
先に起きた夫が興奮気味に私に声をかけた。
時計を見ると、午前1時。
慌てて車の外へ飛び出すと、皆北の方角に向かってスマホやカメラを向け歓声をあげていた。
ぼんやりと雲のような筋が見える。
心なしか光っているだろうか。
スマホのカメラで見ると、確かに目で見るよりもはっきりとした緑色の線が浮かび上がる。
オーロラだ!!!
徐々にはっきりと、肉眼でもオーロラと認識できるようになってきた。
遠くの空に見えたため、頭上でゆらめく色とりどりのカーテンのようには見えなかったが、ようやく出会えたオーロラは確かに幻想的で自然への畏怖の念を抱かせるるものだった。
…と神秘に浸りたかったが、ものすごい人口密度と騒がしさでここが現実世界であることを実感せずにはいられなかった。
これが本音。
あっという間に消えてしまった気もしたが、写真に残る時間を確認すると1時間程度はオーロラが出ていたようだ。
見えなくなってからしばらく粘ったが、午前2時半ともなるとあれだけ賑わっていた周囲の車も数台を残すのみとなっていた。
「さてと、帰りますか」
プロによる写真や映像のように美しい写真を残すことはできなかったが、それでも思い出の一端としてスマホのカメラでも撮影できたことは驚きでもあった。
かじかむ手で撮るにはこれが私の精一杯。それも含めて思い出だ。
滞在4日目、4時間粘ってようやく出会えたオーロラ。
感動と充実感、しかし拭いきれない「思ってたんと違う・・・」そんな心の声を諌めながらも高揚感は続いていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?