天使の子


親友の家の大きな犬が死んだ

ふわふわで
あたたかくて
人懐っこくて

私と友達だと思ってくれてて
私の名前を聞くだけで嬉しそうに起き上がり、
私が来ると嬉しくておもらししたり
ちぎれてしまうんじゃないかってくらいしっぽをぶんぶんさせて
後ろ足だけで立って、その私の胸くらいまである大きな身体で私にハグしてくる
抱きしめると、全身の筋肉がのびのびと動いて、顔をいつまでも舐めまわしてくる。

親友が電話で泣きながら話す
冷たくなった肉球
固くなったからだ

じわりじわりと実感してしまう
その親友の真っ直ぐな感性から紡がれる言葉に

ありありと触れるようにその感覚が私に伝わり、涙が溢れてくる

あまりにも急だった

正真正銘、友達だった。

まだ、彼女の家に行けば、そのふわふわであたたかくて、力強いそのからだをなでまわして、
べたべたになるまで顔をなめてぬれるような気がする

あの家族の中心で、
家族のみんなが今日あった彼女の話をして、
家族の間をとたとたとと飛ぶように歩く
何があっても怒らず、
見返りも求めず
全ての周りの人に愛を届けていた
常に人に寄り添っていた

天使みたいだった

優しくて心の綺麗な、愛情深いあの一家に
来るべくして来た、優しくて、心が綺麗で、愛情深い天使の犬

楽しかった思い出、沢山愛された思い出が、旅立つ彼女の全てを包んで、護られていますように。

どうか彼女と過ごした思い出が、親友の家族を繋ぐ絆であり続けますように。

あまりにも急で、
心情の整理がつかない

天使が、あの家に来て愛されて、それは、
私にとっても幸せだった。



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