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【一口馬主】種牡馬モーリスについて考える〜「牡馬と牝馬で成功パターンが180度変わる」

これを読んだあとに今年のサンデーのモーリス産駒を眺めてみてください。あまりのチグハグっぷりにおもわず笑ってしまうはずです。


・なぜモーリス産駒の活躍馬は牡馬に偏るのか?

現時点での賞金上位10頭のうち、牡馬とセン馬が8頭。20頭に広げてみても15頭という、恐ろしいまでのセックスバイアスを誇るモーリス産駒ですが、なぜここまで活躍馬が牡馬に偏るのか。なぜモーリス産駒の牝馬は走らないのか。その答えはG1馬2頭の馬体と血統を見てみれば一目瞭然なのではないでしょうか。

ジャックドール(1歳7月)
ピクシーナイト(1歳7月)

両方ともお父さんのモーリスによく似ているんですね(とくにジャックドール)。身体の各パーツの自己主張が非常に強く、肩の周りや臀部には筋肉がビッシリついている。くわえて2頭とも大型馬です。さらに、ジャックドールは母がUnbridled's SongとマイラーのShadeed、ピクシーナイトは母がキングヘイローとサクラバクシンオーの組み合わせ。いずれもサンデーサイレンスのクロスを持たず、パワーやスピード寄りのベクトルを向いているのが特徴です。したがって、牡馬の場合にはあまり奇をてらわず、母方の血でもってパワーやスピードを強化した結果モーリス似に出た産駒を選ぶのがよいかと思われます。


・それでもあえてモーリス牝馬を狙うなら

以上のことから牝馬がいまいち走らない理由が見えてきます。すなわち、いかにも牡馬的なムキムキした馬体を伝えがちなモーリスの血と、牝馬特有のしなやかさとがうまく噛み合っておらないのではないか、というわけです。その証拠に、数少ない女の子の活躍馬であるジェラルディーナとディヴィーナは父とあまり似ていません。

ジェラルディーナ(1歳6月)

2頭ともどちらかというと小型〜中型で線も細く、いわゆる筋骨隆々というタイプではない。血統的に見ても、賞金上位20頭に入った5頭の牝馬のうち、シゲルピンクルビーを除いた4頭はいずれも母父にスタミナタイプのサンデーサイレンス直系血統を持っています(ディープインパクト、ダンスインザダーク、ハーツクライ)。シゲルについても母がHigh ChaparralとSinndarの組み合わせなので、やはりスタミナタイプです。あえてモーリス産駒の牝馬を狙うぞ、という人はこのあたりに気をつけてみるとよいかもしれません。


・補遺〜モーリスの血統のツボ

ちゅうてたら賞金上位の4頭目にスペシャルウィーク×トニービン×Dixieland Band肌のマテンロウスカイが出てくるわけですが(笑)、これはタマ無しの馬なのでセーフということで(笑)。

モーリス産駒はシンプルでダイレクトなクロスが効果的。ただし、唯一Robertoのクロスだけはあまり効きめがないようです(母母父シンボリクリスエスのラーグルフぐらい?)。

→サンデーサイレンス、Haloのライン(どちらかというと後者の方が効く)
ジェラルディーナ、ピクシーナイト、ディヴィーナなど

→Sadler's Wellsとニアリーな血
ジャックドール(母母父ShadeedがNorthern DancerとForliの組み合わせ)、ディヴィーナ(Nureyev)、ラーグルフ(Fairy King)
番外的なところでいうと、ジェラルディーナはSadler's Wellsを飛び越してカーネギー≒Bertolini≒リファーズスペシャルと言ってもよいかなりぶっ飛んだ配合になっています。

→Lyphardのクロス(ディープインパクト経由が多い)
ジェラルディーナ、ピクシーナイト、ディヴィーナ

他に目立つのは、Damascus(ジャックドールとピクシーナイトはこれとFrancis S.をセットで持っている)、薄めのDanzigクロス(デインヒル経由はダノンエアズロックぐらい?)あたりでしょうか。

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