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「はじめに」 / 「仮・霧岬の炎」(スケッチ)

「はじめに」


 今週から五週に渡っての新コーナー「ある漁村の地獄絵図、燃える霧岬の架空葬儀!」をかくにあたって。
今年2022年の新春に発覚した我が国を揺るがしたふたつの未解決事件「東九州沿岸域における連続強盗放火殺人事件」および「東国市霧岬漁協組合葬儀課首謀による国民年金不正受給事件」の取材によるぼうだいな証言をもとに今週からシリーズで再構成するにあたってまず、このコーナーを担当する蒼ヰ瀬名記者が、問題をおこした当時の大別県東国市J F霧岬(霧岬漁業協同組合)の組合員であった事実は免れない事実である。当初、このコーナーをデスクから任された私は今般の問題が今日の社会に大きな影響力を与えると考えると事件が発覚した日からずっと(さらにいえば重要参考人であったかもしれぬ)事件関係者が今度は週刊毎朝の記者となって事件の全容を暴くような行為は一般読者に大きな誤解を招きかねない事態に陥るのではないだろうか。そうなるとすれば、そもそも事件関係者であった私蒼ヰ瀬名がこのコーナー「ある漁村の地獄絵図、燃える霧岬の架空葬儀!」の記事をかくことは忌避されるべき、ゆえに辞退すると申しでた。だがしかし結果からいえば私は今般の記事をかくに至ったわけである。上司に「この痛ましい記事は、その目で見た蒼ヰ瀬名こそが決着すべし」との命を受けたからである。
 私、蒼ヰ瀬名は、今般の事件、「東九州沿岸域における連続強盗放火殺人事件」と「東国市霧岬漁協組合葬儀課首謀による国民年金不正受給事件」が発覚した限界集落で生まれた1987年の生まれで現在35歳。場所は東九州の沿岸ぞいにある小さな漁村だ。市街地までは国道231号線を北へ車で25分。私は地元の高校の普通科を出てそのまま2006年に霧岬漁協に入った。2022年まで勤続16年だった。そんな漁協の事務方一筋だった青年がなぜ東京の週刊毎朝の記者に転じたのか? そこは次週のシリーズからの《ある青年の視点》で語られることになる。

 まずは、今回の二大事件における、現在大別県警から全国指名手配となっている最重要参考人の日高健治(45)の妹、日高真美(42)からのインタビューから始めよう。


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