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最近読んで印象に残った小説まとめ!

しばらく小説の感想がお休み気味だったので、今回はここ最近読んで「いいな」と思った小説を一挙まとめて紹介します!


花火みたいな恋だった

(著者:小桜菜々さん)

今作は短編集となっていて、高校生から社会人まで複雑な恋に悩む女性たちの成長が描かれていました。青春小説らしいピュアな恋もあれば、ドロドロしたちょっと大人めの恋もあり、それぞれのエピソードが刺激的でした。

付き合って初めて気付いた「運命の恋」の意味、「禁断の恋」の快楽とその代償、恋人との価値観の違い…。恋というと物語では美しく描かれがちですが、この本を読むと実際の恋はそれほど美しくないことを感じさせられます。

全体的にほろ苦い雰囲気の恋愛小説ではあるものの、ひとつの恋の終わりを経験し、新たな自分を見つけていく女性たちの姿が心に残る読後感で良きでした。綺麗なだけの恋愛小説は物足りないと感じている人にぜひ試してほしい1冊です!

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

(著者:大前粟生さん)

身近な人間関係や、日々溢れるネガティブな話題に生きづらさを感じている大学生たちの「居場所」を描いた不思議で心温まる作品でした。

主人公の男子学生・七森もそのひとりで、世の中に飛び交う暗い話題はもちろんのこと、身近な人間関係への悩みも多く、生きづらさを抱えていました。

「恋人にしたい」とはタイプは違うけど、一緒にいると安心する麦戸ちゃんとの時間、それから「ぬいぐるみ相手に日頃の辛い気持ちを吐き出す」という変わった活動もしているぬいぐるみサークルの存在が、七森の生きづらい日常を変えていきます。

居場所って見つけるのはちょっぴり大変かもしれないけど、ないよりはあった方がいいことを今作を読むと感じさせられます。いろんな学生とのつながりや、ぬいぐるみサークルも七森にとって充分「居場所」と呼べると思いますが、彼にとっての1番の居場所は友達以上の絆を深めている麦戸ちゃんとの関係ではないでしょうか。

いろんな価値観・生きづらさで溢れる世の中にグッと刺さる、今ならではの居場所の形を感じさせてくれた良作でした。この物語は私にとってもひとつの居場所になったような気がします!

いつか君が運命の人

(著者:宇山佳佑さん)

こちらも恋をテーマにした連作短編集。宇山さんが描くドラマティックな恋物語が好きなので、1冊でいろいろなお話が楽しめるのはいつも以上に満足度が高かったです。宇山さんらしい映画のような感動を味わえる作品もあれば、恋以上に人生で大切なことを教えてくれるエピソードも中にはあり、ひとつひとつの作品に込められたメッセージが強く心に響きました。

収録作でも私は、学校の先生に恋をした女子中学生たちを描いた「わたしのものって思っていいですか?」が1番好きでした。

ちょっとしたきっかけで国語の先生を好きになったかんなと、女子人気の高い英語の先生に想いを寄せる舞。叶う確率は低い恋だとしても、彼女たちの想いは真剣で、自分磨きをしながら2人の絆も深まっていくストーリーが個人的に大好きでした。私も昔から年上の人を好きになりがちなので、かんなと舞の気持ちには共感した箇所もとても多かったですね…。

また連作短編集というのもあり、作品同士のつながりが次第に見えてくるところも魅力的でした。中でも収録作の1話目「僕らはあの頃と変わらない」の切なすぎる恋の結末に救いを与える今作全体のエンディングでは、良い映画を見終わったような感動と幸福感が読者を待ち受けていました。

恋の美しさ・難しさだけでなく、ほんのり懐かしい匂いも漂う、恋という感情を知っているすべての世代の読者が楽しめる短編集だと思いました!

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