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作詞家 渡邊亜希子
2021年11月29日 10:12
18歳。高校卒業後、中野坂上にあるアナウンスの専門学校へ入学した。 高校卒業の数か月前にアメリカ留学から帰国した私は、進路を急いで決めなければならなかった。ほとんどのクラスメイトがもう進路を決めている中、教室で一人使い古された専門学校辞典をパラパラとめくりながら、この先勉強したい事ってなんだろうと女子高生の頭で大雑把に考えた。「英語はある程度話せるようになったけど、そもそも私、日本語
2021年11月22日 07:33
私はワクワクしながら勝手知ったる新宿店の関係者入り口で名前を書いて小走りに3階へ向かった。着替えてフロアに出ると、社員さん達が次々に「あれ?!帰って来たか!」「お!出戻りか!」と声を掛けてくれる。「◯◯の販売応援で来ました!渡邊です!宜しくお願いします!」私は笑いながら初対面みたいに挨拶をした。ホームに帰って来たような安心感を抱きながら、私はフロアを見渡した。が、さかもっちゃんが
2021年11月15日 09:23
「それにしてあもさぁ、初対面の時のさかもっちゃんすごい嫌なヤツだったよね!」と言った。さかもっちゃんは嫌な顔もせず、少し笑った。「だね。仕事場で友達増やそうとか思ってないしな。俺、仕事出来ないヤツキライだし。でもお前出来るから」なるほど。あのお客様が大きな声で笑った時に私は「仕事が出来る」とみなされたらしい。それは何よりだ。しかし初対面の時さかもっちゃんが私に適当に会釈でもして
2021年11月8日 07:05
「池袋、着いたんだけど」来た!本当に来た!!「あ、今迎えに行くから東口の、ユニクロの方向かって歩いて来てて!」私は大将に「友達来たわ!迎えに行ってくる!」と言って荷物も置きっぱなしで急いで駅方面へ向かった。人世横丁のアーチを抜けて、煌びやかなサンシャイン通りへと、昭和から平成への時空トンネルを駆け抜ける。更に進んでユニクロの前辺りに、さかもっちゃんらしき人が歩いているのが見えた。う
2021年11月1日 10:53
褒められていると気付くのに、数秒かかった。よく見ると、さかもっちゃんもニヤリとしている。私は嬉しくなりニコニコしながら「他社製品をお勧めしながら、もし大量購入の機会があったら私の方買って下さいねって冗談言っただけだよ」と言うと、さかもっちゃんは本当に楽しそうに「なるほどなぁ!お前、すげぇじゃん!」と言って自分の持ち場に戻って行った。一瞬の出来事だった。しかしこの日を境に、さか