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ごちゃマガ【エッセイ版】

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だいたい月2、3回更新。今までの記事のなかから、オススメエッセイをごちゃ混ぜでまとめたマガジンです。バラ売りしていた有料記事の一部が読めます。
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2023年1月の記事一覧

殴らずにはいられない。

殴らずにはいられない。

昔、『詩のボクシング』という番組があった。
ボクシングリングの上で、2人の詩人が自作の詩を朗読して『どちらにより殴られたか』を審査員や観客が投票して勝者を決めるのだ。

お気に入りの番組だったけれど、同時に、

「な、な、なんて野蛮なんだーー!!」

と仰天していた。
だってそうだろう。詩も、歌も、唄も、たぶん暴力とは一番縁遠いところにあってほしいと願われ続けてきたものだ。暴力とは一番遠いところに

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言葉ごときを謳う歌の話

言葉ごときを謳う歌の話

昨年は自分史上であまりにも特異的にお歌を聴いて、そしてお歌を歌っていた。

たぶん、今までの人生での歌唱時間を2022年の半年で超えたと思う。そんななかで、たいそう気に入った曲ができた。

ヨルシカの『春泥棒』だ。

ヨルシカといえば、音楽ライターの満島エリオさんが書かれていた名作エッセイを読んで、えらく感銘を受けたのを覚えている。とんでもない書きっぷりの人がいたものだ。当然、彼女が書いたエッセイ

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1964年、ひとさじの砂糖、”アップデート”、西の風。

1964年、ひとさじの砂糖、”アップデート”、西の風。

恥ずかしながら、ちゃんと腰を据えて鑑賞したのは初めてのことだ。

『メリー・ポピンズ』。
ディズニー・ミュージカル映画の金字塔である。
すばらしい作品であることはもちろん、商業的成功という点においても信じられないくらいの成功作だ。

小さい頃から、よく喋る子供だった。
両親はお喋りな長女をどうにかあやすのに苦心して、あるいは、その長女の浮世離れした、夢見がちな性格を最大限に尊重して、様々なアニメー

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