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第111回:片想いから知る「自分らしさ」

こんにちは、あみのです!読んで幸せな気持ちになれたラブコメ作品に出会えたので、紹介します。
今回の本は、神戸遥真さんの『片想い中の幼なじみと契約結婚してみます。』(メディアワークス文庫)というライト文芸作品です。noteにて神戸さんの作品の感想を書くのは2冊目になります。

(1冊目はこちら)

読むと元気になれる神戸さんのラブコメ作品。「契約結婚」という過去作品でも描いたテーマではありましたが、今作は「もともと好きだった人をもっと好きになる」というまた違った切り口の契約結婚ラブコメです。(面白キャラもいるよ!)

同居を通して、片想いの相手のことがより好きになっていく主人公の気持ちには共感する人もいるかと思います。朝香と一緒にドキドキした日常生活、体験してみませんか…?

あらすじ(カバーより)

恋心がバレてはいけない契約夫婦生活。
 三十歳にして突如住所不定無職となった朝香。途方に暮れる彼女が憧れの幼なじみ・佑紀から提案されたのは――、
「婚姻届を出して、ぼくの家に住むのはどうかな」
 大地主の後継ぎとして婚約相手を探していた彼との契約結婚だった!
 幼い頃に両親を亡くし、大きな屋敷でぽつんと暮らしている佑紀は、地元でも謎多き存在。孤独な彼に笑ってほしくて”愉快な同居人”を目指す朝香だけど、恋心は膨らむ一方で‥‥‥。優しい海辺の町で紡がれる、契約夫婦物語!

感想

「好き」という気持ちの楽しさと難しさ、「自分らしく生きる」ことについての共感と発見がたくさんあった作品でした。一緒の時間が増えるほど、佑紀くんへの「好き」という気持ちが高まっていく朝香の日常に、最初から最後までとにかく尊さが止まらなかったです。

気になる異性と突然の同居。家の中でしか見れない意外な一面にキュンとしてドキドキする楽しさ、本当の夫婦ではないこともあって簡単に彼との関係が終わってしまうことへの不安…今作には「片想い」の魅力と痛みのすべてが詰まっていました。

こんな感じで胸キュン要素が濃い今作ですが、朝香と佑紀くんが「自分らしさ」と向き合っていく場面も同じくらいに印象に残りました。

朝香は佑紀くんとの生活の中で「明るい自分」を一生懸命に演じていましたが、「本当の自分」を見られてしまうことで彼に嫌がられるのではないかとネガティブな感情を見せるところもありました。

でも佑紀くんとしては、偽りだとしても「明るい自分」でいるときの朝香に強く惹かれていました。朝香と佑紀くんの関係がグッと縮まる場面からは、なんとなくでも「なりたい自分」を意識して人と関わってみるのも悪くないことを知ることができました。

また佑紀くんは家庭のいろんな事情もあって、「本当の自分」を他人に見せなかった一面がありました。
例えば彼には裁縫という趣味がありますが、周りの目を気にしてこれまで自信を持って言うことができませんでした。

男性が裁縫をするのは、全然悪いことではない。「裁縫が好きな自分」を見せたことで同じく裁縫に興味があった朝香との共通点が生まれ、趣味の話題をもっと広げていく佑紀くんの姿がとても生き生きとして見えました。この場面は、読んでいる私も嬉しい気持ちになりました。

コンプレックスだと思っていることも、誰かを惹きつける武器になる可能性がある。そのようなことを今作では強く感じました。佑紀くんとしては恥ずかしいと思っていたことも、彼のことが大好きな朝香の心を充分魅了していましたよね。

周りの目や過去の恋愛事情を乗り越え、「本物の絆」を深めた朝香と佑紀くんは、これからもずっといいコンビでいるような気がします。神戸さんの作品は1冊で話がまとまっているものが多いので、今作のキャラクターをはじめ、これまでのキャラクターと再会できる機会が個人的には欲しいですね!

前向きな朝香のキャラクターとギャップ盛りだくさんの佑紀くん。読んでいてとても幸せな気持ちで満たされる2人でした。(あと「エビちゃんこけし」、作中でめちゃくちゃいい使い方してましたよね。佑紀くんのセンス、私は大好きです)

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