日記|泣いた青豆
泣いた赤鬼が名作なら、泣いた青豆は名作をご紹介しますよ。
先週からよく物をなくしています。
物をなくすのは今に始まったことではないですが、割とミニマムに暮らしているので、ひとつなくなるとすぐに手元に替えがないので困ります。
最近なくして困っているのはサングラス🕶。
日常使い用に薄いグレーのサングラスを去年から使っていたのですが、それを自転車にぶら下げていたところ、どこかへ吹っ飛んだ様子。
そしてもうひとつ困っているのがピアスです。
ここ数年、ピアスとネックレスは毎日同じものを着けるようにしています。これにより、アクセサリーを服に合わせて選ぶ時間が短縮できてとっても楽。だからこそ気に入ったものを身につけるようにしているので、なくなったショックは大きい。
何故か耳たぶの裏にキャッチだけは残っていました。
いつもは受け身のキャッチがここぞという時にはぐいぐい攻めてきていて、幸薄そうな私の耳たぶにも恋の予感……。
コメダ珈琲店に2日連続で行きました。そして2日連続、号泣しました。(迷惑)
一日目、私がコメダ珈琲で読んで涙した作品とは本屋で出会いました。
たまたまコミックエッセイコーナーを通った時に目立つ形で置かれていたのでなんとなく手に取り、パラパラとめくってみました。
その時点で私の脳内では洪水警報がけたたましく鳴り始めてしまい、焦った私は本を元の場所に戻し、警報がなり止むまで店内を歩き回りました。
その行為を計3回繰り返してから購入に至りました。
壮絶な記録です。
ご本人が漫画家なので、ご自分で書いていらっしゃいます。
『産褥期精神病』という1000人に1人の割合でなると言われている病で、著者がご経験された当時、精神科の専門医ですら対処法を知らず、誤った認識と薬の処方で追い詰められ、結果として自死を選んでしまったというお話です。(著者の場合は未遂でした)
レビューなどを見ると、それまでにも鬱傾向にあった著者の歴から、本の内容の一部に批判なども多くありましたが、あくまでもこの本が伝えたいこととしては『こういう経過で解決法があった一例』を示したいものと思われます。
(全てのレビューを読んだわけではないけれど、こういう部分が嘘くさいとか、こういうところが自分の経験と違うからどうだとか。なんだかな。
著者が苦しんだ内容は著者にとって真実ではないのか。
個人的な体験を書いたものであって、この病気の症状をもつ全ての人に当てはまるなんて著者は一言も言っていないぞ……)
あとがきに著者の橘さんが『この病気の認知度をあげたい。広めてください』というようなメッセージを書いておられたのでここに綴っています。
結果的には女性にとってものすごく身近な『女性ホルモン』が大きく影響していたことがわかり、抗うつ剤ではなく漢方を使ったことにより症状が落ち着いたという……。
私は常々、女といふものは『女性ホルモン』の支配下にあると感じながら生きているので
と、読みながらなんとも言えない気持ちになりました。
コメダ珈琲店2日目。
私はとうとう『一番好きな映画はこれです』と言い切れる作品に出会ってしまいました。
『ダンサーインParis』
バレエシーンで始まるこの映画、最初の15分はセリフがありません。その事に気づいたのは監督のインタビュー動画を観たときですが、セリフがなかったとは思えないほどしっかりと伝わるものがありました。
息遣い、
映像美、
レース越しに見える苦悶の表情、
などなど。
ダンスシーン満載なこの映画ですが、バレエだけでなくブレイキンのダンスバトルやコンテンポラリーも堪能できます。
ダンスの知識はゼロですが、以前からコンテンポラリーに興味があります。
実は一年前に小説にも登場させたことがありますが全く表現出来ませんでした。
この映画を観終えた今では、コンテンポラリーを描くということではなく、『コンテンポラリーのような小説を書く』、がこれからの目標になりました。
怪我をしてバレエを諦めざるを得なくなった主人公が新しい生き方を見つけていくというわかりやすいストーリーですが、決して多すぎないセリフの中に、心に響くメッセージがたくさんありました。
母親をなくした家族の物語でもあるのですが、父と娘のやり取りでもなかなか泣かせます。
『愛している』を娘に伝えられない父親。
『愛している』のたった一言をずっと欲しかった娘。
ラストシーンはコンテンポラリーの舞台に立つ娘を見守る父の表情が映し出されてそれがとても印象的、涙。
感情を爆発させたラストのダンスシーンには感動しすぎて、画面の中の観客達と一緒に立ち上がり(スタンディングオベーション)そうになりました。
あまりに感動した私は
「最後のシーンだけもう一度観よう、そうだトイレに行って落ち着いてから観直そう!」 と一旦席を立ちました。
⋆⸜🧻⸝⋆
用を済ませ身軽になった私は、トイレを出たところでふと、足元に見覚えのあるゴールドの煌めきを目にしました。
なんと、なくしたと思って諦めていた片方のピアスが落ちていたのです。
恐らく前日来店した際、コミックを読んで涙しては何度もトイレへ駆け込んでいたため、その慌ただしさの中で落としていたのでした。
コメダ珈琲に連続で通ってこのような幸運に恵まれるとは。
清らかな涙を流すといいこともあるものです。
最後に、主演のマリオン・バルボーが、初めての演技とダンスについての類似点を訊かれこう答えたことが印象的でした。
『身体に関する鋭い感覚が必要とされる』
わぁ。
これ、小説を書く時もこんな感覚だなぁと思って(烏滸がましいですが)私はひとりでうんうん頷いてしまいました。
書く時に私が一番大切にしているのが身体の感覚なのです。
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