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レディの朝食

こんにちは、函館移住者の花です。
 今日は私がアルバイトで働かせてもらっている、まちのバーKAMOME のお話をします。


KAMOMEは、ボイラー室を設計士の富樫さんが作り替えて2019年に誕生しました。

函館出身のお2人が始めたこのお店、道外に住む2人が函館に通って営業をしていましたが、11月から現地スタッフを雇って再スタートを切りました。

函館移住を控え、人との繋がりの場を求めていた私に、蒲生さんがスタッフ募集のお話をしてくださって、移住と同時に働きはじめました。

担当は、土曜日と日曜日の朝営業です。

先日の日曜日のこと。 
最近教えてもらったおすすめの音楽をかけながらお湯を沸かしていると、2名さまのご予約が舞い込んで、小さな机をくっつけて、2人用の席を作りました。

小さな空間といえど、お部屋はなかなか暖まりません。お気に入りの赤いブランケット、お店に持っていこうかな。

外ではさらさらの粉雪が、風に吹かれて舞っています。 

強く風が吹くと、積もった雪が砂漠の砂埃のように舞い上がっては地面を滑っていきます。

人力車のお兄さん、目が合うとさっとお辞儀をしてくれました。 

お隣の学童の子供達が、手にそりを持ちながらぞろぞろと先生の後ろをついていきます。
横を通るとき、小さく手を振ると、こっそり返してくれました。

道路の工事のために切られてしまった殺風景なナナカマドの切り株も、ふわふわの雪で柔らかに映ります。

店内が少し暖まってきた時、カウンターの横の窓に視線を感じました。

お母さんと小さな娘さん。

6歳のレディ、きっとおめかししたのでしょう。
お母さんに結ってもらった三つ編みの先っぽに、桃色のきらきらお星様が揺れています。
空色のもこもこコートからちょこんと覗く小さな手を、白と桃色のミトンが包んでいます。
真っ赤なタイツには、ぽちぽちと小さなお花が咲いていました。

お好きな席へどうぞ、と声をかけると、2人は壁にコートをかけ、お母さんはカウンターの右側に、娘さんは左側の椅子によじ登って座ってくれました。

«今日のメニュー»
BREAKFAST SET ¥850
・七飯のひとくちリンゴジュース
・たっぷり白菜の軽いクリームスープ
〜柚子胡椒のアクセント〜
・tomboloさん のバゲット
・コーヒー
(バター: ¥20)

もじもじして控えめな娘さんも、席に着くとれっきとしたレディ。
カウンターの前に置いてある野菜籠の隙間から熱い視線を送ってくれます。

「ここの黒糖パン好きなんだけど、最近買いに行ったらなかったの。
沖縄では毎年2月か3月ごろにお砂糖を作っていて、tombolo は1年分の黒糖を沖縄から買っているんだけど、それが済んで、ちょうど黒糖が切れてて作れないみたいなのさ。」

お母さんは tombolo さんのバゲットをつまみながら教えてくれました。

娘さんは、保育園の仲良し3人組と家族みんなでお泊まり会をして、small town hostel のお部屋の窓から花火を見たことを教えてくれました。

smalltown hostelは、木と漆喰でできた温かいゲストハウスです。
こぢんまりしていながらどこを切り取っても絵になるので、撮影目的での利用もちらほら。

私が泊まった時は面白い顔のついた雑誌を見つけたから記念撮影したよ、とレディに教えてあげようかとも思いましたが、ぐっと堪えて珈琲を淹れました。



レディは桃色のふわふわくまさんかばんの中身も紹介してくれました。

ウェットティッシュとハンカチ、プリキュアのハートの鏡と、うさぎさんの絵のついたリップクリーム。
リップクリームは、桃色くちびるになれる色違いも持っているそうです。


おばあちゃん家の近くの神社と、函館八幡宮に初詣に行って、どっちでも大吉が出たから、もう一回引こうとしたら、ママに止められたお話をしてくれました。

娘さんが食べ終えるまでの間、お母さんはお友達への年賀状に切手を貼っていました。

「パパはピタゴラスイッチにはまっててね、わたしがEテレ見てたら、パパも横に座って一緒に見るんだよ。」

「はなちゃん、今度はすみよしグランドでソリ滑りしよう。」

「はなちゃん、春か夏になったら、公園の芝生に座ってね、きれいな絵を描こうね。」

「今度は絵しりとりをしよう。」
「あとね、はなちゃんもわたしも、紙にぐちゃぐちゃっててきとうに描いて、とっかえっこして、そこから猫とかうさぎとかの形をみつけて色を塗るのもしたいな。」

そろそろ帰ろっか。
お母さんに言われても、ミトンをテーブルの上に置いて、たくさんお話ししてくれました。


途中でcalamari 食堂のトシさんが野菜を持ってきたので、段ボールの中身を覗きました。
どれも聞いたことのない野菜ばかり。
チコリー、なんだかポケモンみたいだね、とお話ししました。

お下げについているキラキラお星さまを見て昔を思い出しました。

「わたしも保育園の頃、ぶたさんのきらきらをつけてもらってました。頭の高いところに2つお団子作ってもらうんだけど、お母さんキリキリに結ぶから痛くて痛くて…」

お母さんにそう言うと、お母さんは思い付いたようにレディに言いました。

「ね、じゃあこれから可愛い髪ゴム買いに行こう。」
「いいよ、でもいまわたしお財布持ってないからね。」
ちゃっかり賢くて、買ってもらえるのが嬉しくて、前歯が抜けていても、にやにやが止まりません。

お母さんの提案のおかげで、やっと毛糸の帽子とミトンをはめてくれました。

また来るね、と手を振って、お母さんと2人るんるん出かけて行きました。

⭐︎お店情報⭐︎
まちのバーKAMOME
営業時間:土日9:00-13:00/ 18:30-21:00 (Instagram/Facebookにて要予約)
※毎月HOTEIYA ポップアップ開催
定休日: 平日(calamari 食堂として営業)
住所: 函館市末広町9-9カルチャーセンター臥牛館1F
Instagram: @kamome_hakodate
HP: https://www.spice-jp.com/ホーム


ライター情報はこちら!
https://note.com/another_hkdt/n/nab69fbc73ee5

SMALL TOWN HOSTEL Hakodate
私たちが情報を発信する函館旧市街(西部地区)の中心地で、ローカルの案内役を務める宿泊施設”スモールタウンホステル”のご予約はこちらから
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