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“「いただきます」っていう言葉には、そういう命が連なってることへの感謝の想いがあると思うんだよね。太鼓と器からそのメッセージが、他の人にも伝わったらいいなって思うよね”

30. 木村優 / 木工作家

木工作家の木村優さん。
小笠原諸島の父島で活動する彼は、駆除された外来の木やヤギの皮を生かしたいという想いから、太鼓と器を中心にした創作をされている。

「感謝とつながり」が暮らしの核にある優さん。今の彼に至るまでの過程や大切にされていることについて伺いました。

■木村優(キムラ ユウ)
木工作家。
24歳の時に野生のイルカに魅せられて小笠原諸島の父島に移住。 そこで西アフリカの太鼓ジャンベと出会い、感銘を受けて木を削り出す。

以来、島で外来種として駆除されている木やヤギの皮を生かしたいとの想いから、『太鼓と器KIMURANOKI』を開業。「いただきますから始まる宴」をキーワードに作品と暮らしをつくっている。

Instagram: @kimura_noki

_今の仕事(や生き方)を始めたきっかけは?
僕は小笠原に24歳の時に来たんだけど、その時出入りしてたバーがライブをよくやっていて。その中で農園を営んでいる人が、アフリカの太鼓ジャンベを叩いてたんだよね。

なんかね、心がガッて動かされる瞬間ってあるじゃん。鳥肌が立ったりさ。その人の演奏はそれだったの。

その鳥肌を立つ経験をした時に、自分がそういうものを生み出す側に行きたいって思って。

それで、なんの経験もなかったけど、島で切り倒された木を使ってジャンベを作ることにしたんだよね。

_今の仕事を始めるのに不安はありましたか?また、それはいつ乗り越えましたか?
何にも考えてなかった(笑)
ある意味バカだからできたというかさ。

初めて手掘りでジャンベを作ったあと、すごく大変だったから木工旋盤を買うことにしたんだよね。それが40万円して300kgもあるんだよ(笑)

そうなったら、それを置くそれなりにしっかりした場所がないとやばいってなって、1年かけて仲間と一緒に工房を作ったんだ。

今は太鼓と器を中心に作ってるけど、器はその旋盤を買ってから、それで作れることが分かったの。

「ジャンベを作りたい」っていう気持ちが先行したから今があるね。
不安よりも、小さな「できる」が積み重なっていくワクワクの方が大きかった。

_発想やクリエイティビティの源泉は?
「生かしたい」っていう気持ちかな。
小笠原はさ、島の固有種を守るために、外来の動植物がすごく駆除されてる島なんだよ。

世界遺産に指定されてることとか、豊かな生態系とか、綺麗な部分に注目はいくし、強くアピールされていることだけど、そこを守るために排除されている存在のことはあんまり言われない。

けどそこって結構重要なポイントだと思っててさ。

人間が外から運んできた植物は生命力が強いから、島の固有種はそれに負けちゃって生きられない。ヤギも、もともと人間が食用として持ち込んできたけど野生化して、島の植物とかを食べちゃって植生を荒らすから銃殺されている。

生態系を守るためにはさ、そうしなきゃいけないっていうのも分かるんだけど、やっぱりやりきれないし、心苦しく感じてしまう。

それなら、太鼓や器にして生かしたい。

木とかヤギからしたらそれは一緒のことかもしれないけど…人間の僕としては彼らにできる形で敬意と感謝を持っていたい。

だから、木がもともと持ってるフォルムや美しさを、僕が意図して削りすぎないようにっていうのはすごく意識してる。

※固有種は「Wind(風)、Wing(鳥)、Wave(波)」のいずれかによって運ばれ、独自の進化を遂げたもののことを指す。一方で人間が意図的・無自覚に運んできたものは外来種と呼ばれる。
※生態系はひとつが絶滅するとドミノ倒しのようにすべてが全滅してしまう可能性がある。そのため小笠原諸島では多様性を優先し、固有種に影響を与える外来種の駆除が行われている。

_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてくださいKIMURANOKIのキャッチコピーでもあるんだけど…「いただきますから始めまる宴」かな。

昔の人はさ、特別な日に一羽絞めて、祈りを捧げて、みんなで太鼓を叩いて演奏して、それでやっとご飯を食べていた。肉を食うために、そこまで感謝をしてたんだよ。

「いただきます」っていう言葉には、そういう命の連なりへの感謝の想いがあると思うんだよね。

それは僕が日々の暮らしの中で大切にしていたいことだし、太鼓と器からそのメッセージが他の人にも伝わったらいいなって思うよね。

_あなたにとって仕事とは?
相手のニーズを満たすことができれば、何でも仕事になると思う。

でも、すげぇ夢中になって綺麗なものを作るのは自分の喜びだから、その2つが重なって、受け取ってくれた人が感動してくれた時は最高に嬉しいね。

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