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【地中海ひとり旅】カルタゴの待ちぼうけ

 カルタゴから2, 3駅過ぎたところの名も知らない駅に着いてからというものの、この列車は、20分くらい動きません。それにも関わらず、乗客たちはみな穏やかで、雑談をする人もいれば、外でタバコを吸い始める人もいました。たしかこの列車は15時過ぎには目的の駅に着くはずですから、もう15時はとうに過ぎていることを考えると、やはり遅れていることは間違いないようです。

 わたしがあまり焦っていなかったのは、周りが焦っていないということにも増して、幸い今日は特段予定を立てていなかったからなのですが、目的の駅に着いたらミネラルウォーターを買おうと思っているくらい喉が渇いていましたから、そのことだけを、ちょっと煩わしく感じました。

薄暗い車内は、でもそんなに怖くはありません

 そうして、最終的には40分くらい待ったでしょうか。列車には放送によるアナウンスというものが存在していませんでしたから、車掌さんがすべての車両をまわって、何かを言っています。もちろん何を言っているのかは分かりませんでしたが、乗客がみな呆れた顔で降りていくのを見るにつけ、おそらくこの列車はもう目的の駅へ行くことはないのでしょう。わたしは分かったフリをして、同様に、呆れた顔で列車を降りました。

 さて、どうしよう。まずはここがどこなのかを理解してから、そして、どうへ行こうか。その前に、水を売っている商店などは、ないでしょうか。

地中海ひとり旅日記より抜粋
in Carthage, Tunisia Feb.2024

ホームに出て、タバコを吸うおじさん

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