第170回:美しいだけじゃない恋の謎(櫻いいよ:『わたしは告白ができない』)
こんにちは、あみのです!
今回の本は、櫻いいよさんのライト文芸作品『わたしは告白ができない』(角川文庫)です。
こちらの作品も「カドブン夏フェア」ラインナップからの1冊となります。昨年からいいよさんの作品をまたぼちぼち読み始めたので、未読作がラインナップに入っていたのは個人的に嬉しかったです。
今作はいいよさんが得意とする青春ストーリーではありますが、「日常の謎」要素も強くてどこか懐かしさもある作品でした。
気軽に謎解きが楽しめるだけでなく、恋愛に関するあるあるネタも満載なので、恋愛ものが好きな人にもぜひ読んでみてほしいです!
あらすじ
感想
「恋」って物語では美しく描かれることが多いと思います。だけど今作で描かれる恋は、美しいだけではない。
はじめは好きな人を見ているだけ、少し話せただけで幸せ~と思っていたのが、時間を重ねていくうちに嫉妬などのおぞましい感情に変わってしまうことがある。今作は恋愛の美しさ・楽しさに潜む「狂気」もところどころで感じました。
「好き」という気持ちは一瞬で生まれるけど、その気持ちを相手を伝えることって本当に難しいよねと読んでいて共感しました。なので、小夜子が睦月くんに告白したくてもなかなかできない気持ちもよくわかります。
「風紀部」に関わったことで睦月くんとの接点が増えたのは良かったけど、それが逆に余計告白できない状況を作ってしまった?睦月くんは攻略が難しそうな相手だけど、いつか彼に素直な気持ちが伝えられるよう小夜子を私は応援したいです!
また睦月くんのファンは多いですが、小夜子のように純粋に彼の恋人になりたいと思う者もいれば、ある登場人物のようにアイドルを推す感覚で睦月くんに好意を持っている者もいました。
「好き」という感情にも人それぞれの形があることを知れた点も興味深かったです。
個人的に角川文庫のライト文芸(キャラクター文芸)作品というと、学園ミステリーの印象が昔からあります。今作はそのような作品たちの雰囲気を残しつつ、胸キュン要素といういいよさんらしさも入った懐かしいけど新しさもある学園ミステリーだと思いました。
謎解きを楽しみながら、甘酸っぱい思い出も蘇る素敵な1冊でした!
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