朝倉美智子と申します。 初めての方は、初めまして。 note では、普通ではない環境に生まれ育ったオバチャンの経験の中から、 ちょっとした小話を発信したいと思います。 ・黙ってられない!シリーズ ・笑える話 in 岩手県 ・アルバイトの話 ・営業職の話 ・小売店の話 ・占い事業撤退の裏側 ・日常のニュースについて思うこと 記事を読んでいただいた方に、何かしら心に残る話になると思います。
神奈川県の端っこ、駅前ロータリーに面したファッションビルの1階。 両親の経営する宝石店がありました。 私は20代の頃、この店の接客や仕入れの手伝いをしていました。 お客様は、私の母親世代からそれ以上の年配の女性がほとんどでした。 来店されるお客様は、来る度にお買い物をされることはありません。 一日の仕事の多くは、お客様の話を聞くことでした。 そんな中でも、印象深いM様の話です。 M様は週に2回、駅の近くの整形外科に通院される時に 立ち寄ってくださるお客様です。 還暦を
高校3年の卒業間近の頃でした。 音楽や体育などの授業で、 教室を離れる授業の後でクラスメイトの財布が無くなることが続きました。 短期間に3人のクラスメイトが、被害に遭っていました。 そんなある日、同級生のC子が私の所に来て相談があると言うのです。 「アタシの無くなった財布、E子が持ってたんだよ。」 「え?」 「A子もB子も財布盗られたじゃん。アンタさぁ、E子と仲良いんでしょ?」 「仲良いって言われても…。 悪くはないけど、そんなに良いわけでもないけど?」 「3人でど
今から40年ほど前、私が小学生だった頃の話です。 新しく赴任してきた先生が担任になりました。 大きな眼鏡が印象的な小柄で穏やかなO先生は、 決して若いとは言えない女性の先生でした。 ある日の学級会で、 近付いてくる学芸会のクラスの出し物を決めることになりました。 学級委員の生徒が二人、教壇に上がって進行を務めます。 O先生は学級委員の二人に進行を任せて、 教壇から離れた窓際の席に座っています。 「それでは、今度の学芸会でクラスの出し物を何にするか 決めたいと思います。」
ドッジボールという球技をご存知でしょうか。 今から40年以上前、 私が小学生の頃には体育の授業で頻繁に行われていました。 ある日。 体育の授業でドッジボールになって、 クラスの男女が半分ずつのチームに分かれました。 最初にボールを持つのは、運動が得意な男の子です。 投げられたボールは相手チームの男の子を狙っていましたが、 しっかりキャッチされてしまいました。 キャッチした男の子は、自分を狙った男の子に向かって ボールを投げますが、これもキャッチされます。 私たち女の子は
仕事内容に問題がなくても、 一緒に働く人との関係がうまくいかないことはあります。 お互いのコミュニケーションが取れないと、 いつの間にか事態が悪化してしまうこともあります。 派遣社員として、補聴器の会社で営業事務の仕事をしていた時の話です。 オーダーメイドの補聴器のメーカーでした。 全国の耳鼻科から送られてくる耳型と伝票をチェックして、 データを入力するのが主な仕事です。 一緒に働くのは、正社員の女性が2人と派遣社員の女性が1人でした。 年齢については聞いていませんが、
私の父親は、母方の祖父より1歳年上でした。 父親は関西の城下町に、代々続いた呉服屋の跡取りでした。 祖父は漁師の三男でした。 二人とも、大正生まれで太平洋戦争を経験した世代です。 太平洋戦争が終わった後、 代々続いた呉服屋は戦後の洋装への変化に乗り遅れ、経営が傾きました。 父親がアルバイトで雇った母親に手を付けて、 最初に産まれたのが男児でした。 父親には男児が居なかったため、兄は跡取りとして大事に育てられました。 本妻さんとの間には、二人の娘さんが居たそうです。 二人の
今の世の中、男女の出会いも効率が大事です。 出会いを求める相手の条件を絞り込んで検索する。 まるで通販で買い物をするように…。 出会い系サイトという言葉が流行ったのは、今から20年ほど昔の話です。 当時は、テレクラの延長線上と考えられていて、 怪しげな印象も強いサービスでした。 要するに、不純な動機の男性に向けた遊びの一つという感じです。 求人情報誌で『簡単な入力作業』と書かれた記事を見付けたのは、 そんな頃でした。 当時の私は、両親の経営する店を手伝っていましたが、 給
今も昔も、様々な理由でお金が必要な人がいて、そういう人を狙って罠を 仕掛ける人がいます。 特に、親元を離れて一人暮らしを始めた頃は、 親に心配をかけたくないという気持ちもあって 自分で何とかしようと考える人が多いのかも知れません。 30年程、昔の話です。 私は若い頃からずっと、誰かに支払うためのお金に追われていました。 アルバイトを探して求人情報誌を眺めていた時、魅力的な求人を見ました。 『短期アルバイト日給5万円。即日払い。』 聞いたことのない横文字の会社名です。 記載
画期的なボディーソープがあったのを覚えていますか? 肌本来の保湿力を引き出す、 世界で特許を取ったというボディーソープでした。 2017年9月に発売されて多くの支持があったのに、 2022年3月に製造を終了しました。 世界で通用する特許まで取ったのに、たった5年で製造終了?
私の夫は、大病を患い3度の手術を受けた後、 肺と大腿骨に病変が見つかり抗がん剤治療を続けています。 3週間に1度、検査と点滴を受けるために都内の病院へ通っています。 抗がん剤治療を始めた当初は、副作用や点滴後の体調不良を心配して、 毎回付き添っていました。 臨床腫瘍科の待合室は、朝一番から予約の患者さんでいっぱいです。 受付を済ませて血圧と体温を測り、 指示された通りに採血と検体を提出して待合室に戻ります。 10名ほどが座れる椅子が並ぶ待合室を見渡して、夫と並んで座ります。
コロナウイルスのワクチンが出回って、少しずつ買い物客も増えてきた頃。 自宅近くのスーパーで、品物を選んでレジに向かうと、 いつも以上の行列ができていました。 店内放送で、不具合がありカード払いに対応できるレジが 1台だけになっていると言っています。 私はもう何年も、ほとんどの買い物をカード払いにしていて、 現金はあまり持ち歩いていません。 別に急いでいるわけでもないし、 指定されたレジの列に並ぶことにしました。 私が並んだすぐ後に、年配の女性が後ろに並びました。 レジの混乱
JRのSuicaと一体の定期券って、 Suica以外のカードで支払う時には 窓口に行く必要があるってご存じでしょうか。 窓口で一旦、磁気定期券を発行してから、 機械でSuicaに同期するシステムです。 横浜駅のみどりの窓口へ行った時のことです。 自動ドアを入るとすぐに、番号札の発行機がありました。 私が取った番号は164番でした。 番号札を取ってからカウンターの表示を見ると、 現在対応しているのは140番代でした。 それでも、稼働している窓口が5つ有ります。 頻繁に、次の
小田急沿線のワンルームマンションに一人暮らしをしていた頃。 一日の仕事を終えて、 駅から自宅に向って駅前のロータリーを歩いていた時のことです。 私から少し離れた前方に、若い母親と小さな男の子が歩いていました。 元気そうな男の子は、3歳から5歳くらいでしょうか。 手を繋いだ母親を見上げながら、一生懸命何か話しています。 親子がバス停に近付いた時、 突然、男の子が母親の手を放して走り出しました。 母親はその後姿を眺めながら、早歩きで追いかけます。 このバス停には、待合室もベ
私の両親は、貴金属や婦人服の小売店を 神奈川県内で複数経営していました。 私は20代半ばから、それらの店を手伝うようになりました。 数年後には、売値が小さい物を 問屋街で仕入れも担当するようになりました。 馬喰町の問屋街の真ん中にある喫茶店で、 ランチをしながら仕入伝票を整理していた時。 ランチタイムには少し遅い店内には、 それでも多くのお客さんが居て、ほぼ満席の状態でした。 多くのテーブルは、1人客か2人連れです。 それぞれが、小売店の関係者であると分かるような会話をし