無痛化された世界で、大学生。

ずっと考えている
何をしていても
頭の片隅でこびりついて離れない

腕の先が紙のようにペラペラととろけた人
頭の半分を失った人
灰と血にまみれた体で震える少年
バラバラになって電柱にぶら下がった少女
泣き叫ぶ母親が揺らす子供の四肢の無力さ

ガザにいる子供の多くがうつ病であると。

起きるときも寝るときも安全な場所はなく、大きな音が響き、保護者を失い、友人を失い、お腹を空かせ、怯え、終わりが見えない中にげる

私はそれを片手に持ったスマホをスクロールしながら見る

その残虐さに驚愕する一方で、どこか非現実的なような気がして、痛みをうまく想像できなかった。

二日前、転んで膝を打ったとき、その痛みに驚いて膝を抱えた。
痛かった
ああそうか、彼らはどんなに痛いのだろうか。


小学生の時、「One child, one teacher, one book and one pen can change the world.」というスピーチの一説に衝撃を受けた。
そこから勉強して、机に齧り付いて勉強して、泣きながら勉強して、私は大学生になった。

その過程で、勉強して大学生になった意義を忘れてしまっていた。
いや、面倒くさくて見ないようにしていたのだと思う。
テストの点数を取るための語彙の暗記に気を取られているうちに、友人と楽しく遊ぶ毎日に気を取られているうちに、お金を稼げる社会人に効率的になろうとするうちに。

今私のテストに出ない、今私の遊びに関わらない、今私の就活に使えない

調べて、精査して、心を痛めて、考えて、行動しなければならない情報
そういう情報は、向こうから歩いて教えにきてくれない。
それどころか、アルゴリズム化された世界では、全く違う世界に関心を向くように仕向けられている

そんな中、調べ始めるのは酷く面倒臭い
重い腰を上げて、調べ始めても、情報は氾濫していて、どうすればいいのかわからない。だから、今はいいいや。

そうして日々を過ごしていた

私はあの頃、世界を変えるようなスーパーウーマンになりたかった

今の私は、そんな大義は持っていない。

選挙に行く、といっただけで、えらいね、と若干目を丸くされる社会
政治の話をすることはなぜこんなにもタブー視されているのか
なぜこんなに話しにくいのか

私は、そういう世界なのを言い訳に、全てのことに「中立です」みたいな顔で無関心を続けるのをやめなければいけない

そもそも、すべての事象を調べ上げたわけでもない、SNSやニュースでチラチラと飛んでくるフラッシュみたいな情報だけで構築された自分の薄っぺらい知識だけで、どうして真ん中にいれると思っていたのだろう。

端から端まですべて調べ、理解できない限り「中立」にはなれない
そしてきっと、調べ上げたなら世界に「中立」などないことを知るのだろう

ただ「中立」といって面倒なものを隅に寄せていた私の怠惰と私は向き合わなければならない。

尊敬している教授が言った。
戦争は突然始まるのではない。気づいたら私たちの日常が失われていて、そこで初めて気づくのだと。
先週楽しんだ習い事に、来週は行けなくなることなのだと。
今日当たり前に通った学校に、明日は行けなくなるのだと。

私は自分を取り囲む今の日常に幸せを感じる
友人と遊ぶのは楽しく
美味しいご飯を食べられ
今の所、多様な思想も学ぶことができる

ただ、これを書いている今も、友人と楽しくご飯を食べているときも、大学のレポートを書いているときも、ジェノサイドが起きている。
民族浄化のために人が痛みの中死んでいる。

何のために、学んでいるのか考えねばならないと強く思った。

知ろう。

知るしかないと思った。

私は無力だ

何ができるかもわからない。直接的には何もできないだろう。

だから、知るしかないと思った。
「中立」の仮面をかぶって、見ないようにするのをやめなけばならない。

私の日常のために。すべての人の日常のために。

情報を知れるうちに、手遅れになる前に

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これを泣きながら書いたのは確か今年の初めで、そこからもう気づけば半年たつ。まだジェノサイドはおわってない。
そして私はこんなことを書いたのに、結局忙しない日々を理由に考えることや行動することを放棄している。自分1人ではこれを公開する強さすらなかった。
自分という人間の弱さと怠惰さは悍ましく、自分を強く保っていられないようだ。

これを公開することで、その自分の弱さを見つめ、私は自分を戒める。

#FreePalestine
#CeasefireNOW




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