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【欧州ひとり旅日記】更待月のある礼拝堂

 礼拝堂に降る光のかたちが、昨晩宿の窓からみたお月さまの形に似ていて、わたしはどうしてか、寂しさを感じとりました。

 このくらいの形の月を、「更待月“ふけまちづき“」というのだそう。むかしの人々は、このように月の満ち欠けにひとつひとつ名前を付けていましたが、そうやって名前を付けていたのは、月をいまかいまかと待ち望んでいたからであると、どこかで聞いたことがあります。

 さて、昨日のわたしは、残念ながら、お月さまを見て「寂しい」と感じました。雲ひとつないバイエルンの夜空に、ぽつんとひとつ、お月さま。こうしてひとり旅をしているわたしと境遇が似ているとまでは言いませんが、お月さま、あなたもひとり?

 でもねでもね、きっと大丈夫。お月さまの奥には、無数のお星さまが隠れているのです。この広い空の海原に、たったひとりなわけはないのですよ。

欧州ひとり旅日記より抜粋
in Füssen, Germany Oct.2023

礼拝堂に降るひかり

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