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田舎が息を吹き返すのに必要なメンタリティとは ~陣内大蔵/MATSURI~

今年は全国軒並みイベント事や祭りが中止となったが、ここ恵那も例外ではない。

下記のリンクにあるように、中止になって初めて自分たちの暮らしの心の支えになっていたことがわかった、という声もあるという。

正直申すと、オレにはその感覚がわからない。地縁もなく寄せ集まってきた世帯が暮らす都市部の新興住宅地で暮らしていたときの記憶をさかのぼっても、住人が一体になって汗水たらし一つのものを作りあげる、なんて機運はなかったように思える。

なにせ古より祀られてくるような神様がいなかった。神社もない。この地を切り開き始祖とすべき存在は開発した〇武不動産だ。

自慢じゃないが、神輿を担いだことは、ない。

だから恵那に来てはじめに住んだ岩村町では、人々の祭りごとへの思い入れの強さに戸惑った。

恵那市岩村町でのお祭り体験

岩村町では、7月に入ると毎週のように外向け内向けかかわらず、さまざまなイベントやお祭りがおこなわれる。

なにせオレは地域おこし協力隊として、これらのイベントを切り盛りする団体に関わっていたので、運営に協力するようになると、さらに忙しさは加速し、あっという間に夏が過ぎていく。

手始めに、「仮装行列」は戦後まもなく始まった、組対抗の仮装行列。わが組は伝統的に女装でピンクレディを踊るというもの。

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さあワタシはどれでしょう。

ちゃんと格式のある祭りもある。

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岩村の歴史は古く、戦国時代には森蘭丸が岩村城主を務めたり、織田信長も立ち寄ったという。

このお祭りは、岩村の開祖と言える加藤景廉を祀ったもので、400年の歴史を誇る。

夏のハイライトは「The 縁日」。商工会青年部が中心となって、盆踊りや打ち上げ花火を催す。巨大なお城型ステージはもちろん自作、花火はわざわざ花火師の資格を取得する気合の入れようだ。

盆踊りは生バンドが演奏、オレもドラムで参加してた。

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城下町らしく、薪能なども毎年開催される。これもステージは有志が作りあげる。決して業者任せにしない。

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シメとして11月に岩村の古い町並み全体が会場となる「おかげ祭り」でようやく岩村は一息つく。

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町の方々の熱意に揉まれながら、準備を含めた数か月に及ぶおかげ祭りの企画運営をやり切ると、しばらく何も手が付かないほどであった。

と思うと、冬には2か月に及ぶひな祭りのイベントが待っている。

他にも大小さまざまなお祭り、イベントが開催されている。

休む暇がない。

イベントが多すぎてみんな疲弊してしまう、なんて声もあったが、それよりも、この町を元気に盛り上げたい、という思い、そして、楽しいことは自分たちで作ってしまえ、という心意気が、町の人たちに浸透している気がした。

この町の人たちはとにかく岩村が好き、自分たちの町が好きなのだ。

岩村の人々を支える郷土愛

確かに人はどんどん減っている。若い世代の流出は止まらず、高齢者が増えている。空き家も増えている。

自分の愛する町のさみしい姿など見たくない。カラ元気といわれても人の集まる場を作って、自分たちの町はまだ生きていることを示したい、いや自分たちで確かめ合いたい。

その思いはいつしか広く伝わり、町と人の魅力にひかれて、少しずつ外から人が流動するようになり、ここに住みたいと思う人も増えるようになった。

地域活性化のための施策はゴマンとあるが、そこに果たしてこのようなメンタリティが流れているものはいくつあるのだろうか。

オレ自身は移住者として入ってきた身である。ましてもともと祭りのない場所で育った。祭りに情熱が沸き起こる、という感覚はやはり未だ感じたことがない。だが祭りに情熱を燃やす人たちへの敬意は持てるようになった。

そして人が集い、ともに汗を流す、ということがどれだけ持続的な社会に大切なことかも経験として知ることになった。

だからこのご時世に祭りやイベントが軒並み中止になったことで、ますます地域と人との距離感が離れていってしまうのではないかと危惧している。

岩村の人たちもさぞ悔しいことと思う。

どうか来年にはまたにぎわう場を取り戻せるようになっていたいものだ。

陣内大蔵/MATSURI

さて、なぜこんな話をしてきたかというと、先日懐かしいCDを聞いたのがきっかけだったのだ。

陣内大蔵さんだ。

今の若い人は知らない人もいるかと思うが、90年代前後に活躍したシンガーの方で、今は教会牧師としての活動もしている。

その陣内さんのベスト盤のみに収録されている、その名も「MATSURI」は、今書いてきたような、人々と故郷をつなぎ合わせる祭りと、そこで力強く生を営む人々を讃える歌だ。

下のリンクでちょこっとだけ聞けます。

一応ガイダンスを確認したところ、歌詞の引用は大丈夫そうなので、ぜひ読んでみてほしい。

MATSURI

友と話すなら 夢話 時の過ぎるのも 忘れて
大空に咲かそう 夢花火 パッと 皆を照らすだろう

耳を澄ませれば 聞こえます 友の歌声と あのリズム
胸躍らせてた あの頃が ハッと 心に蘇るよ

故郷 良いこと いつでもある 自分のその手で 生み出そうよ 君の世界

喜べや 楽しめや この地に生まれてきたことを
歌おうや 踊ろうや いまぞ 希望を掲げて
輝けや きらめけや この地で出会えた交わりよ
歌おうや 踊ろうや 今宵 俺たちの祭り

道を決めるのなら 朝のうち 恋に悩むなら 夜のうち
明けても 暮れても この街は きっと 新たな夢が起こる

故郷 良いとき 必ずある 季節がめぐればめぐる程に 求めるもの

喜べや 楽しめや この地に生まれてきたことを
歌おうや 踊ろうや いまぞ 希望を掲げて
輝けや きらめけや この地で出会えた交わりよ
歌おうや 踊ろうや 今宵 俺たちの祭り

故郷 良いとこ まだまだある 探して 見つけて わかちあおう その温もり

海がある 川がある ちょっと見渡せる山もある
汗があり 涙あり もちろん未来もここにある
君がいる 俺がいる 仲間の奴らもあふれてる
大丈夫 誰もみな たった一人じゃありません!

喜べや 楽しめや この地に生まれてきたことを
歌おうや 踊ろうや いまぞ 希望を掲げて
輝けや きらめけや この地で出会えた交わりよ
歌おうや 踊ろうや 今宵 俺たちの祭り
これぞ 俺たちの祭り
(作詞:陣内大蔵、山中耕作/作曲・編曲:陣内大蔵)

もう「全国まちづくりに取り組む人たちテーマソング」にしたくなるぐらいの、故郷に生きる人々に寄り添った歌だと思う。

当然歌として聞かないと、伝わる印象が全然違うので、ぜひぜひ入手して聞いてもらいたい。

なにせ上記のレコチョクだと、241円でダウンロードできる。

陣内さんはピーター・ガブリエルやU2に影響を受けた歌を歌う印象があったので、これほどジャパナイズされた曲はとても珍しい。

果たして当時のマーケティング的に合わなかったもんで、お蔵入りになったのか、定かではないが。

この曲がベスト盤にしか収めらず、あまり知られていないのは、本当にもったいない。

なぜ、この曲が作られたのか、陣内さんの想いや経緯も聴いてみたいところである。

とにかくも、オレも移住していろいろ経験をしてきたうえでこの歌を聞いたときに、祭りに情熱をかける人たちの想いが、あーそうだったのかーと、やっと腑に落ちた感覚がしたのだ。

力強く、野生的で、どこかロマンチストな、岩村の人々と全く符合して、彼らの顔が思い浮かぶかのようだ。

そして、オレはこの歌に感動できるのに、心から祭りに飛び込んでいきたいという欲求が沸いてこないのは何なんだろうと、再び自問に陥るのである。これはまだ長く続く自分のテーマだ。

陣内さんの曲は他にも名曲が揃ってるので、オレらの世代の思い出にするだけでなく、ぜひ末永く聞き継がれていってほしいと思うアーティストの一人だ。

一番好きな曲↓


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