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新型Apple Watch S6をデザイン中心にレビュー

9月18日にApple Watch Series 6が発売されました。
今回もデザイン的な観点から新型Apple Watchのレビューをしていこうかと思います。

形状

形状にはほとんど変化がないようです。
見てわかる変化としては、背面のセンサーの機能強化に伴ってセンサー部分の見た目が変化しているという点が挙げられます。

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https://youtu.be/rU12Dp8wCHY

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https://news.mynavi.jp/article/20180919-matsumura_apple/5

上の画像はSeries 6とSEの比較で、下の画像はSeries 4とSeries 3の比較です。

こうしてみると、Series 6はSeries 3までの小さな丸が並んだデザインに回帰したようにも見えます。ちなみにSEの背面は、Series 4、5の背面デザインからセンサー部分の一番外側にのリングを取ったような形状です。これはECG測定機能に関係するセンサーが省かれたことによるものでしょう。

外観の情報量的にはSeries 4、5の背面デザインが一番かっこよく感じます。センサーなので、かっこいいかどうかの問題ではないのですが、装着時に見える部分と同じくらい美しいのがAppleのいいところ。他社のスマートウォッチだとこの辺が雑に作られていたりするので。

あとは、非常に小さい変化ですが、厚みはSeries 5よりも0.3mm薄くなっています。感圧タッチが廃止されたことによるものかもしれません。
この傾向が続くといいのですが、iPhoneの場合は、しれっと年々分厚くなるのでApple Watchでも安心できません。

カラーリング

形状の変化には乏しいですが、カラーリングと素材には変化があります。

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まず、アルミニウムモデルの新色としてブルーと(PRODUCT)REDが追加されました。どちらもわりと暗い色です。単体では良い色ですが、バンドの組み合わせが難しそうです。アルミニウムモデルにしかないことからすらすると、服飾品として使うユーザーが選ぶことはあまり想定していないのかもしれません。

今年のiPhoneにはブルーのモデルが登場すると言われていますが、Apple Watchにブルーが登場したことで、その期待が高まりました。昨年のグリーンに相当するモデルとして登場するのかもしれません。でもiPad Airのブルーとは色味が違うので、どちらに準拠するのかは読めません。

一方で、セラミックのモデルは廃止。以前にも一回廃止されていたはずなので、何か意図があってのことかもしれません。

さらに、ステンレススチールのモデルでは、スペースブラックがグラファイトに変更になり、ゴールドも色味が変更になりました。

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グラファイトに関してはS5のスペースブラックよりも少し色味が明るくなっているようです。初代モデルはAppleらしからぬ完全な黒に近い色でしたが、その後どこかのタイミングで色が変更になり、S4あたりではすでに黒から濃いグレーに近くなっていたようです。今回、そこからさらに色が明るくなったようです。
Apple製品は製品画像と実機の色味がかなり違うので画像で見てもわかりにくいんですよね。

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ゴールドの方は、Series 4、5のゴールドから赤みが減り、18Kのゴールドに近いイエローゴールドになったようです。
今回ゴールドを購入したので、Series 4のゴールドと、偶然手元にあった18Kの金の指輪と比較してみました。

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手前がSeries 6、奥がSeries 4です。太陽光の下で並べて撮影すると、Series 4のゴールドは銅のような色味ですが、Series 6のゴールドは、より金に近い色味であることがわかります。

ただ、光の加減によっては、この違いがはっきりわかる場合もあれば、よくわからない場合もあります。
ミラネーゼループの色も、今回のゴールドに合わせて刷新されていますが、過去モデルをSeries 6に合わせても、それほど違和感はありません。

そして、当然ではありますが、本物の18Kの金の再現には至っていません。もう少し金の含有量の少ないものの中には似た色のものがあるかもしれません。

個人的にはもう一度金を使ったモデルがでないかと期待していますが、難しそうですね。数年で買い替えるデバイスに18Kゴールドを使うのはマウリツィオ・カッテランの「アメリカ」と変わらない気もしますし。


バンド

バンドも新しいものが登場しました。
カラーリングの変化については追えていないので省略します。

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まず、レザーリンク。
早い段階でリークされていたレザーの新しいバンドが正式に発表されました。
小さなコブのようなものが並んだ外観で、コブの中にマグネットが仕込まれており、金具なしで簡単に装着できるようになっているようです。あとは、コブのおかげでベルトが手に密着せず、汗による劣化を抑えられるかもしれません。

ルー・グラナダレザーを使用していると書いてありますが、検索しても情報が出てきません。普通のみかんを温州みかんと呼ぶような感じかもしれませんね。また、フランスで手作りされていると説明されていますが、素材レベルの話なのか製品レベルの話なのかもわかりません。

私も注文しましたが、争奪戦に負けたのでしばらく届きません。

ところで、AppleのWebサイトのApple Watchのページではこのバンドの紹介がありません。購入ページでは一応トップに表示されていますが。
従来のレザーループと併売する理由もよく分からないですし、少し違和感のあるラインナップです。


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そしてソロループ。
基本的な形状はスポーツバンドと同じですが、バンドが上下に分離しない、一体形成です。サイズは9種類用意されており、手首のサイズを測って最適なバンドを選ぶようになっています。

とても今のAppleらしい製品です。
バンドを一体形成にすればミニマルになるという思いつき自体はそれほど珍しいものではありません。しかし、手首のサイズに合わせて複数のモデルを用意するのはリスクが高すぎます。普通はやりません。それをさらっとやってみせるというのは、資金が潤沢で、かつ販売台数もトップだからこそできることです。
今後経営状態が悪化してくると、こういったラインナップは真っ先に削られるでしょうから、今のうちに楽しんでおいた方がいいでしょうね。

ちなみに、ソロループのサイズ選びは一般的なメジャーで直接手首のサイズを測るか、Appleのウェブサイトから専用のメジャーをプリントして測ることになります。もしくはストアで使い捨ての専用メジャーを使って測ってもらうこともできます。

ただ、自分でプリントするメジャーもストアで用意しているメジャーも、どちらもサイズがおかしいらしく、一般的なメジャーで実測した場合よりも大きいサイズが提案されるようです。
私も自分でプリントして測ってみましたが、一般的なメジャーで測った場合よりも大きいサイズを提案されました。

その後、この専用メジャーには修正が入ったようですが、本当に改善されているのかについては今後の報告を待つ必要があります。

ブレイデッドソロループは高額でしかも何週間も待たされるという状況なので、いくら返品が可能とはいえ、サイズが合わない事態は避けたいですよね。


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最後はブレイデッドソロループ。
「ブレイデッド」は「編組」と訳されるるようです。まあ、見たままですね。ナイロンを編み込んで、厚みのあるバンドにしたものです。こちらもソロループの一種です。
スポーツループやミラネーゼループに比べてバンドの幅が広く、正面から見た時にApple Watch本体とのバランスが取れています。厚みもあるので、この点でもApple Watchとのバランスが取れています。

全体的にどことなく和風な雰囲気で、とくにグリーンのバンドは唐草模様の風呂敷を思わせるものがあります。

私も注文しましたが、2ヶ月待ちです。それにしても、やや割高?

あとはエルメスのバンドも新しくなっていますが、今回は省略。


個人的な予想では、新しいバンドはどれも上下に分離するタイプになるかと思いきや、逆に分離しないタイプが2つも追加されました。
これでますますAirPowerへの道が遠くなったかと思ったのですが、どうやらソロループ系はバンドがやわらかいので、バンドをひっくり返すことができ、平置き充電も可能とのことです。そんな手段をAppleが推奨するとは考えにくいですが。

新機能

今回のハードウェア的な新機能で目立つのは、血中酸素濃度の測定機能です。しかし、実生活で便利なのはもっと細かいアップデートの方かもしれません。

たとえばCPUはSeries 5から20パーセント高速化しています。画面の明るさも2.5倍に。フル充電の速度も2.5時間から1.5時間に短縮。

CPUの性能向上のおかげで、アプリの起動時のロード時間がほとんど無くなりました。

また、充電時間の短縮も役に立つアップデートです。睡眠時間の測定のために寝ている間もApple Watchをつける必要があるので、隙間時間で素早く充電できるのは非常にありがたいと言えます。

ただ、バッテリー持続時間自体は特に増えていません。私の場合、Series 4からの買い替えで、バッテリーがかなり劣化していました(最大が80%台)が、買い替えでバッテリー持続時間が伸びた感じはあまりありません。多くの人が指摘していることですが、常時オンのディスプレイがバッテリーを多く消費しているためでしょう。

血中酸素飽和度の測定や睡眠時間測定は自分自身の状態を客観的に確認できるという意味では、従来からのヘルスケアのデータとあわせて役に立つものだと思います。
若くて健康な人にはあまり役に立ちませんが、それ以外の人にとっては、自分の状態を見なおすいい機会になるかもしれません。
ただし、血中酸素飽和度の測定は医療用ではない≒不正確であるという限定付きなので、どう使えというのかやや疑問はあります。
実際、実際医療用の測定器との比較から、測定結果がかなり不正確であることが指摘されています。
それに、問題に気付いたからといって自力で改善できるとは限らないという問題もあったり。

期待した進化か

Series 6の発表に先駆けて、新機種の予想と期待を記事にしていたので、確認してみます。

https://note.com/apple_design/n/nb288fb00181b

https://note.com/apple_design/n/nb288fb00181b

要点をまとめると、以下のような期待と想定をしていました。

・CPU性能よりも消費電力を下げる方向で進化
・バッテリー持続時間向上
・外観は変わらない
・ハードウェアの新機能追加
・新バンド


新作のバンドはいい感じですが、駆動時間については、期待していた程ではありません。

ただ、新しいSoCの消費電力が少なくなっているのかはわかりませんが、搭載されているバッテリーの容量は増加しています。しかし、常時オンディスプレイの性能向上や血中酸素飽和度の測定などに電力を使っているためか、スペックシート上の駆動時間も実質的な駆動時間も伸びていません。

その代わりに充電時間の短縮という方向性を打ち出してきたわけです。これは歓迎すべきことですが、短縮にも限界はあるでしょう。

今後も新機能が搭載され続けるでしょうから、チップセットの省電力かの程度と相殺されてしまうかもしれません。

割り切ってこまめに充電していくしかないのかもしれませんね。



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