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陣の中の茶室(鬼と蛇 細川忠興とガラシャ夫人の物語 16)
※画像では、「ルビつき縦書き文」をお読み頂けます。
目次 鬼と蛇 細川忠興とガラシャ夫人の物語
前回のお話 第十五話 「若菜過ぎる季節」
陣の中の茶室
翌年の天正五年(1577)二月、熊千代は念願の初陣を果たした。光秀とともに軍を率いて紀州征伐に向かう。明智が手痛い一撃をくらった雑賀衆が相手、奮起してよい所を見せたいのであろうと周囲は噂した。
信長におぼえがめでたいのは、明智の後ろ
若菜過ぎる季節(鬼と蛇 細川忠興とガラシャ夫人の物語 15)
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目次 鬼と蛇 細川忠興とガラシャ夫人の物語
前回のお話 第十四話 「櫃の中」
若菜過ぎる季節
熊千代が具足始の儀式で大騒ぎをしている頃、珠子の母、煕子はひっそりと息を引き取っていた。
熊千代が再び明智に会ったとき、怪我はもう癒えているはずの十兵衛は、げっそりとやつれていた。深い皺が口元には刻まれ、透き通っていた表情に暗い翳りが増し