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【一口馬主】「募集時の馬体重が450キロ以上」だった馬のその後を追ってみたら…ガチのマジでヤバすぎる結果に😱

募集時の馬体重は驚異の530キロ!

歴代の名馬の測尺をズラッと並べた記事のなかで、「過去10年に募集された社台サンデー所属のG1勝ち馬はいずれも募集時の馬体重が450キロを下回っている」ということをお伝えしましたが、今回はそれの番外編。サンデーTC募集時の馬体重が450キロを上回っていた馬のその後を追跡したデータです。タイトルの時点ですでにネタバレしてしまったのですが、結論からいうと、ある一定の数字を超えた大型馬の成績は壊滅的なレベルです。おもな理由としては、身体が大きすぎて仕上がらなかった、脚に負担がかかりすぎて満足な調教が積めなかった、(各馬の生まれ月を見てもらえればわかるように)そもそも単なる早熟馬だった…などが挙げられるかと思います。デビューできた馬に関しては、デビュー時期とデビュー時の馬体重も併記しています。
デカすぎる馬のヤバさはサンデーの募集馬を列挙するだけでもじゅうぶんに伝わると思うので、例によって社台はカット。もちろん、この数字は募集時期が遅いシルクやキャロットなどのクラブには当てはまらないので注意してください。適宜10〜20キロぐらい足してもらうとちょうどいい感じになるのではないかと思いますよ。

※以下の戦績はすべて2024年6月16日時点のものです。


・2022年度募集馬(現3歳)

マーシャルポイント(トリプライトの21)
2/1 管囲20.8
募集時452キロ→デビュー(2歳9月)476キロ
4戦2勝[2-1-0-1]

コンテネレッツア(アドマイヤセプターの21)
1/16 管囲19.9
募集時457キロ→デビュー(2歳11月)472キロ
3戦0勝[0-2-1-0]

カイゼルスベルグ(ヴィヤダーナの21)
2/9 管囲21.8 体高165.0
募集時464キロ→😰
未出走

バスターコール(デグラーティアの21)
2/12 管囲20.6
募集時454キロ→デビュー(2歳6月)484キロ
5戦1勝[1-1-0-3]

フォートボヤール(ローエキスキーズの21)
1/26 管囲21.3
募集時454キロ→デビュー(2歳10月)484キロ
5戦0勝[0-1-0-4]

モンテレオン(セレスタの21)
2/13 管囲21.9
募集時468キロ→デビュー(2歳11月)540キロ
2戦0勝[0-0-0-2]

クラリファイ(クオウトの21)
1/14 管囲20.8 体高160.0
募集時458キロ→デビュー(2歳8月)508キロ
4戦0勝[0-0-0-4]

アセレラシオン(クレアドールの21)
2/10 管囲22.0 体高160.0
募集馬462キロ→デビュー(2歳7月)524キロ
4戦1勝[1-0-0-3]

キーノート(タッチングスピーチの21)
2/14 管囲22.6 体高160.0
募集時481キロ→😰
未出走

ダイヤモンドレイン(シーウィルレインの21)
1/23 管囲20.5
募集時451キロ→デビュー(3歳1月)490キロ
4戦1勝[1-0-1-2]


・2021年度募集馬(現4歳)

スワッグチェーン(メジャーエンブレムの20)
3/17 管囲21.5
募集時457キロ→デビュー(2歳7月)504キロ
4戦0勝[0-1-1-2]

キャッスルクラス(キングスローズの20)
1/20 管囲21.9 体高161.0
募集時510キロ→デビュー(3歳6月)582キロ
3戦0勝[0-0-0-3]

エルダーサイン(コンドコマンドの20)
2/18 管囲20.2
募集時460キロ→デビュー(2歳6月)470キロ
6戦0勝[0-0-0-6]

リベイラパレス(アドマイヤセプターの20)
1/18 管囲21.0
募集時470キロ→デビュー(3歳4月)544キロ
2戦1勝[1-0-0-1]

ノッキングポイント(チェッキーノの20)
1/30 管囲21.0
募集時450キロ→デビュー(2歳6月)464キロ
10戦3勝[3-1-0-6]*新潟記念(G3)🥳

グロッターリエ(マルシアーノの20)
2/26 管囲21.4
募集時472キロ→デビュー(3歳2月)520キロ
1戦0勝[0-0-0-1]

シャンディエン(デグラーティアの20)
2/14 管囲21.6
募集時453キロ→デビュー(2歳6月)486キロ
15戦1勝[1-3-2-9]*中央では未勝利

リアルデグニティ(バランセラの20)
2/26 管囲21.5 体高161.0
募集時460キロ→デビュー(3歳1月)542キロ
13戦3勝[3-3-2-5]*中央では未勝利

コンエネルジア(レディイヴァンカの20)
1/18 管囲21.1
募集時469キロ→デビュー(2歳6月)500キロ
3戦0勝[0-1-1-1]*予後不良

エプルシャージュ(シャンパンルームの20)
3/14 管囲22.6 体高162.0
募集時530キロ→デビュー(2歳10月)618キロ
8戦3勝[3-0-1-4]*中央では未勝利

ネアセリーニ(スウィートリーズンの20)
2/19 管囲21.4
募集時464キロ→デビュー(2歳7月)508キロ
3戦1勝[1-1-0-1]

ピヌスアモリス(フォエヴァーダーリングの20)
2/25 管囲21.5
募集時462キロ→デビュー(2歳6月)480キロ
7戦0勝[0-2-0-5]

バトルハーデン(ラヴズオンリーミーの20)
2/19 管囲20.8 体高161.5
募集時469キロ→デビュー(3歳6月)524キロ
9戦3勝[3-2-1-3]

グラングスト(バラダセールの20)
2/8 管囲20.0 体高161.0
募集時493キロ→デビュー(2歳12月)542キロ
12戦1勝[1-3-0-8]

ジェモロジー(ファシネートダイアの20)
2/4 管囲20.7 体高160.0
募集時463キロ→デビュー(2歳7月)486キロ
13戦2勝[2-3-4-4]

ダイヤモンドハンズ(メチャコルタの20)
2/7 管囲22.0
募集時462キロ→デビュー(2歳6月)498キロ
5戦1勝[1-0-2-2]

スティーロポリス(マザーウェルの20)
2/19 管囲21.3
募集時452キロ→デビュー(2歳8月)500キロ
7戦1勝[1-0-1-5]

エクロジャイト(オージャイトの20)
1/25 管囲21.5
募集時464キロ→デビュー(2歳6月)494キロ
11戦3勝[3-0-2-6]*鳳雛S(L)


・2020年度募集馬(現5歳)

コマンドライン(コンドコマンドの19)
2/20 管囲21.7 体高160.0
募集時459キロ→デビュー(2歳6月)512キロ
8戦2勝[2-0-0-6]*サウジアラビアRC(G3)🥳

メジャークロニクル(キャッチータイトルの19)
1/23 管囲21.6 体高160.0
募集時480キロ→デビュー(3歳2月)550キロ
11戦4勝[4-3-0-4]*中央では2勝

シャンドマルス(プレシャライジングの19)
4/20 管囲21.3
募集時477キロ→デビュー(3歳6月)612キロ
3戦0勝[0-0-0-3]*種牡馬入り😲

グーデンドラーク(ベルスリーブの19)
3/29 管囲20.5
募集時456キロ→デビュー(2歳7月)520キロ
14戦3勝[3-3-0-8]

ジュビレオ(リリウムの19)
2/7 管囲20.0
募集時458キロ→デビュー(2歳12月)512キロ
2戦0勝[0-0-1-1]

アメジストブラック(アメジストリングの19)
3/8 管囲20.3
募集時451キロ→デビュー(3歳3月)522キロ
7戦1勝[1-1-2-3]

クリスピノ(エピックラヴの19)*故障で募集中止
1/23 管囲21.0
募集時458キロ→デビュー(3歳8月)513キロ
8戦3勝[3-1-1-3]*中央では未勝利

ベルクレスタ(ベルアリュールIIの19)
2/16 管囲19.7
募集時459キロ→デビュー(2歳6月)462キロ
19戦2勝[2-3-2-12]*アルテミスS(G3)2着

ヴァラダムドラー(バラダセールの19)
2/8 管囲19.8
募集時464キロ→デビュー(2歳7月)532キロ
9戦0勝[0-0-0-9]


・2019年度募集馬(現6歳)

レガトゥス(アドマイヤセプターの18)
1/22 管囲21.5
募集時476キロ→デビュー(2歳6月)554キロ
16戦3勝[3-1-4-8]

リーチザワールド(ストロングメモリーの18)
2/10 管囲21.0
募集時478キロ→デビュー(2歳12月)542キロ
4戦0勝[0-1-0-3]

インフィナイト(モルガナイトの18)
1/22 管囲20.4
募集時461キロ→デビュー(2歳8月)490キロ
18戦2勝[2-1-2-13]*サウジアラビアRC(G3)2着

ゴールデンプルーフ(リビングプルーフの18)
1/22 管囲20.8
募集時450キロ→デビュー(2歳8月)462キロ
13戦2勝[2-3-1-7]


・2018年度募集馬(現7歳)

スタインウェイ(ジュエルオブザナイトの17)
3/29 管囲21.2
募集時459キロ→デビュー(2歳6月)490キロ
25戦2勝[2-4-5-14]*中央では未勝利

アルティフェクス(アルスノヴァの17)
1/21 管囲21.1
募集時470キロ→デビュー(3歳5月)536キロ
9戦0勝[0-0-0-9]

ルーツドール(リュヌドールの17)
1/26 管囲21.5
募集時471キロ→デビュー(2歳11月)524キロ
12戦2勝[2-1-0-9]


・まとめ

年をさかのぼるごとに対象馬が減っていくのはなぜなのか、計測時期が今と違っていたんですかね。ぜんぜん覚えてない…😰
一口馬主で元を取ろうと思ったら、だいたい募集額の2倍の賞金を稼がないといけないと言われているわけですが、今回挙げた馬でこの条件を満たしたのはノッキングポイント1頭のみ。この馬は馬体重が450キロちょうどなので、まあほとんど例外と言ってよいでしょう。体感ではだいたい460キロを超えはじめるあたりから活躍馬が出なくなるように思います。管囲が21.5センチ以上、体高が160.0センチ以上、などの要素が付け加わると成績はさらに落ちます。

その他に気になったポイントをいくつか指摘しておきます。

・早枯れの馬が多い
大型にもかかわらず2歳の6月や7月にデビューした馬が多いことに驚かされます。その一方で、コマンドラインやベルクレスタに象徴されるように、早い段階でさっさと勝ち上がって重賞でも連帯するのだけれど、クラスが上がったり周りが成長して追いついてくるとまったく通用しなくなってしまう、といったケースが非常に目立ちます。1歳の時点で身体が大きいということは、それだけ馬体の完成が早いということでもあるので、その分だけ伸び代も失われてしまうのかもしれません。野球にたとえるなら、U-15日本代表を経験したスーパー中学生がプロ野球はおろか高校野球でもあんまり通用しない、みたいな感じでしょうか。

・脚元の弱い馬が多い
冒頭でも指摘したように、身体の大きな馬は脚にかかる負担が大きすぎるため、トレーニングで強い負荷をかけることができない。その結果、シェイプアップできず身体がますます大きくなってしまう→身体が大きくなると脚元への負担もそれだけ大きくなる→脚元への負担が大きいのでトレーニングで負荷をかけることができない→以下繰り返し…という悪循環に陥ってしまうものと予想されます。このスパイラルが極点に達した段階で致命的な故障が発生してしまうわけです。管囲が太い馬からは、いかにも骨太で丈夫そうな印象を受けますが、実はそうでもないようです。また、上半身からくる衝撃を受け止めることに寄与しないばかりか、(脚が太すぎて)スピード能力を削いでしまっている可能性さえあります。

・大型馬=ダート馬というわけではない
面白いのが、数少ない活躍馬のほとんどが芝馬だということです。今回取り上げた馬の中にはいかにもダートで活躍しそうなパワー寄りの血統をもった馬も多いわけですけど、彼らは往々にして「身体が大きすぎてなかなか態勢が整わず、3歳の初夏ごろにようやっとデビューするもやっぱり勝てずに結局は地方へ…」といった末路をたどっています。これは他のところでも書いた「一流のダート馬は1歳のころからダート馬である必要はない」という俺の持論とも響き合うものがありそうです。


以上、インフレキシビリティの23とピノの23をあきらめるための記事でした(笑)。

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