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第91回:生きていれば必ずいいことがあるよ

こんにちは、あみのです。
今回の本は、飴月さんのライトノベル作品『君のせいで今日も死ねない。』(ファンタジア文庫)です。この作品はタイトル買いでした。

みんなが憧れる美少女はなぜ自殺しようとしていたのか?不穏な雰囲気で始まるこの物語。でも読み進めていくとまさに「青春」を感じる爽やかな風景が次々と見えてきます。ヒロインが「生きることの楽しさ」と「恋」を知る過程はまるでサイダーのよう。

またこの物語では、日々を楽しく生きるポイントを知ることもできます。なので、「最近、楽しいことがないな…」と思っている人にはぜひおすすめしたい1冊です!

あらすじ(カバーより)

 陰キャでも陽キャでもない、カーストもそこそこの俺。けれどある日、屋上でばったり「神に愛された完璧な美少女」と名高い三峰彩葉が飛び降りようとしているところに遭遇する。
「放っておいて。私、もう死ぬんだから」
 そんな彼女を止めて以来、二人で過ごす日々が始まった。空き教室でピザを食べたり、夜のプールで花火をしたり。「私、君といるのが楽しいかも」「君のせいで死ねないじゃん」他人の視線に怯えつつも、そっと心を開いてくれた三峰。”完璧な自分”の仮面を取った彼女は、子どもっぽくも可愛くて――。
 これは悩める美少女を、平凡で幸せな青春へと導く物語。

こちらの公式PVも合わせてどうぞ
(映画の予告編感覚で見て欲しい動画です)

感想

物語は今作のヒロイン・彩葉が学校の屋上から飛び降りようとするところを主人公の「Aくん」が目撃するシーンから始まります。
彩葉は「完璧美少女」として周りでは一目置かれた存在というのもあり、彼女がなぜ自殺を考えていたのか、私もAくん同様疑問に思いました。

疑問を残したまま進んでいくAくんと彩葉の日常。
一緒に美味しい物を食べたり、ゲームをしたり、お出かけしてみたり。この少し変わった形の関係は次第に「恋」へと変わり、彩葉にとっての「もっと生きたい」気持ちにもなっていきます。

またAくんも彩葉のために喜びそうなアイデアやサプライズを次々に思いつき、何度も彼女を楽しませていました。そして彩葉に生きる希望を与えました。
「三峰専属の空気清浄機」とか「Aくん鉄道の切符」とか彼の言葉選びやアイデアのセンスが私は凄く好きです。私もAくんのように誰かを楽しませることに幸せを感じられる人になりたいと思いました。

それにしてもなぜ彩葉は自殺しようとしていたのか?その背景には、みんなから「完璧美少女」と呼ばれていたことに対する想像以上の苦悩が関係していました。

周りでは比較対象にされることも多くなり、「特別」という言葉を嫌うようになった彼女は次第に生きづらさを感じるようになります。
他人にとっての「特別な存在」でいることが嫌になったことで彩葉は死の世界へと踏み出そうと決意してしまいますが、そんな彼女を「普通」へと導いてくれたのがAくんでした。

Aくんとの過ごすようになって少しずつ心が救われていく彩葉の姿からは、「生きていれば必ずいいことはある」ということを強く実感しました。

「生きていれば必ずいいことはある」という今作の大きなメッセージは、特に昨年から続いている予測不能な日々を過ごす私たちにとってより心に響くものではないのかなと思います。

できることが限られてしまっている今の生活。
個人的には旅行が好きなので、楽しみがひとつ減ってしまったのはとても悔しいですが、好きな作家さんの新刊を待ったり、知人と楽しい話をしたりなど「小さな楽しみ」はたくさんあります。
またAくんのようにアイデア次第で現実をちょっと楽しくすることだってできるかと思います。

小さな楽しみをたくさん見つけることで、生きることに彩りを与えてくれる。そのようなことを教えてくれる物語でもありました。

タイトルとDSマイルさんのイラストに惹かれて読んだ作品でしたが、読み終わった時はとても前向きな気持ちになれたので、率直に読んで良かったなと思いました!

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