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天使の子

親友の家の大きな犬が死んだ ふわふわで あたたかくて 人懐っこくて 私と友達だと思ってくれてて 私の名前を聞くだけで嬉しそうに起き上がり、 私が来ると嬉しくておもらししたり ちぎれてしまうんじゃないかってくらいしっぽをぶんぶんさせて 後ろ足だけで立って、その私の胸くらいまである大きな身体で私にハグしてくる 抱きしめると、全身の筋肉がのびのびと動いて、顔をいつまでも舐めまわしてくる。 親友が電話で泣きながら話す 冷たくなった肉球 固くなったからだ じわりじわりと実感して

    • Autumn

      秋が溶けだしてきた 陽射しの厳しい昼下がり 枯れ落ちる桜の葉から 踏みしめる木の葉の音から 顔の周りを飛び回るトンボの群れから 光に当たった木々が黄葉する様から 木陰に隠れるとそよぐさらりとした風から 秋が、溶けだしてきた。

      • 憂鬱

        ゆううつ 感情に明確な理由や原因がなく その形や温度や匂いをうまく形容できない 白とか黒とか原色であれば、 解りやすくそれは 怒りなのか哀しみなのか なにか対象にまっすぐと、向かっていくエネルギーを持ち合わせられるというのに このゆううつ、というのは 好きでもなければ嫌いでもなくて 嫌でもなければ良くもなくて 傲慢な自分の怠慢を 意味もわからず片目で眺めるようなもので 冷めた風呂に理由もなく浸かっているだけ うつうつと うつらうつらする、 酷暑日、午後のバスの中で

        • 貸し物

          一旦私のてから貴方のてに渡されたものは その瞬間 所有権とやらは私のての上から蒸発する その間、そのものは貴方のためにある もし私がそれを 返してと 催促する時があるのなら それはまた、貴方からそのものを貸してもらうことなのかもしれない 私は人に自分のものを渡すのがなかなかすきだ はたまた、それが帰ってこないことを前提に貸すのがなかなかすきだ どうでもいいようなひとに貸すのは御免だが、 私の好きなものや、貴方のてに渡って欲しいと願うものが、 貴方のてのなかに

          朝井リョウ『正欲』読後メモ

          買う前からずっと、タイトルが気になっていた。 多様性の話。 衝撃的。 読む前の私には戻れない。 などなど。 いささか扇動的なキャッチコピーだな、と思いつつも、多様性を大いに謳う大学に通う身として、手に取った。 正欲。 正しくありたい、正しくさせたい、という欲求なのだろうか。 それなら、マジョリティ側の言い分として何となくテーマが分かる。 正欲 感想メモ 受け入れる、とか理解するとか、 どうして多様性を語る時にはそういう どちらかが、どちらかに対して施す、 といったパ

          朝井リョウ『正欲』読後メモ

          いいかげんの良い加減

          今読んでる本によると、 世界の文化は、ルーズな文化とタイトな文化というふたつに大まかに分類できるらしい。 日本はタイトな文化であり アメリカはルーズな文化である。 文化にタイトさとルーズさが生まれる要因は様々で、例えば 人口密度。災害の頻度や他国と領土を争う回数が多いか否か。宗教や民族の多様性など。 私はアメリカ人の父と日本人の母の元に生まれた。 だが、家の中に渦巻く日本とアメリカ、父と母の文化は、上手く融合されていたとはお世辞にも言えない。 正直に言ってしまえば居

          いいかげんの良い加減

          梨木香歩『やがて満ちてくる光の』

          この本を読んでいる間中、私にとってのおばあちゃんに会いたくなった。 おばあちゃんと言っても、血縁関係には無いのだけど。 とても不思議な縁で、彼女は訪問販売をしていた私の母親のいち、お客さんだった。 集金日に、私はよくその回収に一緒について行っていたのだが、私たち家族のことを良く思ってくれていて、気がついたら私はしょっちゅう、彼女の家に遊びにいっていた。 おばあちゃんの知恵なるものを沢山持っている人で、色々なことを教えてくれた。 みかんは皮ごと焼くと甘くて美味しい。 そうめ

          梨木香歩『やがて満ちてくる光の』

          是枝裕和【真実】

          6・28 是枝監督の【真実】を見た。 あらすじ 怪物、海街diaryに続き、是枝監督の作品を見るのはこれが3作品め。 共通しているなあ、と思ったのは、 まず、映し出される映像のコントラストが柔らかく、自然の映し出し方が丁寧だなあ。と。そして音楽が優しく美しく、作品を彩っている。ピアノが素敵。 また、私は演技には詳しくないが、俳優方の佇まいやセリフが自然体で、きっと撮影現場がリラックスした雰囲気なのかなあ、と感じたこと。 そして『怪物』では感じなかったものの、『海

          是枝裕和【真実】

          是枝裕和【海街diary⠀】

          6・27 海街diaryを見た。 私は、大学受験が終わるまで、映画やドラマ、小説や音楽などの芸術にほとんど触れてきていなかった。 要領の悪い学生だったので、できるだけ必要そうなものだけを齧っていたくて、 薄っぺらい自己啓発本やら、何冊も買い込んだ参考書、役に立ちそうでなんとなく聞いていたTED TALK。そういうものばかり。 悪かったとは思っていないが、どれも私の中に「感想」を持たせない、心が動かなそうなものばかりだった。 私は、自分でもわかっていたのだと思う。

          是枝裕和【海街diary⠀】

          抗うものよ,大志を抱け

          新川和江さんの「私を束ねないで」という詩が大好きだ。 夢と希望をもって努力が叶って入学した中学校が, 本当は固定概念とステレオタイプでコンクリート詰にされたような場所で, 子供の持てる可能性は全て「危険だから」と,化石のような校則で否定する,“由緒正しい”場所であったことに気がついてしまったあの頃。 大人に,世間に,人生に絶望していたあの頃。 勉強なんてしたくなくて,何にも従いたくなくて, 範囲じゃないページを読むことで,思考を別世界に飛ばす,そういう小さな抗議で,

          抗うものよ,大志を抱け

          見なきゃ良かった。是枝裕和【怪物】

          見なきゃ良かった。 そんなふうに思った映画はこれが初めてだった 一旦、考察や内容の有無は置いておいて、 見終わって一番初めに思った感想だった。 どうにもならないものに打ちひしがれながら それでも大切なものをどうにか見つめようとする ビー玉のような目を,その眼差しを,気持ちを わたしはすっかり忘れて, 普通に擬態した, そういう大人になろうとしていたことを 痛いほど思い知らされたような感覚だ。 あのまなざしの色を,その美しさを,私は持ちたかったのかもしれない

          見なきゃ良かった。是枝裕和【怪物】

          セラピーとしての本屋、そしてことば

          私は 嫌なことや モヤモヤすること、 悩んでること、 何か物足りない時があると 本屋に行く。 今日もバイトで失敗してしまい、帰りに本屋に立ち寄った。 昔からそうだった 私は言葉を探してる 私を救ってくれるような言葉を求めてる 何かに出会いたい、そんな欺瞞的な気持ちで本屋に行く そんな人にも、本屋はいつだってやさしく、そこにいることを許してくれる 本屋には、全ての考えや感情や知識が詰まっているように感じる うるさすぎる本の知識量と対照的な静かな空間が、 知識

          セラピーとしての本屋、そしてことば

          2023.06.16 a.m. [あめ]

          最近は雨が続くからバスを使って大学に行っていたものの 今日は久々の晴れ予報 朝も、心地よい気温と晴れやかな光が窓から差し込んできて、 低気圧続きで全身に水が溜まったようなだるさから解放されたような寝起きだった。 そのため、自転車で大学に向かった しかし、街中を走り始めて3分も経たないうちに、 腕に、ポツリ、ポツリと雨が当たった。 川沿いに出てからは、静かな環境がより雨の音を引き立たせた。 ポツリ、ポツリ ぽつ、ぽつ、ぽつ しまいには さらさらと。 普段は申

          2023.06.16 a.m. [あめ]

          課題山積みすぎるので更新おやすみ🥲 書きたいこと沢山、、

          課題山積みすぎるので更新おやすみ🥲 書きたいこと沢山、、

          なんだかうまくいかない日に聞きたい曲〈Tomorrow is another day/THE SUPER FLYERS〉

          ここで話したいトピックが積読していて なのに期末課題が私のキャパなんてお構いなしに降りかかるものだから、 こうやって自分と向き合って、考えたことを言葉にする時間を全然取れない一日。 やることが多すぎる時は、 どれから手をつければいいかわからなくなるし タスクを把握して現実に向き合うことも嫌になる 私は、結構うっかりしているタイプで、 こういう時期は三つやることがあったら、大体一つを忘れてしまったり、相当な勘違いをしたことをしてしまう。 気に強いではないので

          なんだかうまくいかない日に聞きたい曲〈Tomorrow is another day/THE SUPER FLYERS〉

          ともしび

          何かを諦める時 自分にあった灯火が、 思っていたよりも ずっとずっと 小さくか弱いもので とてもじゃないけど 大それた大きな夢には 炎を届けられないことを どうしよもなく知ってしまった時 その ほんの微かなともしびを 両手で包んで 握りつぶすこと。 思っていたよりもその両手に負った 火傷は 大したことなくて。 それがまた、やはり、 自分の程度を知ってしまうようで。 それなのに 跡ばかりが残って、消えない。 でも その痛みを忘れてしまっ

          ともしび