マガジンのカバー画像

ショートショート

41
運営しているクリエイター

#怖い話

どこからアブラムシ

どこからアブラムシ

羽の付いたアブラムシが何処から飛んできて、私の毛穴に卵をうんだ1週間前。私は気づかなかった。

7日後、毛穴から羽を持たないアブラムシが次から次から出てきた。全身の毛穴から羽の無いアブラムシが次から次に出てくる。ゾワゾワと細い足で歩き、ザワザワと私を埋め尽くしてゆく。肌の下で騒めくアブラムシを感じて、気が狂いそうになる。

急いでシャワーで流そうとするも、危機を察した羽の無いアブラムシは私の毛穴の

もっとみる
老婆の罪に寄生する孤独

老婆の罪に寄生する孤独

子にとって母親は世界中心。神様みたいな物だ。母に捨てられたくなく、母を決して捨てられず、愛してしまう遺伝子がきっと刻み込まれている。

誰もが母を真っ直ぐと好きになりたいのだ。どんな罪があろうとも心の父母は殺せないのだ。現実の父母がどうあろうとも、心の父母は自分にしか殺せないのだ。

嫌いになれたならば、葛藤も無く、このお話はなかったかも知れない。



月を殺した孤独な老婆がいた。これはそんな

もっとみる
好きな彼女の穴で待つ

好きな彼女の穴で待つ

上記の続きの様な物語です。



気が付くと地獄を掘る女に恋をした。

女の掘る地獄は滑らかな質感と甘美な湿度で僕を誘う。図らずも地獄の底に入り込み、地獄の女の穴で、幸せに生きてしまう。

ある時女が這いずり廻り始める。ぼんやり眺めている僕の横を、凄い速さで蜘蛛の如く地獄をよじ登り穴の外へと女は出て行った。

呆気に取られるも、何日何年何ヶ月、女の居ない穴は時間の単位の無くしてしまった。

どれ

もっとみる
女友達

女友達

「貴方が大好でたまらないらしいよ。」

そう言って付き合い初めの彼女の友達が囁き、俺の驚きを遮るよう続ける。彼女は彼女に、

「離れて居れば大人で彼といられる。でもね近づくとお腹が勝手に空くように、子供みたいに勝手に騒いだり、私がコントロールできない」

「だから、お腹の空かないそんな大人で側にいたい…。それってきっと欲が無く彼の事好きになる…だよね?」

なんて言ったそうだ。彼女の友達はまくし立

もっとみる
欲情の種

欲情の種

肌の合った女が何人かいた。確かに肌は合ったが、そこにはその場限りの感情だけだった。ふとした時、肌の馴染む女が出来た。初めは他の女と同じだった。ある時、溶ける様な感覚がし、肌と肌が馴染み心地よい感覚に変わった。とても気持ち良く、今までの交わりがバカバカしくなる。女の虜になり毎晩肌を合わせていたら、馴染んだ肌から芽が出て来た。

気持ち悪い。そう思ったが、女があまりに大事にするので言葉には出来ない。次

もっとみる
絶滅する人

絶滅する人

ある独りの男にゴミが貼り付き体内に入ってしまう事象が起こった。それはその男だけが出来る事象。

張り付いて取れないゴミは、溶けカビて粉になり舞って必ず毛穴から入り込み溶け込む。其れだけなら良いが、口や毛穴あらゆる体の穴から悪臭を漂わせ出ていったので困った。

原因不明の難病と言う事以外、病名もない。あまりの臭いに隔離されひっそり生きるハメになった。

ある日、噂を聞き防護服を着た世界の役人が来た。

もっとみる
恋心

恋心

ある日、暗闇の世界に住む女の家へ、光が鏡を持って来て言いました。

「皆な私から勝手に貰って行くが、貴女だけが貰わない。取りに来ない。だからお前にも鏡を渡そうと思って来た。」

と呟き、鏡を置いて行ってしまいました。

彼女の目がまた暗闇を確認した時、もうその男の姿はありません。一瞬の出来事に何も出来ず、女の心臓だけがドキドキと鳴り響きます。何が起きたか解らない女は、手探りで鏡を探しました。前に立

もっとみる
好きな彼のために穴を掘る

好きな彼のために穴を掘る

転校生は長身のイケメンだった。

一目惚れ。どうにかして好きになって欲しい。辛い時は側に居て、困ってれば助けた…どうにか側にいる事に成功する。

付き合いたい。勉強をし、美容を学び、センスを身につけて…彼から告白され付き合う事に成功した。

彼の友達に認められたい。良い大学へ行き、ステータスある仕事に着き、いつも笑顔を絶やさない色気を学んだ。彼の友達誰もが羨ましがった。

一緒に生活したい。整理整

もっとみる