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「副業(複業)」ではなく「リソースシェア」の発想を

昨日の 『あいしずHR』 (豊橋市のemCAMPUSで2か月に1回開催している、企業間越境・共創コミュニティ。愛知県・静岡県の企業や仕事の文化度向上を目指す)にて、副業(複業)促進の話が盛り上がったため、関連して僕も少々気づきのアウトプットを。ちなみに、あいしずHRはこんな場です↓


1.「副業(複業)を認めてやっている」では組織はまるで成長しない

昨日の越境ディスカッションを通じ、僕はふと思いました。

・副業(複業)ではなくリソースシェアって考え方/表現にしていった方が良いのではないか。
・そのほうが副業(複業)を取り入れる組織も、当事者も持続可能かつ健全に成長するのではないか。

副業(複業)に対する沢渡あまねの気づき

当事者のリソースを複数の勤務先がシェアするイメージ。
各々の勤務先の、お互いの勤務先への想像力や気遣いを促すためにも「副業(複業)を認めてやっている」ではなく「他社や社会とリソースをシェアしている」ほうがよい。その想像力や気遣いがないと、副業(複業)はうまく機能しなくなる(こともある)でしょう。
(一方の組織のオレオレな仕事のやり方が、他方の組織に迷惑をかけるケースも)

副業(複業)には組織も、当事者にとってもさまざまなメリットをもたらします。専業者オンリーでは得られない、意外な発想、気づき、知的・人的ネットワークを得られるなど。

副業(複業)のメリットや社会的な必要性などについては、書籍『新時代を生き抜く越境思考』の第n章(n=ごめんなさいすぐ出ません)に綴りましたのでそちらを参照いただければと思いますが、たとえば副次的には以下のようなメリットもあります。

一方で、当事者が所属する組織各々が自分たちのやり方(勤務スタイル、コミュニケーションの仕方、組織慣習など)だけを主張していたら、当事者は疲弊してしまいますし、お互いの仕事がうまく回らなくなる。
なによりお互いの組織の文化度がいつまでたっても上がらない

副業(複業)者の能力や意欲を各々の組織が正しく頼るためには、本人のスキルやマインドのシフトはもちろん、各々の組織のマネジメントレベルの向上、業務改善、カルチャーの見直しなどをしていく必要があるのです。
(もちろん、副業(複業)にもさまざまな形態がありますから、その限りではないケースもありますが)

「副業(複業)を特別に認めてやっている」
「副業(複業)者のための特別扱いはできない」


のようなカルチャーやマインドでは、ううむ。もったいない。せっかくの副業(複業)の組織にとっての中長期的なメリットを無にすることになります。ズバリ、組織もマネジメントも成長しない

「まるで成長していない……」(by 〇西先生)

2.経験、知識、着眼点、人的ネットワークなどをシェアして活かしあう

副業(複業)のスタイルや条件にもよりますが、せっかくなら組織は副業(複業)当事者の兼任先や兼任でおこなっている仕事への想像力•興味関心を持った方が良い。

前述の通り、兼任先に無駄な迷惑をかけないためにも、ですが、さらに一歩進んだ先の世界では、副業(複業)当事者が得た経験、知識、着眼点、人的ネットワークや知見を各々の組織が活かす発想が生まれ得ます。そこからイノベーションが生まれることも。
(そもそも内向きかつ近視眼的な組織で、イノベーションって生まれるんですか?)

そうなると、双方の組織も本人もハッピーかつサステナブル(持続可能)

そのような高い視座、広い視点をもって副業(複業)を活かすことが出来る企業は文化度が高いですし、社会的な価値も高いです。

裏を返せば、「副業(複業)を特別に認めてやっている」「あなたの副業(複業)になんて興味ないです。目先の成果だけ出して」な内向きかつ近視眼的な組織は、文化度もマネジメントレベルも低く能力や意欲の高い人たちを逃すことになるでしょう。

副業(複業)を取り入れるのであれば、組織は「自社さえ良ければよい」内向きなムラ社会カルチャー変えないとダメです。当事者にも、兼任先の組織にも、未来の社会にも失礼。その組織のファンも遠ざけるマネジメントの目線もレベルも上がらない

(ちなみにムラ社会化は、地方だけではなく東京の大企業やスタートアップ企業でも起こっています。油断なさらぬよう)

他者(他社)への想像力やリスペクトを醸成するためにも、ひいては双方の組織も当事者も成長するためにも、副業(複業)ではなくリソースシェア。その発想・考え方・マネジメントシフトやカルチャーシフトを僕も促していこうと思います。

そして、副業(複業)がマイノリティのうちは「例外」「特別扱い」されがち。その意味でも、副業(複業)の組織にとっての価値、当事者にとっての価値、社会にとっての価値を発信しつつ、副業(複業)の民主化を進めていきたいと僕は思います。
皆さん、チカラ貸してください。

第4回『あいしずHR』の参加メンバー。
組織も地域も世代も専門性も超えたメンバー(越境コミュニティ)で
副業(複業)促進と定着についても議論していきます

3.これって時短勤務、テレワーク、育休、週3日勤務者を活かせるかどうかにも当てはまる

と、ここまで書いていて僕は気づきました。

これって副業(複業)者のみならず、時短勤務テレワーク育休週n日勤務者(n<5)などを活かせるかどうかにも深く関連する(根っこは同じである)と。

「時短勤務や週3日勤務を特別に認めている」
「テレワークをさせてあげている」
「育休を許可してあげている」

その姿勢の組織は、組織そのもの(マインド、マネジメント、カルチャー、成果の出し方、人と人とのつながり方など)が進化しない

多様な能力や意欲を、組織に取り入れて成長する。その発想がいつまでたっても生まれない。変革体質共創体質にならない。

副業(複業)しかり、時短勤務しかり、テレワークしかり、育休しかり、週3日勤務しかり、それらのスタイルと向き合うことは組織にとって……

・「自社さえ良ければよい」内向きなカルチャーを見直す機会
・自組織のマインドや仕事のやり方を見直し、共創型にアップデートする機会
・マネジメントの視座を上げる機会
・組織がいままでにない能力や意欲を取り入れて成長するためのプロセス

に他ならないのです。

真のダイバーシティ&インクルージョンが試されています。
(ただ多様な人を集めただけで、組織の旧来の論理で無力化する”Diversity Zoo”みたいな #仕事ごっこ ではなくてね)

僕たちが考え提唱する真のダイバーシティ&インクルージョン(現在鋭意アップデート中)ついては、後日このブログでもその一部を発信する予定ですし、詳細は『組織変革Lab』(直近では2023年12月開催回)や講演などでお話ししていきます。

副業(複業)は、それ自体が目的ではなく、組織が体質改善し成長するきっかけを与えてくれます

正しく向き合い、正しくカルチャー変革していけば、ダイバーシティ&インクルージョンに関連する様々な課題を解決するのみならず、ワークエンゲージメントの向上組織カルチャーの健全化とガバナンスの向上共創体質・イノベーション体質への進化など組織も個も成長させます。

中長期的な視点を持ち、本気で向き合っていきましょう!