天津佳之

歴史小説の書き手。第12回日経小説大賞受賞。『利生の人 尊氏と正成』(日経BP/日本経済新聞出版本部)『和らぎの国 小説・推古天皇』(日経BP/日本経済新聞出版本部)。最新刊『あるじなしとて』(PHP研究所) 。

天津佳之

歴史小説の書き手。第12回日経小説大賞受賞。『利生の人 尊氏と正成』(日経BP/日本経済新聞出版本部)『和らぎの国 小説・推古天皇』(日経BP/日本経済新聞出版本部)。最新刊『あるじなしとて』(PHP研究所) 。

    最近の記事

    『利生の人』のこと②

    お盆も迫ってきた時節、だいぶん暑さにも慣れてきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。 前回からデビュー作『利生の人 尊氏と正成』のことを書きはじめましたが、何かやり出すと忙しくなる、というのも人の世の常と言いますか。 少し間が空いてしまいましたが、前回、本作のテーマが「禅」であって、足利尊氏と楠木正成が禅の同門であった、と子どもの時に聞いたことが発想のもとにあった……というところまで話をしました。 今回はその続きです。 建仁寺は、京都五山の第三位を占める禅寺です。開

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      • 『利生の人』のこと①

        何だか今年の夏は早いと思いきや、梅雨が復活するやら。なかなか落ち着かない陽気なうえ、世上もいろいろな出来事で騒がしいままですね。 こういうときこそ平常心、当たり前のことが当たり前にできるようでありたいなと思う日々です。 さて、最新作『あるじなしとて』。ありがたいことに、いくつか書評をいただいており、恐縮するやら嬉しいやら。大変光栄なことで、改めて感謝を申し上げる次第です。 今回はデビュー作『利生の人 尊氏と正成』につきまして。 発売からすでに1年半ほど。ありがたいことに、

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        • 【サンプル公開】『菊の剣』第一回・備前国則宗

          まずは、拙作ご紹介からさせていただければ。 受賞第一作、飛鳥時代初期を舞台に日本の国家としての黎明期を描いた『和らぎの国 小説・推古天皇』(日経BP/日本経済新聞出版本部)。 そして新刊、国政改革を志した政治家・菅原道真を題材とした『あるじなしとて』(PHP研究所)。 それぞれ好評発売中です。 参院選挙の時期ですが、両作品ともに為政者のお話でもありますので、政治とは何か、と考えるきっかけになればなと思ったりもしています。 ご興味いただければ幸いです。 デビューして1年半

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          • 味酒安行と牛。(『あるじなしとて』)

            天満宮に行くと必ず見かける「撫で牛」。 参拝の皆さんに撫でられまくっているおかげで、ぴかぴかでつるつるの子が多いですね。 頭を撫でると天神さんが知恵を授けてくれる、とか。あるいは、身体の悪いところを撫でると不調を治してくれる、とか。 いろんな言われかたをしますが、そもそもなんで"天満宮に牛"なのか。 今回は、そのあたりをお伝えしつつ、拙作『あるじなしとて』のサブ主人公・味酒安行(うまさけのやすゆき)のお話をしたいと思います。 天満宮と牛。 もちろん、そこにはご祭神である

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            平安のお仕事小説。

            天神・菅原道真が“政治家”として目覚め、国政改革に奮闘する新刊『あるじなしとて』(PHP研究所)。一部オンライン書店さんにて電子書籍での配信も始まっています。この機会に、どうぞお手に取っていただければ。 さて、「菅原道真」と言えば学者や詩人としてのイメージが強いかと思います。学者としては文章博士を務め、六国史の類書である『類聚国史』の編纂が良く知られた仕事ですね。 漢詩人としては『菅家文草』の名作の数々、歌詠みとしても「東風吹かば」や「神のまにまに」など、学識はもちろん、言

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            神のまにまに。

            "政治家"菅原道真の半生を描いた『あるじなしとて』(PHP研究所)が、いよいよ明日6/10に発売されます。 これまでに語られてこなかった、志高く骨太な政治の人としての菅公さんを描きました。どうぞ、お読みいただければ幸いです。 本作は大もとの着想から12年、第一稿の完成に6年、さらに三度の全面改稿を経て、ようやく皆さんにお届けすることが叶いました。 私自身としても、とても思い入れのある作品です。 学問の神様や悲劇の文人貴族、そして怨霊として語られる道真。その伝承上の姿にはど

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            ご縁がつないだ新作出版の経緯。

            さてさて、まずは新刊のご紹介を。 "天神”菅原道真の、知られざる政治家としての姿を描いた『あるじなしとて』。PHP研究所さまより6月10日に発売予定となっております。 現実で参議院選が迫っておりますが、千年の昔、みずからの発心を以て政(まつりごと)に挑んだ男の姿を、ぜひ味わっていただきたいと思います。 さて、本作『あるじなしとて』は、発売までにさまざまな皆さんのご協力をいただきました。 なかでも、はじめのきっかけとなったお話に少しお付き合いください。 『利生の人 尊氏と正

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            構想から12年。

            早いもので、作家デビューして1年と4ヶ月。 ご縁をいただいて、長編歴史小説として3冊目となる『あるじなしとて』が、PHP研究所さまから刊行されます。6月10日発売予定となってますので、どうぞよろしくお願いいたします。 さて、版元さんのご紹介の通り、本作は"政治家"菅原道真を題材とした作品です。 全国の天満宮のご祭神、"学問の神さま"として知られ、受験シーズンにはお詣りしたことのあるかたも多いのではないでしょうか。 詳しいかたなら、漢詩や和歌の達者な詩人として、彼の漢詩集

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            “平安らしさ”ができる前。

            兼業作家ですから、ただいま業界新聞記者業と作家業とを両立しているわけですが、これがまあなかなかに忙しいもので。 どちらもルーティンワークでできる仕事ではありませんし、波の変化が大きな仕事でもあります。いきなり高潮をかぶることもあったりして、油断できない状況がつづいています。 そんななかですが、2024年大河ドラマの制作発表が発表されました。 毎度、つぎの大河は「何時代の」「誰だ?」が話題になりますが、これさすがに想像しなかったですね。 平安時代。紫式部。 何に驚いたって

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            校正作業のこと。

            暦のうえでは大型連休中ということで、皆さんいかがお過ごしでしょうか。 こちらはようやく長編の再校を版元さんにもどして、ひと息つけるかなぁといったところ。細々した仕事をしつつも、ちょっと出かけたり、趣味のアレコレをやったりと、それなりに休みを満喫しています。 それにしても、校正というのは負荷の高い作業だなぁとつくづく思いますね。出版前の最後のクオリティアップの機会ですし、ミスの取りこぼしがないかと神経をすり減らしますし。眼精疲労もピークに達するので、サプリと目薬とホットアイマ

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            「和らぎ」のこと。(伊東先生対談③)

            日経ビジネス電子版の伊東潤先生との対談「歴史小説家が語り合うニッポンの原型」、最終回が掲載されました。ここまで、多岐にわたってお話させていただきましたが、まとめとして“すめらみこと”のお話、そして和=「和らぎのお話を。 伊東先生には、こちらの拙い話にお付き合いくださり、「スケールの大きい小説家」と過分なお言葉までいただいて、本当に感謝しかありません。 対談のなかでも触れましたが、伊東先生の『覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子』に描かれる人として葛藤する馬子、そして新しいタ

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            古代氏族って面白い(伊東先生対談②)

            日経ビジネス電子版で連載してます、伊東潤先生との対談「歴史小説家が語り合うニッポンの原型」第2回が掲載されました。前回分については記事中にリンクがありますので、そちらをご参照ください。 で、ご縁となった両作品はこちらに。 古代を調べていると面白いのが、各氏族が仕事ベースで集団を作っていることです。分かりやすい例だと、土師氏(土器づくり)、服部氏(機織り)、弓削氏(弓矢づくり)……というように、氏の名前に氏族の仕事を冠していたりしますね。 このあたりは、『古事記』『日本書

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            伊東潤先生と対談しました。

            日経ビジネス電子版で、小説家・伊東潤先生と私の対談連載がはじまりました。題して「歴史小説家が語り合うニッポンの原型」。 伊東先生の著作である『覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子』と、拙作『和らぎの国 小説・推古天皇』の舞台となった飛鳥時代初期について、現代とも話題をクロスさせながらお話させていただきました。 第1回はこちらで。 ばっさばっさと豪刀で切り開いていくような伊東先生のお話が面白く、個人的にはとても楽しく、勉強させていただいた時間でした。 単純な話、こちらはデビ

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            執筆の風景。(日経の本ラジオ③)

            日経BPさんが運営していらっしゃる「日経の本ラジオ」、『和らぎの国 小説・推古天皇』第3回の配信が始まりました。今回は執筆の状況と人物造形のしかた、そして最終回のまとめですね。よろしければお聞きください。 今作の執筆はおおよそ21年春から初秋にかけて、くらいだったのですが。ざっくりとた設計図(プロット未満のもの)を引いて、さあそろそろ現地取材に行くかー、と思った矢先に緊急事態宣言が発出。不要不急の外出は避けねばならず、じりじりとした日々を過ごすことになりました。 とりあえ

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            「祈り」の物語(日経の本ラジオ②)

            日経BPさんが運営していらっしゃる「日経の本ラジオ」、『和らぎの国 小説・推古天皇』第2回の配信が始まりました。今回は作品のコアな部分が話題となっていますので、よろしければお聞きください。 ラジオのなかでも言いましたが、編集さんの作品に対する解釈はラジオ収録時に初めて聞きました。話しながら若干感激してしまい、ちょと涙目になっていたのはナイショです。 (お名前出てますが)編集のKさん。改めましてありがとうございます。 ご指摘いただいたように、この物語は「祈り」の物語です。

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            日経の本ラジオさんでお話を。

            日経BPさんが運営していらっしゃる「日経の本ラジオ」で、拙作『和らぎの国 小説・推古天皇』を取り上げた回の配信が開始されました。全3回。私も作品についてお話させていただきましたので、ご興味の方はぜひお聞きいただければ幸いです。 第1回は作品の紹介と執筆のきっかけ、登場人物について。 少しだけ補足をすると、本作では天皇や皇族が割と気楽に外出したり、何なら川で田螺を採ったりしています。 古墳時代末期から飛鳥時代初期のことですから、身分を権威づける日常行動の様式化や儀式化という

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