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【一口馬主】2024年度サンデーTC出資馬検討メモ(関西馬編)

関西馬編です。
前回あげた馬と合わせたうえで、絶対に買えない馬を差し引くと10頭ぐらいですか。さらにそこから候補を半分に絞って、最後はニュース速報(嫌儲)の競馬好きケンモメンにアンケートをとって評判のよかった順に2頭申し込む、というのがここ2年の流れになっております(もちろん最後は自分の意思で決めるわけですが)。去年は結局、第1希望バンゴールの22(モティスフォント)と第2希望エピックラヴの22(ラヴァブル)に申し込んで後者への出資が確定。当時立てたスレをあらためて見ると、他にはデアマトローナ、ラッフルズドリーム、アルハイルフォートなどが候補に上がっていて、現時点では愛馬ラヴァブルを含めどれも評判がよく、ここまで順調にきているそうです。

どう頑張っても買えない馬なのであえて触れませんでしたが、ピノの23やヤンキーローズの23なんかもすばらしくよい馬だと思いましたよ。


50 クロノジェネシスの23 牡 2/15
父エピファネイア×母父バゴ
153.0 170.5 20.5 417 450万円 斉藤崇史

Nureyevとサンデーサイレンスをセットで持つエピファネイアのゆるい成功パターン。
歩かせてみると一目瞭然ですが、前肢や飛節を思いっきり投げ出して柔らかく歩き、それでいて腰の位置や体幹が微塵もブレない極上の常歩は募集時のクロノジェネシスそっくり(ぜひ見比べてみてください)。前に書いたエピファネイアの記事のなかで「父の典型的な馬体のうえに繁殖牝馬の美点が付け加わった馬を狙え」と書きましたが、これなんかはかなり理想的な例なのではないかと思います。


51 チェッキーノの23 牡 3/26
父エピファネイア×母父キングカメハメハ
153.0 171.5 20.4 425 300万円 松下武士

みなさんご存知、エピファネイア×キングカメハメハの組み合わせは、三冠牝馬デアリングタクトや府中牝馬Sのイズジョーノキセキなどを輩出したニックス配合…なのかと思いきや実はそうでもなかったりします。これまでに60頭以上がデビューして中央で勝ち上がったのは27頭ぐらい?(手計算でスイマセン)とアベレージ自体は悪くないのだけれども、大物になる確率が低く、重賞を勝ったのも上記の2頭だけ。さらにタチの悪いことに、この組み合わせの賞金上位5頭までが牝馬なんですね(上から4頭は初年度産駒でもある)。牡馬の場合はむしろバッドニックスと言ってもいい。
また、本馬は馬体にも欠陥があって、両前肢が膝が前に飛び出た状態で湾曲しています。このいわゆる「湾膝」は弓脚ほど致命的ではないとされているのですが、本馬のケースは一瞥した瞬間に判別できてしまうぐらい程度が甚だしいため、一口300万円もする高額馬だということを考えるとなかなか厳しいものがあります(現状の人気のなさもおそらくこれが理由なのではないかと思われます)。
ただし、上記の欠点にさえ目をつむれば本当にすばらしい馬です。そこまで大きくキビキビ動いていないにもかかわらず、薄い皮膚越しに容量の大きい良質な筋肉が透けて見えるあたりはグランアレグリアを彷彿とさせます。


56 ミスティックジャーニーの23 めす 1/16
父キズナ×母父Needs Further
150.5 167.5 20.6 382 125万円 安田翔伍

お母さんはタスマニアのセリ市で100万円ちょいの安値で落札されたのちに、4億円以上の賞金を稼ぎ出した名牝。安馬ですが代々試みられてきた配合はなかなか凝っています。まずは4代母のL Anno d'Oro。この部分でRoyal Charger=Tessa Gillianの全きょうだいクロスが発生しています(同牝系出身の英ダービー馬Golden Hornが同じクロスを薄く持っている)。さらに、母White Goldの代ではTessa Gillianの孫Klairessaの牝馬クロス(3×4)。このKlairessaの孫からはKaapstad≒Octagonal =Colombiaの3兄弟が、ひ孫からはDanewinとコマンズの兄弟が出ており、これらはいずれもオセアニアの血統を語る上では欠かせない馬たちです。それにくわえて自身ミスティックジャーニーの代では、これまたオセアニアの名種牡馬Zabeelの母でありNeeds Furtherの3代母でもあるLady Giselleをクロスして4×4。しかし、子供がゴチャゴチャに積み上げたおもちゃのブロックのような血統の繁殖牝馬がキズナに合うかと言われると途端に困ってしまう(笑)。デインヒルとLomondを同時に持つキズナ産駒というのはジャスティンミラノと同じだし、Encosta de LagoやLyphardのクロスも入るなどして、意外と悪くなさそうな気はします。
さて、前置きが長くなりましたが馬体も見てみましょう。カタログでも言及されているように1月生まれとは思えないほど幼い身体なのですが、他のところにも書いたように「キズナ産駒は崩れていてナンボ」。でかい腹袋と腰高の条件さえ満たしておれば後から勝手に伸びてきます。歩様の印象も含め、近年の活躍馬のなかではソングラインあたりと似ているのではないでしょうか。


57 シンプリーラヴィシングの23 めす 2/8
父キズナ×母父Laoban
155.0 170.0 19.6 403 150万円 武英智

キングヘイロー、シンボリクリスエス(Storm Catと脈絡)、Exceed And Excel、クロフネ、ボストンハーバー…種牡馬キズナはシンプルなスピード血統やパワー血統で固めた繁殖牝馬との組み合わせから多くの活躍馬を輩出しています。本馬の母父Laobanは今回はじめて知った馬ですが(笑)、その父Uncle Moが仕上がりが早く2歳の短距離戦に強い種牡馬であることや、母父のSpeightstownが日本ではダートのスプリンター血統として知られていることなどを考えると、キズナとのカップリングは合っていそう。さらに母母父のMore Than Readyも単調なスピードを伝える種牡馬です。
これもミスティックジャーニーと同じく幼い馬体ではあるものの、のちに伸びてきそうな要素はしっかりと備えています。ただし、極端な直飛というわけでもないのに飛節があまり伸びないのがマイナスポイント(個人的にこういう馬のことを「ポキポキ系」と呼んでいます)。よく見ると後管が無駄に長く、ヨロの部分がちょっぴり短いような気もします。けれども、今あげた懸念材料以外にケチをつけるところはないですし、筋肉の質感もすごく好み。全体的にハイクオリティな歩き方をする馬です。


61 フォースタークルックの23 めす 1/30
父キタサンブラック×母父Freud
154.0 177.5 20.8 417 150万円 奥村豊

母父のFreudはGiant's Causewayの全弟で、これと父の組み合わせからは障害のトップホース、エコロデュエルが出ています。しかしキタサンブラックと相性のよい血統というのは正直わからない、という他ない。賞金ぶっちぎり1位のあの馬は母父のキングヘイローでもってブラックタイドをいじりつつ母系からスタミナを添加、2位のソールオリエンスは欧州の鈍重なスタミナ血統にミスプロやらデインヒルなどをパラパラと散りばめたような配合です。そうかと思うと3位のガイアフォースは母父クロフネで母母父がサンデーサイレンスの組み合わせだし、4位のウィルソンテソーロは異系が強めのオールアメリカン血統。活躍馬に目立つものを強いてあげるなら、フレンチデピュティやヌレサドなどのありふれた血でしょうか。どこからでも当たりが出そうな気はします。
1月生まれのわりには幼さが目立つ馬体ですが、これも先ほどの2頭と同じで、伸び代を感じさせる条件を満たしているのでOK。あえて指摘するなら腹袋のボリュームがもう少しほしいのと、直飛が気になるぐらい。個人的には「可動域が広すぎる馬」というのは柔らかさよりも緩さのほうに振れてしまうケースが多いため警戒したいところですけども、しっかりとした上体の動きを見る限り、その恐れはあまりなさそうです。過去の名馬にたとえるなら、オークスを勝ったシンハライトの募集時に近い歩き方なのではないかと思います。


68 エイプリルミストの23 牡 2/28
父サートゥルナーリア×母父ディープインパクト
155.0 166.5 20.0 399 125万円 宮本博

父サートゥルナーリアはリオンディーズと3/4同血なので、リオンディーズと同じく「Northern Dancer濃度のなるべく低い繁殖牝馬」と組み合わせるとよいのではないかと推測しています(エピファネイアの場合は父シンボリクリスエスがノーND)。本馬は母父ディープインパクトが1本、母母父のTapitが1本のNDを持っています。母父がLyphard持ちのサンデーサイレンス系でもう1本がNijinsky経由で入る、というのは同産駒初勝利を決めたコートアリシアンと同じ。ただし、いまは成功パターンがどうこういう時期ではないので、今後注視していきたいところです。
馬体に目を転じると、完璧なバランスで組み上がった骨格に柔軟な筋肉をまとい、それをべらぼうに薄い皮膚が覆っています。誰が見ても「カッコいいな」と思ってしまうはずです。それでいてまだまだ腰高の体型ゆえ、さらなる成長も見込めそう。歩様はめちゃくちゃ大きく柔らかく動く、というタイプではないですが、後躯は見るからに強靭で、体幹のブレも非常に小さく、いかにも弱点の少なそうな歩き方をしています。あえていうなら曲飛が気になるぐらいでしょうか。


73 シルバーポジーの23 牡 2/11
父ルヴァンスレーヴ×母父クロフネ
154.0 178.0 20.6 455 90万円 野中賢二

シンボリクリスエスとDeputy Ministerといえば、フェブラリーSのサクセスブロッケンなど、数多くの一流ダート馬を生み出してきたニックス。本馬も父と母父を通してこの組み合わせを受け継いでいます(しかしフレンチデピュティを通すと途端に成績が落ちてしまうのがむずかしい)。くわえて母父がクロフネ、牝系はフェアリードールですから、配合の狙いは明らかです。懸念はサンデーサイレンスのクロスのせいで、芝とダートのどちらにも特化できない馬になってしまう可能性があるぐらいか。
これはリアルスティールの記事にも書きましたけども、「ダートの一流馬は必ずしもダート馬っぽくなくていい」というのが俺の持論で、とくに1歳の馬がムキムキの筋肉を備えている必要はない、と思っております。そんなものは育成段階に移ってから付ければいいわけですから。イメージとしては「大きくしなやかに動ける土台」の上にのちのトレーニングでダート向きの筋力をつけていく感じですね。このプロセスをみごとに踏んでみせたのが本馬の父ルヴァンスレーヴ。1歳の頃はそれこそ芝でもいけるんじゃあないか、というぐらい柔らかな歩様を見せていました。本馬も筋肉の柔らかさ、可動域の広さ、そして柔らかさの中にほの見えるパワー、などなど父のDNAを確実に受け継いでいます。



91 ミッドナイトビズーの23 めす 2/24
父Tapit×母父Midnight Lute
153.0 164.5 19.0 394 175万円 高野友和

近年でも「令和のセクレタリアト」ことFlightlineを輩出した大種牡馬Tapitと、アメリカの古馬牝馬チャンピオン・ミッドナイトビズーとの豪華カップリング。Tapitは主流血統が非常に強いため、マイナーな血統で固めた繁殖牝馬とのアウトブリード的な配合が成功しやすい、ってなことを書きました。そこへいくと本馬の母は、ミスプロ傍系のReal Quiet(米2冠馬ながら種牡馬としては失敗)産駒のMidnight Luteを父にもち、母父はこれまた珍しいSovereign Dancer系のRepent、母母父はSecretariat系のTour d'Or、きわめつけに3代母父はRound Table系のHigh Counselと、枝葉を広げることができなかった異系傍系の種牡馬たちの血で占められており、
Tapitの相手としては申し分なしです。さらに、Tapitは長丁場のベルモントSの勝ち馬を多く出しているように、わりとスタミナ寄りの血統でもあるので、スプリンター種牡馬のMidnight Luteでもってスピードを注入する、というのもプラスに働きそうです。
これまた再三言っているように、この馬も「腹袋が巨大」で「極端な腰高」体型という俺の考える理想的な1歳馬の馬体をしています。ちょい小さめで丸みの足りないトモが少し気になるところではありますが、牝馬ですし、マル外や持ち込み馬を日本馬と同じ尺度で測っても仕方がないのでここは不問としました(最近だとマッドクールがわりとヘンテコな馬体でした)。捌きはけっこう硬めですが、筋肉自体は柔らかく出ています。特筆すべきは強靭な後躯。腰高かつ未発達な状態でそう感じさせるわけですから、今後さらにパワーがついてくればかなり楽しめそうです。

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