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あおはるおじさん@ゲーム屋🎉
2020年2月2日 09:59
序 祈りを捧げる。 灯篭を川に流し、お母さんと一緒に手を合わせた。 お盆に現世に戻ってきていた先祖の魂が死者の国に戻る儀式。 僕はおじいちゃんの灯篭を流した。 せせらぎに委ね、ゆっくりと流れていく灯篭。 それぞれの放つ暖かな光が辺りを包み込む。「この灯篭も流していただけませんか」 川辺で佇んでいると、ふと見知らぬおばあさんに声を掛けられた。 灯篭を手渡され、お母さんの顔を見
2020年2月2日 19:21
弐 梅雨明け。 7月に入り、蝉の鳴き声が聞こえ始める。 窓から見上げると澄んだ青空が広がっている。 休み始めてから数日後、一度先生が訪ねてきた。 僕は顔を合わせたくなかったので部屋に籠っていた。 今学期は夏休みも近いので休むこととなったらしい。 学校に行かなくなったが、僕の生活はあまり変わらなかった。 朝はいつも通りに起きる。 勉強はしておきなさいと言われたので、受験用の問題
2020年2月2日 20:32
参 世間も夏休みに入る。 最終日、先生が夏休みの宿題と一学期の通知表を持ってきてくれたらしい。 僕は会いたくなかったので部屋に閉じこもっていた。「みんな心配してくれているみたいよ」 お母さんよりそう伝えられる。 みんな? みんなって誰だろう。 みんなは何を心配してくれているんだろう。 でも、こんなことをお母さんに言っても仕方がない。 「そう」と素っ気なく回答し、部屋に戻る。
2020年2月2日 21:05
肆(前半)「おお、ユウちゃん大きくなったのお」 おばあちゃんの兄弟、それぞれの子供、孫、総勢30名を超える親戚一同の集い。 既に迎え火は終えており、先祖の魂と共に、大人は昼から居間で大宴会。 孫世代は方々に担ぎ出されて冷や汗をかく。 さすがに酔っぱらったおじさん達の相手ばかりもしていられない。 年の近い従兄弟達を誘い、近所の公園に避難する。「ユウ君、最近の東京ってどうなの?」
2020年2月2日 21:12
伍「二学期になったら学校どうしようか」 リビングで朝顔の観察日記をまとめていると、不意にお母さんが問いかける。 確かに僕は何のために宿題をしているのだろう。 8月も残り1週間。 うやむやにしていた問題が突然目の前に立ちはだかる。「実はね、アツシ君のご両親から連絡があって」 お母さんは僕の様子を窺いながら話を進める。 夏休みが終わる前にどこかで会えないか。 そう提案されたら
2020年2月2日 21:15
陸 ある日の夜、お母さんが写真をアルバムにまとめていた。 花火大会の時の写真。 灯篭流しの時の写真。 僕とジジが写っているものもあった。「これはジジのところに飾ってあげて」 そう言い、お母さんは写真立てと一緒に僕にジジの写真を手渡した。「遺影みたいで嫌だな……」 僕はまだジジがいなくなってしまったことを受け止め難かった。「お母さんはもう悲しくないの?」 口にして、声が音