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第26回:魅力的なヒロイン(+男の娘)とインターネットの恐怖を学ぶ

こんばんは、あみのです。今回の本は、駿馬京(しゅんめけい)さんのライトノベル作品『インフルエンス・インシデント』(電撃文庫)です。先日記事を上げた『ギルドの受付嬢~』と同様電撃小説大賞の受賞作のひとつとなります。

この物語では、なぜインターネット上の悪意はなくならないのか?専門的な知識も踏まえて、その理由を知ることができます。難しいテーマを扱った作品ですが、女装男子やクセ強めな女子大生&教授が登場するコミカルな作風なので、とてもハマりやすいと思います!母性強めな女の子が好きな人にもおすすめだったり笑。

あらすじ(カバーからの引用)

 人気女装配信者「神村まゆ」として活動する男子高校生・中村真雪は、ある日SNSを悪用したストーカー被害に遭遇。
 そこに手を差し伸べたのは、優秀だがエキセントリックな大学教授・白鷺玲華と助手をつとめる女子大生・姉崎ひまり。
「お願いします。僕を守っていただけませんか」「任せて。お姉ちゃんたちが助けてあげるから!」「まずはSNSの原理である『六次の隔たり』の考え方に基づけば―――」「教授ストップストップ!」
「……あの。なぜ僕はひまりさんの膝の上に乗せられているんでしょうか?」
 女教授と女子大生と女装男子(インフルエンサー)が、インターネットを起点としたさまざまな事件(インシデント)に立ち向かう!
 第27回電撃小説大賞《銀賞》受賞の新感覚ミステリー!!

感想

「ミステリー」というよりは「ミステリー”風”」の作品になるのかなと私は思いました。真雪と強烈な個性を放つヒロインたちとの絡みが賑やかに、時にインターネットの闇をシリアスに描いていて、ラブコメを楽しみながらインターネットの恐ろしさを学べる1冊でした。

作中では様々なインターネット上のトラブルが登場します。ストーカー被害に悩む真雪、かつて「炎上」を経験しながらも自分なりの人生を歩んでいる凛、そして「誹謗中傷」が原因で死を選んでしまったひまりの友人…便利な裏で、何気ない選択や悪意が人生を大きく狂わせてしまう可能性も持つ「インターネット」って、本当に息苦しい世界だなと読んでいて凄く思いました。

ひまりは友人の死をきっかけに、インターネット上の悪意に苦しむ人を助けたいと思うようになり、玲華の助手になります。真雪を溺愛しながら、彼をトラブルから救おうと玲華と共に奮闘するひまりがカッコよく見えました。ひまりが真雪のことを甘やかす姿、最高でしたね。

また、物語の佳境にて登場する「死んだ」と名乗る謎の集団ですが、彼らの存在にも非常に考えさせられたところがあります。インターネット上で罪を犯した人間は、これからどう生きていくべきなのか?ひまりが自らの経験も踏まえて述べていた「人生を狂わされても充分に社会復帰できる可能性」の話は、今作を象徴するシーンだったと思います。

今回の事件を通じて、自分のインターネットとの付き合い方を見直そうと思いました。また、ポジティブにインターネットで人生を狂わされた人たちに向き合うひまりの姿勢にも好感が持てました。

それにしてもインターネットやSNSの登場によって、人々の価値観やモノの見方は圧倒的に変わっていったこともよく感じられた作品でした。続編では今回の事件の黒幕との戦いが本格的に描かれていくのかな?と、シリーズ化への期待も高まります。こういう展開ってまさに「ミステリー」って感じでめちゃくちゃあがりますね!

インターネット上を取り巻く問題についてもっと考えてみたいですし、なにより真雪&ひまりの甘々なやりとりが私はまた見たいと思いました!

おまけ

公式の作品紹介PVはこちら。今回の記事で関心を持たれた方はぜひこちらも見てみてください!


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