ケン・モーチ(Ken Mauch)

最近見た映画の感想文を基本ネタバレありで書いていきます。オールタイムベストは『狼は天使…

ケン・モーチ(Ken Mauch)

最近見た映画の感想文を基本ネタバレありで書いていきます。オールタイムベストは『狼は天使の匂い』。

記事一覧

【一口馬主】いろいろな種牡馬(リオンディーズ、Frankel、Tapit)について考える

シリーズ最終回です。 ・リオンディーズ〜NDを持たない馬を狙おう 種牡馬リオンディーズは父方に3本、母方に2本のNorthern Dancer血脈をもつので、極力NDの入らない繁殖…

【一口馬主】種牡馬リアルスティール(とGun Runner)について考える〜「ヘンテコな血統表の馬を狙え!」

糖質の譫言みたいなしょうもない話題が延々と続きますがお付き合いください。しかしながら、血統が好きな人にとってはなかなかに興味深い話題なのではないかと思います。 …

【一口馬主】種牡馬モーリスについて考える〜「牡馬と牝馬で成功パターンが180度変わる」

これを読んだあとに今年のサンデーのモーリス産駒を眺めてみてください。あまりのチグハグっぷりにおもわず笑ってしまうはずです。 ・なぜモーリス産駒の活躍馬は牡馬に偏…

【一口馬主】種牡馬キズナについて考える〜「母父Storm Catの血を増幅せよ!」

サンデーTCのカタログの順番でいくと、エピファネイアの次はロードカナロアなんでしょうが、俺なんぞが今さらロードカナロアについて語っても仕方ないし、なによりちょうど…

【一口馬主】1歳馬の馬体の見方(保存版)

タイトル通り、1歳馬の馬体の見方について体系的にまとめたものです。ひとつ前のエピファネイアの記事を書いているさいに、自分があまりにも馬体を見られておらないことに…

【一口馬主】種牡馬エピファネイアについて考える〜「クリスエスを弄るかシーザリオを弄るか」

本日から、サンデーTCの出資馬検討をしながら、短期集中連載のかたちで「種牡馬の成功パターン」についていろいろと考察してみたいと思います。原則的に2024年度のサンデー…

【一口馬主】歴代名馬の1歳時の馬体写真と測尺「あの時君は若かった」〜社台サンデー編

ふだん一口馬主の募集馬を検討するさいには、参考がてら写真フォルダにストックしてある歴代名馬の写真を見ながら適宜測尺を調べてチェックする、なんてなしち面倒くさいこ…

【一口馬主】サンデーサラブレッドクラブの2022年度募集馬(現3歳馬)を募集時の人気順に並べてみると…

例年Twitter(新X)でやっていたこの企画、せっかくnoteを始めたので今年からはこちらに書いてみようかと思います。面白いことに、サンデーレーシングには日本随一の相馬眼の…

最近見た映画メモその6〜『ワンダーヤリマン/ドバットマンVSスーパーマン棒の性戦』『冬の旅』

あ 『ワンダーヤリマン/ドバットマンVSスーパーマン棒の性戦』(2015)アクセル・ブラウン 前々から気になっていたヒーローもののエロパロ映画がU-NEXTとH-NEXTの狭間みた…

『No.10』感想文〜白人の作ったおとぎ話は地球外生命体をも救いうるのか?という問い

『ボーグマン』(2013)などのぶっ飛び映画で知られるオランダの奇才、アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督の長編第10作『No.10』(2021)を新宿のシネマカリテで見た。公…

最近見た映画メモその5〜『正欲』『ニモーナ』『マエストロ:その音楽と愛と』

今回もNetflix配信映画3本。例によってボロクソにこき下ろしてますが(『マエストロ』にいたっては生涯ワースト級に嫌いな作品です)、それじゃあNetflixの映画がすべからく…

最近見た映画メモその4〜『タイラー・レイク -命の奪還-2』『レッド・ノーティス』『虎を仕留めるために』

今回Netflixの映画だらけなのは、Netflixに入会したからです🤪 『タイラー・レイク -命の奪還-2』(2023)サム・ハーグレイブ お金と引き換えに対象の家族を敵のアジトから…

『ある閉ざされた雪の山荘で』感想文〜映画が2時間かけて伝えたかったもの…それは「歩きスマホの恐ろしさ」だった😲

2024年暫定ワースト映画。原作は国民的作家の東野圭吾が1992年に発表した同名のベストセラー小説です。俺はむかしから東野圭吾の映像化作品が打ち出してくる偽善的なヒュー…

『オッペンハイマー』感想文〜これは原爆映画ではない、アメリカ人の同調圧力についての映画だ!

・はじめに 遅ればせながら、クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』(2023)を見てきました。しかし、いざ見終わってみると書きたいことがあんまり思い…

『愛にイナズマ』感想文〜美しき家族愛がインチキカルトへと反転してゆくメチャコワ宗教ホラー😱

これまで石井裕也監督の映画を見るたびに(といっても3作しか見ておらないのですが)漠然と感じていた違和感の正体がようやっとわかったので、メモがてら書き残しておきたい…

最近見た映画メモその3〜『市子』『撤退』『Winny』

こんな誰も読んでおらないようなゴミみたいな記事でいちいち但し書きをしなきゃならんというのもアホくさいのですが、シリーズ1本目の冒頭に「原則的にネタバレはしない」…

【一口馬主】いろいろな種牡馬(リオンディーズ、Frankel、Tapit)について考える

【一口馬主】いろいろな種牡馬(リオンディーズ、Frankel、Tapit)について考える

シリーズ最終回です。

・リオンディーズ〜NDを持たない馬を狙おう

種牡馬リオンディーズは父方に3本、母方に2本のNorthern Dancer血脈をもつので、極力NDの入らない繁殖牝馬と組み合わせたい。
※IcecapadeはNorthern Dancerと同じNearcticとNative Dancerの組み合わせですが、このケースではNDにカウントしません。

天皇賞(春)のテーオーロイヤ

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【一口馬主】種牡馬リアルスティール(とGun Runner)について考える〜「ヘンテコな血統表の馬を狙え!」

【一口馬主】種牡馬リアルスティール(とGun Runner)について考える〜「ヘンテコな血統表の馬を狙え!」

糖質の譫言みたいなしょうもない話題が延々と続きますがお付き合いください。しかしながら、血統が好きな人にとってはなかなかに興味深い話題なのではないかと思います。

・「世代ズレ」とは?

突然ですが、みなさんは「世代ズレ」や「世代のねじれ」という概念をご存知でしょうか? 知らないのも無理はありません。なぜならこの2つは俺がいま勝手にでっち上げたオリジナルのワードだからです(笑)。ちなみに前者のほうは

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【一口馬主】種牡馬モーリスについて考える〜「牡馬と牝馬で成功パターンが180度変わる」

【一口馬主】種牡馬モーリスについて考える〜「牡馬と牝馬で成功パターンが180度変わる」

これを読んだあとに今年のサンデーのモーリス産駒を眺めてみてください。あまりのチグハグっぷりにおもわず笑ってしまうはずです。

・なぜモーリス産駒の活躍馬は牡馬に偏るのか?

現時点での賞金上位10頭のうち、牡馬とセン馬が8頭。20頭に広げてみても15頭という、恐ろしいまでのセックスバイアスを誇るモーリス産駒ですが、なぜここまで活躍馬が牡馬に偏るのか。なぜモーリス産駒の牝馬は走らないのか。その答えは

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【一口馬主】種牡馬キズナについて考える〜「母父Storm Catの血を増幅せよ!」

【一口馬主】種牡馬キズナについて考える〜「母父Storm Catの血を増幅せよ!」

サンデーTCのカタログの順番でいくと、エピファネイアの次はロードカナロアなんでしょうが、俺なんぞが今さらロードカナロアについて語っても仕方ないし、なによりちょうどハズレのカナロア産駒を掴んでしまったところでもあるので、すっ飛ばして今回はキズナです。かなり長いです。

・成功するキズナ産駒の配合とは?

キズナ産駒の賞金上位の血統表をチェックして、共通点を抽出し、文章にまとめようとしたところで愕然と

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【一口馬主】1歳馬の馬体の見方(保存版)

【一口馬主】1歳馬の馬体の見方(保存版)

タイトル通り、1歳馬の馬体の見方について体系的にまとめたものです。ひとつ前のエピファネイアの記事を書いているさいに、自分があまりにも馬体を見られておらないことに愕然としてしまい、さすがにまずいだろうってんでリハビリがてら書いてみることにしました。ただし、これはあくまで自分用のメモですし、従来のパラダイムを覆すような斬新な視点もとくに含まれていないので、過度な期待はしないようにお願い申し上げます。

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【一口馬主】種牡馬エピファネイアについて考える〜「クリスエスを弄るかシーザリオを弄るか」

【一口馬主】種牡馬エピファネイアについて考える〜「クリスエスを弄るかシーザリオを弄るか」

本日から、サンデーTCの出資馬検討をしながら、短期集中連載のかたちで「種牡馬の成功パターン」についていろいろと考察してみたいと思います。原則的に2024年度のサンデーのカタログに載っている1歳馬の父親を対象としますが、筆者は「すでにいくつかある成功例のなかから共通項を見つけ出して括っていく」という帰納法的なスタイルでしか競馬を語れないので、サートゥルナーリアやコントレイルなどの新種牡馬はすべて割愛

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【一口馬主】歴代名馬の1歳時の馬体写真と測尺「あの時君は若かった」〜社台サンデー編

【一口馬主】歴代名馬の1歳時の馬体写真と測尺「あの時君は若かった」〜社台サンデー編

ふだん一口馬主の募集馬を検討するさいには、参考がてら写真フォルダにストックしてある歴代名馬の写真を見ながら適宜測尺を調べてチェックする、なんてなしち面倒くさいことをやっていたわけですけど、これらをすべて一元化して一発で視認できるようにすると便利なのではないか、と思ってこのページを作りました。自分用の保存版。あんまり数を増やしすぎるとキリがないので掲載対象馬は過去に社台サンデーに所属したG1馬のみ。

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【一口馬主】サンデーサラブレッドクラブの2022年度募集馬(現3歳馬)を募集時の人気順に並べてみると…

【一口馬主】サンデーサラブレッドクラブの2022年度募集馬(現3歳馬)を募集時の人気順に並べてみると…

例年Twitter(新X)でやっていたこの企画、せっかくnoteを始めたので今年からはこちらに書いてみようかと思います。面白いことに、サンデーレーシングには日本随一の相馬眼の持ち主が集まっているにもかかわらず、募集時の人気とデビュー以降の戦績との間にほとんど相関がないんですね。人気上位馬(とくに1番人気)とバカみたいな高額馬がびっくりするほど走らない。毎年それを見ながら「ここの会員は見る目がないの

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最近見た映画メモその6〜『ワンダーヤリマン/ドバットマンVSスーパーマン棒の性戦』『冬の旅』

最近見た映画メモその6〜『ワンダーヤリマン/ドバットマンVSスーパーマン棒の性戦』『冬の旅』



『ワンダーヤリマン/ドバットマンVSスーパーマン棒の性戦』(2015)アクセル・ブラウン

前々から気になっていたヒーローもののエロパロ映画がU-NEXTとH-NEXTの狭間みたいなエリア(日活ロマンポルノやなんかもここにある)にたくさん置いてあったので見てみた。戦後最悪なのではないかと思われるレベルでドイヒーな本作のタイトル『ワンダーヤリマン/ドバットマンVSスーパーマン棒の性戦』(201

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『No.10』感想文〜白人の作ったおとぎ話は地球外生命体をも救いうるのか?という問い

『No.10』感想文〜白人の作ったおとぎ話は地球外生命体をも救いうるのか?という問い

『ボーグマン』(2013)などのぶっ飛び映画で知られるオランダの奇才、アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督の長編第10作『No.10』(2021)を新宿のシネマカリテで見た。公開当初、各所から聞こえてきたのは「意味不明」だの「難解」だのいうネガティブなワードばかり。こともあろうに映画評論家ですら匙を投げてまともなレビューを書かない始末なので、ガチガチに身構えて見に行ったのだけれど、意外や意外、こ

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最近見た映画メモその5〜『正欲』『ニモーナ』『マエストロ:その音楽と愛と』

最近見た映画メモその5〜『正欲』『ニモーナ』『マエストロ:その音楽と愛と』

今回もNetflix配信映画3本。例によってボロクソにこき下ろしてますが(『マエストロ』にいたっては生涯ワースト級に嫌いな作品です)、それじゃあNetflixの映画がすべからくつまらないのかというともちろんそんなことはなく、感想が一行たりとも思いつかなかったのであえて取り上げなかったウルグアイ映画『雪山の絆』(2024)はめちゃくちゃいい作品だと思いましたよ。パニック映画の新たな金字塔です。みなさ

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最近見た映画メモその4〜『タイラー・レイク -命の奪還-2』『レッド・ノーティス』『虎を仕留めるために』

最近見た映画メモその4〜『タイラー・レイク -命の奪還-2』『レッド・ノーティス』『虎を仕留めるために』

今回Netflixの映画だらけなのは、Netflixに入会したからです🤪

『タイラー・レイク -命の奪還-2』(2023)サム・ハーグレイブ

お金と引き換えに対象の家族を敵のアジトから逃がす凄腕の殺し屋タイラー・レイク。次なるターゲットは「DV夫に軟禁された奥さんと子供」だ! っていうといかにもしょぼそうな感じがしますがこのDV夫、じつは麻薬や武器の取引で財を成したジョージアきってのギャング

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『ある閉ざされた雪の山荘で』感想文〜映画が2時間かけて伝えたかったもの…それは「歩きスマホの恐ろしさ」だった😲

『ある閉ざされた雪の山荘で』感想文〜映画が2時間かけて伝えたかったもの…それは「歩きスマホの恐ろしさ」だった😲

2024年暫定ワースト映画。原作は国民的作家の東野圭吾が1992年に発表した同名のベストセラー小説です。俺はむかしから東野圭吾の映像化作品が打ち出してくる偽善的なヒューマニズムが死ぬほどニガテで、日本映画史上屈指の傑作としてたびたび名前が挙がる『容疑者Xの献身』(2008)やなんかにもまったくノれず、「こんなの全然いい話じゃねえよ」と言い続けてきたわけですけど、ここへきてようやく時代の方が追いつい

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『オッペンハイマー』感想文〜これは原爆映画ではない、アメリカ人の同調圧力についての映画だ!

『オッペンハイマー』感想文〜これは原爆映画ではない、アメリカ人の同調圧力についての映画だ!

・はじめに

遅ればせながら、クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』(2023)を見てきました。しかし、いざ見終わってみると書きたいことがあんまり思いつかない(笑)。なぜ本作を語ることがこんなに難しいのかといえば、この作品がまごうかたなき「伝記映画」だからなのでしょう。ただ伝記的事実をつらつらと述べたてるのでは単に話のあらすじを書いているだけになってしまうし、実在した人物にむかっ

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『愛にイナズマ』感想文〜美しき家族愛がインチキカルトへと反転してゆくメチャコワ宗教ホラー😱

『愛にイナズマ』感想文〜美しき家族愛がインチキカルトへと反転してゆくメチャコワ宗教ホラー😱

これまで石井裕也監督の映画を見るたびに(といっても3作しか見ておらないのですが)漠然と感じていた違和感の正体がようやっとわかったので、メモがてら書き残しておきたいと思います。

近頃ものすごい勢いで映画を撮りまくっている石井監督ですが、彼の作品からビンビンに伝わってくるのは「社会の不正義に対する怒り」です。腐敗した政治、アベノマスク、コロナ禍、業界の因習、ハラスメント行為、貧困、劣悪な労働環境、国

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最近見た映画メモその3〜『市子』『撤退』『Winny』

最近見た映画メモその3〜『市子』『撤退』『Winny』

こんな誰も読んでおらないようなゴミみたいな記事でいちいち但し書きをしなきゃならんというのもアホくさいのですが、シリーズ1本目の冒頭に「原則的にネタバレはしない」と書いてしまった手前、あらかじめお断りをしておかなければなりません。最初に掲げた『市子』のレビューの中ではいちおう致命的なネタバレを避けているつもりですが、物語の核心に触れるような描写やワードをいくつか含んでおりますので、神経質な方は気をつ

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