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【コロナ禍のイタリア留学】5:スーパーでの買い物①


今日も小さなベッドから起き上がり、身支度を済ませ、日本から持ってきていた梅肉エキスを溶いたお湯とビスコッティで軽い朝食を済ませる。

ほぼアパルタメントに缶詰の隔離期間が続く中、少しづつ慣れてきたオンライン授業が始まる。

基本的に月~金の午前中3時間は毎日授業で、10ヶ月間(実際は延長したので1年間)の滞在中はこれをずっと続けなくてはならない。

なぜなら語学留学の目的でビザを取ったからである。
ビザ取得の手段はいろいろあるが、語学留学だと取りやすいのだ。


前回お伝えした通り、この頃は授業がすでに日本で勉強してきた内容だったため、私は余裕をぶちかましていた。

そのため今のところ楽しく参加できてはいるが、覚えることもすごく多い。

1日3時間だけなので全然たいしたことないと思っていたが、ところがどっこい、予習・復習と暗記を猛烈にしていないとどんどんついて行けなくなるし、もちろん宿題も毎日出る。

どちらにしても隔離期間であまり外には出られないのだが、そうでなくても午後もけっこう長い間机に向かわなくてはならない。


そんな限られた日常の中で楽しみなのは、やはり食事であろう。

基本的には材料を買ってきて毎日自炊をする。
海外のスーパーが好きという方も多いと思うが、イタリアもしかり。買い出しがとても楽しい!
最初の頃は、この国ならではのシステムもあるだろうからとネットで調べたりしつつ、ドキドキしながら買い物をしていた。

もしインターネットがない時代だったら、暗黙のルールがわからず怒られたり恥をかいたり、間違って変なものを買って捨てるに捨てられずどうしようもなくなっていたかもしれない。
そんな経験もいい思い出と思える人は良いが、残念ながら私はしばらくクヨクヨするタイプの人間なので、いい思い出にはできそうもない。
そんなことを考えると、インターネットとスマートフォンの普及には改めて感謝せずにはいられない。


うちの近所にあったのは「CONAD(コナッド)」というスーパーで、イタリア全土で展開している大手チェーンの1つだった。

郊外の大型店で大家族向けというより、都会や観光地でミニマムな暮らしをする人にフィットするような商品展開である。

ちなみに、スーパーマーケットはイタリア語で「スーペルメルカート」という。

「water(ウォーター)」とか「humburger(ハンバーガー)」とか語尾が「母音+R」の英語を、イタリア英語では「R」を「ル」とけっこうしっかり発音する。
そのため「super(スーパー)」は「スーペル」
「ハンバーガー」はなんと、「ハンブルグル」だ。もはや違う食べ物のように感じる。

話は逸れたが、CONADの他にも、のちに大ファンになってしまうイタリアのスーペルメルカートの代表「Esselunga(エッセルンガ)」や、日本でもおなじみ生協が運営する「Coop(コープ)」などがあり、それぞれ特徴があっておもしろい。

日本でも、とにかく安さがウリの西友や、プライベートブランドの走りで衣料や生活用品までまるっと網羅したイトーヨーカドーや、高級路線の明治屋、家族向け大容量がウリのOKストアなど、いろいろあるのと同じだ。

スーペルメルカート事情についてはかなり熱が入って長くなりそうなので、また留学の後半の記事でも触れたいと思う。

留学後半で通いまくっていた人気スーパーEsselunga(エッセルンガ)


さて、CONADの店舗に入るとまず、体温を測る係の青年が立っている。だいたいがアフリカ大陸から来た黒い肌の移民と思われる人である。
イタリアに暮らしてわかったが、本当に移民が多いのだ。
これについても書き出すと壮大になってしまうのでここでは割愛させていただくが、留学中にいろんな複雑な疑問や考えが浮かんだのは言うまでもない。

青年に「Buongiorno(ボンジョルノ)」と挨拶をし、おでこを出し、熱がないことを確認してもらって中へ入る。

きれい好きなのか汚いのか、よくわからないシステム

イタリアのスーパーの買い物でまず特徴的なのが、買い物カゴである。
日本と同じくカートとカゴが選べるが、このカゴが日本のそれとは少し違っている。

サイズはやや大きめで、しっかりした長めの持ち手が1本付いている。そしてその持ち手でカゴを引っ張るようにして、地面をズルズル引きずっていくのだ。スーパーの固い床は、たしかにプラスチックのカゴがスースー移動するのに適している。
しかし、もちろんタイヤなど付いてないのでかごの底面と地面の距離はかなり近い。地面に落ちているゴミや野菜くずなども一緒にズルズルかき集めている気がする。
しかも、使用済みカゴを重ねて置いたとき下のカゴの内側には明らかに床をズルズルしてた面が接地する。
だが、そんなことを気にしていてはイタリアに馴染めないと思い、細かいことは気にしないようにした。

こんなカゴ。日本のそれより一回り大きい。


野菜や果物は直に触ってはダメ!

次に特徴的なのが、野菜・果物の買い方であろう。
イタリアのスーパーでは、野菜や果物など裸のまま売ってる生鮮食品は直接手で触ってはいけない。
まず近くにクルクル巻かれて設置されているビニール手袋をして、詰める用のビニール袋を取ってから、そこに選んだ商品を入れる。
手袋をしていれば、手に取って好きなだけ品定めをしてもよい。

そして詰め終わったら、近くに設置された測りに乗せて該当商品のボタンを押す。すると重さから勝手に値段が計算されてバーコード付きのシールが出てくるので、これをビニール袋にペタッと貼ってカゴに入れる。

この衛生的なシステム、別にコロナと関係なく以前からイタリアはこうだったようで、私はとても気に入った。
日本に帰ってきてからは、素手で直接ペタペタ触ってあれやこれやと野菜や果物を選ぶのに違和感を覚えるようになってしまい、ビニールを裏返して手袋にして取るようになってしまったほどだ。


イタリアの衛生事情について、公衆トイレなどはきれいとは言い難いし、家の中で靴を脱ぐ家庭もあるが基本は土足のままである。髪や服も、乾燥している気候のせいなのか毎日洗う人は少ない。
日本のようにキレイ好きな国民性とは決して言えないのだが、なぜかこの野菜を買うシステムだけはゆずれないらしく、それが野外のマーケットであったとしても必ずビニール手袋が設置されているのだ。

なぜこのような矛盾が起こるのだろうか、不思議でしょうがない。
最近、イタリア人の友人が日本に来て一緒にスーパーに行ったのでこの話をしてみたが、「本当になぜかわからないけど、イタリア人はこのときだけきれい好きになるんだ」と笑っていた。
イタリア人にも理由がわからないのだから、日本人の私にはわかるわけがない。イタリア人の衛生観念は永遠に謎のままである。


6へつづく


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