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現役戦略コンサルタントが語る!面接でみているポイント(前編)

戦略コンサルタントのアップルです。

今回は、戦略コンサルタントの中途面接の舞台裏(戦略コンサルタントとして活躍する人の特徴と、それを踏まえた面接でのチェックポイント)についてお話します。

アップルは中途採用を中心に数百回の面接をしてきました。その中で得られた面接の暗黙知みたいなものがあります。それを2回の記事にわたってご紹介します。

戦略コンサル業界志望者の方にとっては、自分が戦略コンサルタントに向いているかどうかを知るヒントになるとともに、面接対策にも使えると思います。ぜひ参考にしてください!

戦略コンサルの採用プロセス

戦略コンサルティング含むコンサルティング業界はすっかり人気業界となりました。弊社にも、新卒、中途を問わず数多くの方が応募してきます。結果、入社倍率もかなり高いものとなっています。例えば戦略コンサルティングファームでトップに君臨するマッキンゼーに入社するためには、相当な競争倍率をくぐり抜ける必要があるでしょう。

そこでファームとして必要になるのが、「人材の目利きと厳選」です。コンサルティングファームは「人が資本」のビジネス。数多くの応募者の中からどの人物を採用すべきなのか?採用段階で目利きを誤ると、会社としても、採用された方としても、お互い不幸になるので、採用面接には相当な工数をかけます。

新卒と中途では採用プロセスが大きく異なるため、ここでは中途採用の採用プロセスや面接にフォーカスしてお話しましょう。ですが、基本的に、新卒採用でも見ている観点の多くは共通するものとお考え下さい。

中途採用は複数回面接を繰り返していくことで行われます。ファームによって多少違いはありますが、オファーに至るまでの面接回数は3~5回程度でしょうか。大きなプロセス(それぞれの面接官)は以下です。

一次面接:シニアコンサルタントorマネジャー
二次面接:マネジャー~シニアマネジャー
三次面接:パートナー
最終面接:代表パートナー/社長

これらすべての面接を突破して、晴れてファームからのオファーが出ます。シニアメンバーも含め、複数人で多面的にみることで、徹底的に応募者の目利きをするわけです。

さて、こういうプロセスの中で、ここ数年、私は一次面接~二次面接を中心に担ってきました(現在もしばしば面接しています)。正確に数えたことはないですが、面接した回数は累計で数百回に上ります。

このように面接の経験を数多く積む中で、またプロジェクトリーダーとして様々なコンサルタントと一緒に仕事をする中で、
・入社後にコンサルティングワークでいいパフォーマンスを出す人の特性
・それを念頭に置いたとき、採用面接で何をチェックしておくべきか

について、自分なりの整理というか体系ができてきました。

※このあたりの考え方は、戦略コンサルティングファームのシニアにおいても考え方のばらつきがあるのも事実です。あくまで、こういう見方をしているシニアがいる、という参考例としてお読みいただければと思います

戦略コンサルタントとして活躍する人の3つの特徴

当たり前ですが、ファームとしては採用した人すべてに活躍してもらいたいと思っています(現実的にはそうはうまくいきませんが)。とすると、採用面接においても、入社後に活躍している人の特徴を念頭に置きつつ、それに合致するかという観点で人物を目利きしなければなりません。そうすることで採用の”精度”を担保することができます。

ちなみに、採用面接では最後に質疑応答の時間を入れますが、

「どういう人が御社では活躍されてますか?」

という質問を受けることが実際によくあります。
経験則としてこういう人が活躍する傾向があるということを以下で書いていきますので、コンサル業界を志望されている方はぜひ参考にしてください。

 特徴①:地頭、特に深さと回転が良い

地頭とは何かについては、別の記事で詳しくお話しました。
(5つの要素(広さ、深さ、高さ、回転、発想)に分解して地頭を捉えるべきだということを論じてます。下記をご覧ください)

やはりこの地頭の良さはコンサルタントとして活躍する一つの要件です。ポイントは「採用段階でどの地頭要素を特にチェックしておくべきか」という点です。

コンサルタントとして活躍するために最も重要なのが「深さ」、次に重要なのが「回転」というのが、経験を踏まえた私の結論です。逆に「発想」などは、どちらかと言えば「コンサルティングの経験を積んでいく中で醸成されていくもの」なので、入社時点ではさほど求める必要はないと考えています。

ですので、私の場合、採用面接においても、「深さ」と「回転」の見極めにフォーカスする形で行っています(どう見極めているかは次回の記事でお話します)。

 特徴②:協調性がある

いわゆる協調性です。コンサルティングの仕事は、チームで行います。無論、プロフェッショナルとして「個」での動きや成果も求められますが、プロジェクトチーム全体として顧客に価値を付けられるかどうかがとにかく重要です。したがって「チーム全体の価値にどう自分が貢献できるか」という意識が持てるかどうかは極めて重要です。

つまり、異常にプライドが高かったり、自分の殻に閉じこもってもくもくと作業をこなそうとするような人は、正直不向きです。そうではなく、プロジェクトリーダーの力を適切に借りたり、ほかのコンサルタントともうまくコミュニケーションをとりながら協働できること。これが2つ目の活躍要件です。

 特徴③:行動力と勇気がある

これはあらゆる仕事において大事ですが、特に戦略コンサルティングの仕事では重要度が高いと感じています。理由は2つあります。

【理由1:情報を足で稼ぐことが求められる】

戦略コンサルティングのプロジェクトを成功に導く上の鍵となるのが「質の高い一次情報」です。一次情報とは、グーグルで検索すると出てくるような情報や文献に書いてある情報(=二次情報)ではなく、生身の人間から仕入れた情報です。質の高い一次情報から、クライアントへの示唆を抽出し、戦略へと紡ぎあげていきます。

この質の高い一次情報を獲得するミッションを負うのが、一人ひとりのコンサルタントです。自身の人脈を駆使したり、場合によってはコールドコール(飛び込み電話)でアポをとったりしながら、質の高い情報をもっていそうな人に「インタビュー」をし、情報を仕入れてくる必要があります。いわばメディアの記者のような動きが求められるわけです。

こういう動きを機動的に行えるかどうかは、その人の行動力に大きく左右されるわけです。

【理由2:時に、クライアントに対して”切り込む”必要がある】

我々戦略コンサルタントはクライアントに対して「言うべきことは言う」という意識を持つことが非常に大事です。クライアント側と意見が対立した場合も、こちら側が正しいと思えば、しっかりとそう主張する。客観的な視点で適切な自己主張をすることが、コンサルタントの存在価値でもあります。

逆にこれを怠ると、単なる「クライアントの御用聞き」になってしまいます(実態としてこうなってしまっているチームはどのファームでも散見されると思いますが)。

これは、言うのは簡単ですが、実行するのはまあまあ難しいです。法外なフィーを出してくれているクライアント(お客様)に向かって、反発するような動きをするわけですから、その難しさは想像していただけるかと思います。つまりこれをアクションとして実行するには、行動力と勇気が必要になるわけです。

まとめ

戦略コンサルタントとして活躍する人の特性は、

①地頭が良いこと。特に「深さ」と「回転」
②メンバーと協働できる協調性
③行動力と勇気

の3つになります。

まあ、こう書いてしまえば当たり前っぽく見えるかもしれませんが、長年のアップルの経験から間違いなくこの3つのバランスが重要です。

ちなみにこの3つの特性は、戦略コンサルタントに限らず、「新しい価値や事業を生み出していく人材に必要な要件」とも言えます。

ベンチャー企業を牽引する人材もそう、大企業で新規事業やイノベーションを牽引する人材もそう、要すれば「組織の中で新たな価値を創造していく人材」には共通する要件と言えるように思います。


今回はここまでです。

後編では、この3条件を満たす人物かどうかを面接の中でどのようにチェックしているのかを書いています。

引き続き、後編をご覧ください!
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