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中小企業でも男性育休100%を達成し続けられる理由

子育てにまつわる社会情勢

最近のニュースで「出生数が80万人を下回った」「異次元の少子化対策」「こども家庭庁」などのワードを目にする機会が増えていませんか。

厚生労働省は2月28日、2022年の人口動態統計の速報値を公表しました。年間出生数は79万9728人で、前年と比べ4万3169人(5.1%)減少。1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込み、過去最少となっています。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した将来推計人口では、外国人を含む出生数が80万人を下回るのは2033年と見込んでいました。岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を打ち出していますが、従来の想定を上回る11年も早いタイミングで少子化が進んでいることが明らかになってしまっています。

厚生労働省人口動態統計 時事通信ニュース より

そんな中、少子化対策に中小企業としても取り組めることの一つに男性の育児休業(以下育休)の取得の推進がありますね。しかし、まだまだ取得率や取得日数は少ないのが現状です。

厚生労働省が2018年度にまとめた調査では、育休を取得しなかった男性正社員のうち22.6%が「収入を減らしたくなかった」と回答しました。

また、積水ハウスが調査を行った、男性育休白書2022によると、「男性育休を促進する予定がない」と回答した経営・役員層、部長クラスにその理由をたずねたところ(複数回答可)、最も多かったのは「企業規模が小さいから」で53%と半数以上を占めました。
次いで「従業員が少なく、代替要員の手当ができないから」30%、「男性育休を取得する従業員以外の負担が大きくなるから」28%、「男性育休を取得する従業員の経済的保障をする余裕がないから」16%などの理由があげられました。
こうしたマネジメント層の男性育休に対する後ろ向きな姿勢は従業員にも伝わっているようで、一般層の74%が「勤め先企業は男性の育休取得を促進していない」と回答しています。

男性の育児参加は少子化の抑制に有効との研究が出てきています。政府は所得保障の仕組みを整え、男性の育休取得を促します。
政府はこうした対策とともに男性の育休取得率目標を引き上げていきます。2021年度の取得率は13.97%、25年度の取得率の目標として30%を掲げてきましたが、25年度に50%、30年度に85%へと改める方針です。

育児休業取得率

参考サイト:厚生労働省 男性の育児休業に取り組む 育児休業制度とは

生産性の向上と育児参加の両立
中小企業でも男性育休100%が達成できる理由

空き家買取専科では、社員が数人しかいない2017年から事業部長である黒田が育児休業の取得をしたことを筆頭に、男性スタッフも育休対象者全員(6名)が長期の育児休業を取得してきています。

社員数の少ない中小企業で、なぜ男性スタッフが長期の育児休業をとれるのか疑問に思われるかもしれません。自分たちの会社ではできないとお考えの経営者や、育児休業対象者もいると思います。
しかし、男性が育児休業を取ることにもメリットはたくさんあるんです。

育休取得のメリット

■生産性の向上
休むのに生産性が向上するの?と思われるかもしれません。仕事の責任があり、なかなか育休を取りたいと言い出せない男性社員もいるのではないでしょうか?
空き家買取専科では、「半育休」と呼んでいますが、育休期間中完全に休むのではなく、一時的・臨時的就労に育児休業中に10日間以下または80時間以下働きながら育児休業を取ることに取り組んでいます。 
詳しくはこちらをご覧ください。
厚生労働省 育児・介護休業法ポイントのご案内

空き家買取専科は、育休に入る前に、数ヶ月かけて上司とともに、業務の棚卸しをし、必要のないものはやめる、他の人に渡せる仕事は渡す、自分の責任領域を半育休の制度を使い遂行することにより、業務をとめることなく育休を取得することができています。業務の効率を落とさず育児にも取り組め、育児休業から復帰後は新たな仕事へのチャレンジする時間が生まれています。

※空き家買取専科の半育休制度とは・・・就業日数 が最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下で働きながら育児休業をとること。
※恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりませんのでご注意ください。

■家族を大切にする
育休とつくと「休む」と勘違いしている男性もいるかもしれません。むしろ、出産後の妻の身体を気遣い積極的に育児や家事に取り組むことが大切ですし、貴重な子供の成長を見守れる機会は、父親としての自覚が生まれ、家族を大切にしていくマインドをつくっていくのではないでしょうか?
共働き家庭も増え、男性・女性にかかわらず育児に参画し、育児休業から復帰後も育児をしていく家族としての土台を作っていきます。
空き家買取専科のクレド(信条・行動指針)には「職場も家庭もボーダーレス」があります。安心して子育てにも取り組めるよう、スタッフの家族への理解があることも、子育てしやすい環境が整っていると思います。

■金銭面
育休取得者は、育休中も育児休業給付金により現行は休業前賃金の67%が育児休業給付として支給されています。さらに育休中は健康保険や厚生年金保険など社会保険料が免除されるため、手取りベースで8割保証されています。
今後は、現行の休業前賃金の67%の育児休業給付を8割に引き上げる案を軸に検討しています。これに加え、育休中は健康保険や厚生年金保険など社会保険料が免除されます。そのため実質的にほぼ100%の賃金が保障されることになります。
また、企業としても育児休業給付金の財源は雇用保険からでており、会社の費用負担は0となります。さらに、育休取得による助成金が多数用意されているのでぜひ、安心して取り入れられますね。

男性が育児休業を取りやすい社内風土をつくるために

社内の育休取得への理解や取りやすい風土づくりも大切になってきます。育休対象者だけでなく、上司や一緒に働くスタッフの協力も大切です。男性の育休取得に限らず、日々の社内風土づくりで空き家買取専科が意識して取り組んでいることを紹介します。

■社員第一主義
空き家買取専科では、社員第一主義を掲げ、どうしたら社員や家族が幸せに過ごせるかを考え、子育てに優しいだけでなく、子育てしながらも仕事もプライベートも充実できるような取り組みを進めています。多様な働き方を支援するため、パラレルキャリアやテレワーク、フレックス制度などを導入しております

■仕事の棚卸し、カイゼン
空き家買取専科では、育児休業をただ休む機会とするだけでなく、育児休業を仕事の精度をあげる機会として捉えています。奥さんの妊娠発覚から出産までは数ヶ月あります。そのため、急に今までやってきた仕事を誰かに押し付けるのではなく、計画的に仕事の棚卸しをし、不必要な仕事をやめたり、他の方に仕事を振って行くことができます。一方で必要に応じて、仕事をすることができるため、仕事の進捗状況の確認や、自分の責任領域の仕事をすることも可能です。また、テレワークも常々取り組んできたため、ミルクをあげながらオンラインミーティングに参加することもできます。

■家族ぐるみの関係つくり
空き家買取専科では元々、バーベキューや温泉旅行などパートナーや子供たちも参加する家族イベントを年に数回おこなってきました。家族同士が交流を図り「困ったときはお互いさま」の精神で助け合うなど、一人一人に寄り添った働き方を応援しています。

2022年秋:リノベーション済物件で家族も呼んでBBQ

2023年育休取得スタッフの声

■営業:鈴木一央
2月6日から3月17日までの39日間育休を取得しました。

退院後から生後4ヶ月くらいまでは、妻の実家で一緒に過ごし、自分たちの自宅に帰ったタイミングで育休を取得しました。
私の主な担当は、犬の散歩、洗濯、皿洗い、ごみ出し、お風呂後のミルク、おむつ替え、寝かしつけです。育児は奥さんメイン。私は家事を担当する割合が多いですね。お風呂入れはまだ不安ですが、だんだんとできるようになっていきたいです。

育休を取って、家族が一緒に過ごす時間が増え、コミュニケーションが多くとれてよかったなと思います。でも、嬉しいこと楽しいことだけでなく、お互いの腹が立つことやモヤモヤすることも増えました。僕は協力を求められたらやるスタンスなので、育児は妻がやって当たり前のようになってたくさん喧嘩しましたね(笑)。そのおかげか、お互いに普段言えなかったことが言えるようになったり、言っても動じないというか打たれ強くなりました。お互いの1日の過ごし方をこれまで具体的に共有してこなかったので、すれ違いや認識のズレがあったことが明らかになりました。おかげで協力のやり方がわかり、両立できるようになりました

育休取得への社内の雰囲気は、取得に対してとても積極的ですね。スタッフが少ない少数精鋭なので、業務のカイゼンなど工夫は必要でしたが、仕事を見直す良いきっかけになりました。
営業チーム全体でフォローしてくれているので、コアな業務となる営業や物件チェックは成果を落とさず達成することができました。育休中は注力する仕事のバランスを考えるようになりましたね。

育休期間中の限られた時間の中で仕事をしたり家事・育児をすることで、時間の確保ができるようになりました。仕事の見直し(営業チーム全体も含めて)をして中規模で変化していく。その上で業務上必要なスキルを取得しつつできる業務の幅が広がっていく予感がして楽しみです。

私にとって、育休とは、「家族を知る機会」となりました。
仕事もプライベートも育休を取ることで見直すきっかけとなり、より充実する機会となったので、ぜひ育休取得をオススメしたいですね。

■営業:井川亮
私は育休を3月6日から5月7日まで2ヶ月間取得中です。

昨年静岡に移住してきて、12月から空き家買取専科で働いています。 なので、面接試験を受ける時にはすでに妻は妊娠しておりました。面接時から育休の話は出ており、「育休取っちゃいなよ!」と言ってくれたり、私より少し前に鈴木さんが育休を取得していたので、安心して育休の申し出ができました。
きっと前職だったら、制度があっても男性が育休を取る風土がなく、取ったとしても1〜3日くらいだったと思います。入社して間もない社員でも育休をとれたことにとても感謝しています。

育休に入るにあたっては、業務の棚卸をして仕事内容を見直してきました。山田さん(店長)と面談しながら育休中の業務内容を決めたり、家でできる仕事を準備していくことにより、成果を落とさず業務の時間を短縮できるように心掛けました。復帰後は、短縮して余裕が生まれた時間でこれまでとは違う取り組みを計画しています。育休取得が業務の見直しをするきっかけともなっています。

移住してきたばかりの育児で心配でしたが、妻とふたりで協力しながら、子供中心ではあるけれどマイペースに過ごせていると思います。妻からは、「初の育児で不安だったけど、わからないことを一緒に調べたり、取り組めたのがすごく良かった。仕事はしていても家にいてくれるだけで安心する」なんて言ってもらえたのが良かったなと思います。 子供が生まれたての時は、触るのも怖いなって思っていて、育児に高いハードルを感じていました。もし育休を取らないでいたら、妻に育児を任せることが多くなってしまっていたかもしれないなって思うので、改めてこの時期に育児に向き合えてよかったです。

復帰後は、今よりは妻の負担が増えてしまうと思いますが、フレックス制度やテレワークを活かし、少しでも家にいる時間も確保していきたいなと思っています。 私にとって育休とは、「家庭も仕事も見つめ直す機会」になっています。 家事育児への参入に目がいきがちでしたが、育休を取るためにどうすればいいか考えられ、仕事にもいい影響がでたことが一番の気付きでした。


中小企業だから育休を勧められなかったと諦めていた経営者の方など、弊社でお役に立てることがございましたら、ぜひお声がけください。