人の物を盗む人

高校３年の卒業間近の頃でした。
音楽や体育などの授業で、
教室を離れる授業の後でクラスメイトの財布が無くなることが続きました。
短期間に３人のクラスメイトが、被害に遭っていました。
そんなある日、同級生のC子が私の所に来て相談があると言うのです。

「アタシの無くなった財布、E子が持ってたんだよ。」

「え？」

「A子もB子も財布盗られたじゃん。アンタさぁ、E子と仲良いんでしょ？」

「仲良いって言われても…。
悪くはないけど、そんなに良いわけでもないけど？」

「３人でどうしようか話してたんだけどさ、どうしたら良いと思う？」

私の通っていた高校は、中高一貫の私立の女子校でした。
E子は公立の中学を出て高校から入学してきた生徒で、
高校１年の時の同級生でした。
高校１年の夏頃にご両親が離婚して、
引っ越しをして生活が変わったと聞いていました。
夏休みに一緒に、ビラ配りの短期のアルバイトをしたこともありました。

「…見間違いとか、何かの間違いじゃないの？」

「そんなことないよ。私のは、日本で売ってない限定品だもん。」

「そうなんだ…。
じゃあ、私がE子を連れて行くから、みんなでどうするか話そうよ。」