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フィンランドの語学学校レポート【3コースの体験レポート】

直近、フィンランドオタクの人たちから語学学校について質問を受けることが続いたので、こちらに体験談をまとめることにしました。

1週間で完結するコースもあるので、興味のある方は受講条件や滞在日数をwebページで確認のうえ、OKであればトライしてみてはいかがでしょうか!

1.語学学校とは

フィンランド国内に点在するフィンランド語を学ぶクラスです。私が体験したクラスは市が運営しており、授業は高校の教室や市民会館の貸し会議室などで行われました。

フィンランドは他のヨーロッパ諸国と陸続きなのであらゆるバックグラウンドを持った外国人の出入りが活発です。「フィンランド語話者は550万人程度だから勉強しても意味ない」という考えを持つ人もいますが、実際は就労などで必要になりますし、語学学校に通うことは、無職の外国人が失業手当を受ける条件にもなっています。私は無給インターンという立場での長期滞在でしたが、インターン先からは語学学校への通学を奨励されていました。


2.学費や期間

さまざまです。私のクラスは半年間で無料または40ユーロのものもあれば、1週間程度で85ユーロのものもありました。


3.授業の申込み方法

市のwebページから行いました。名前や電話番号などの必須情報を入力し、クレジットカード決済で完了です。教室番号など当日の詳細や変更は開講前に登録したメール宛にアナウンスがあります。

満員で、かつウェイティングリストに申し込むことができるクラスに関しては「Kurssi on täynnä, voit ilmoittautua varalle」などと書いてあるので仮登録だけして、当日に直接クラスへ参加します。初回は満席ですが、回を追うごとに出席者が減る可能性が高いです。私の場合は数ヶ月後に正式に登録され、3ヶ月後に授業料の請求書が住所宛に届き、市役所で支払いました。


4.実際に受けた3クラス

○Erika Suzi先生のベーシックコース(半年間・週2回・2時間・40ユーロ)

在フィン日本人の方のおすすめだったので選びました。複数あるクラスの中でも満席だったので、人気のようです。生徒が一言でも英語で話すとPuhutaan Suomea!(フィンランド語で話しましょう!)と一貫してフィンランド語でのコミュニケーションの機会を作ってくださいます。教材はSuomen Mestari 2というテキストで、宿題は練習問題が1章分の1/3程度でした。きちんとやってくる生徒が多かったです。当時の私はこの先生の早口についていけない→聞き返すのを遠慮するという負のスパイラルにハマり、3ヶ月でやめました。今思うともったいないです。


○ビギナーコース(半年間・週2回・3時間・無料)

満員じゃないうえに無料だったのでベーシックコースと同時期にとりました。私が初めて参加した回ではフィンランド語の早口言葉が書かれたプリントが配られて音読したかと思えば、蜘蛛の生態に関する新聞記事を訳することもありました。新聞記事を訳すのはとてもビギナーレベルじゃなかったです。この先生は授業中に英語で解説していました。

このクラスは無料なせいか「元を取るぞ!」という雰囲気は皆無だし、なにか事情があってしぶしぶ出席した生徒が多いように感じられました。

私の隣の生徒にいたっては机の下でタップダンス?していて、ダダッダダダッとダンスダンスレボリューションよりも激しい脚さばきでうるさかったです。肩を軽く叩いて、今は静かにしてと言っても彼は無視していました。

何より一番不快だったのは生徒がプリントをまわすときに、ヘイ!キーナ!キーナ!(中国人!)と言ってくることです。私は日本人だとはっきり言っても、それを続けてくるので不快でした。

たぶん、この行為が(少なくともフィンランドでは)かなり失礼にあたるという教育を受けていない層なんだろうなと。フィンランド人の先生はその様子を見て、何も注意せずスルーしていました。明らかにビギナー向けじゃない教材と生徒の民度から私はこのコースを3週間でやめました。

学費は低ければ低いほどいいとは限らないことを身をもって学べたのと蜘蛛にちょっと詳しくなれたのは良かったです。

上の2つはポルヴォーの市民学校のコースです。アーティストの多いエリアなので、受講受付開始から30分足らずで満席になる陶芸クラスなんかもあるのだとか。また、秋になるときのこの専門家と一緒に森へ行き、食べられるきのこの見分け方や摘むときのポイントなどを教えてもらえるコースもありました。


○口語中級コース(8日間・週2回・2.5時間・85ユーロ)

生徒はヘルシンキに留学しに来ている大学生や結婚で移住してきた人が多く、先生の話を熱心に聞くし、質問も積極的にする、本気度が高い雰囲気で刺激的なクラスでした。授業では先生が毎回カードやプリントなどを用意していて生徒がチームで点数を競うもの、4枚の絵を並べて作った物語をフィンランド語で発表するものなど能動性が問われます。

また、後期(5日目)では自国の文化をパワポにまとめてプレゼンしたり、最終回では宿題で作ってきた経歴書を片手にTyöhaastattelu(就職面接)をデモンストレーションしたりするなど実践的なカリキュラムでした。

宿題では新聞のコラムを訳して設問に答えるものもありました。当時の私は宿題を終えるのに2時間以上かかっていてしんどかったです。

しかしプレゼンも模擬面接も先生や周りの生徒に褒められるくらい落ち着いて受け答えできて、うれしい形でコースを修了できました。

この時期からなんだか自信がついた私は、日本からのゲストのために電話でレストランや商談のアポイントをとったり、当日は通訳をしたりするまでになりました。当時いただいた謝礼は授業料をはるかに上回るものになり、そのときの経験は今の自分の希望や勇気の一部にさえなっています。

このコースはヘルシンキエリアのサマースクールのWebサイトで選びました。フィンランド語の中級クラスひとつをとっても10講座以上はあって、選択肢が豊富でした。


5.最後に

振り返ってみると、私は無料のコースをとって主にストレスを持ち帰る経験と、85ユーロのコースをとってもはや金額換算できないほどの素晴らしい経験をしました。「タダより高いものはない」というのはあながち間違ってないのかもと感じています。

先生・クラスの雰囲気・授業のスピードなど人それぞれ相性があるので、まず参加してみないとなんとも言えませんが、参考になれば幸いです。

それではもいもーい。




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