「お・も・て・な・し」は食材から!あなたの大切な人の「お食事の要件」を守る、はじめの一歩
こんにちは!
食に厳しい宗教を信仰している人、ヴィーガンやベジタリアン、セリアック病やグルテン不耐症などの人たちが日本に訪れた時、彼らが食を心から楽しむためには、私たち受け入れる側の環境が十分に整っている・・とは、まだ言えないようです。
その理由のひとつとして、私たちが、異文化の「お食事の要件」への理解が十分でないために、たとえば飲食店でのミックス&マッチのように、フレキシブルな対応をするというアイディア自体が、思い浮かばない・・という現状もあるでしょう。
ですが、ふたたび海外からの渡航が再開される日に向け、今からでも私たちが「食」に関する知識を持っておくことで、あなたの大切なゲストの「お・も・て・な・し」の幅がグンと広がる!ということは言えそうです。
今回は、「お食事の要件」を持つ人たちから見た、日本の料理・食材・食品について、お話します。
日本料理はヘルシー?
ダイエットや食生活の見直しにおいて、海外でお寿司や豆腐などがブームとなり、懐石料理にも人気が出るように、日本の「食」は、さっぱりしてヘルシーだという印象が持たれています。
でも、日本に訪れる人たちが楽しめるのは、お寿司や豆腐、懐石料理だけではなく、ラーメン、トンカツ、天ぷら、フライなどの、脂こってり系も♪
そのため、実際に日本に来たことのある人たちは
全部が全部、ヘルシー料理って
訳じゃないのね~
と、感想を持つようです。
出汁と醤油
私たちにとっては残念なことですが、日本の食とは切っても切り離せない、出汁(魚介類や豚)や醤油(アルコール、小麦粉)は、宗教・アレルギー・ヴィーガン&ベジタリアン、セリアック病などすべての「お食事の要件」を持つ人たちにとっては要注意食材です。
醤油は、料理のベースの味付けとして、お刺身やお寿司にかける「ソース」として、煮物料理、すき焼き、照り焼きや焼き鳥のタレ、ラーメンやうどん・そばのおつゆ、料理の隠し味として、さらにはおせんべいなどのお菓子類などにも、日本の料理には醤油が欠かせない、と言っても過言ではありません。
お醤油は、海外でも知られていますが、出汁については、知られてない場合も多く、私たち日本人が出汁や出汁から味わうことのできる「うま味」を海外の人たちに説明するのは、ちょ~っと難しいかもしれません。
出汁も日本の料理には欠かせないもののひとつですよね?
味噌汁、ラーメンやうどん・そばなどのスープ、お鍋など、日本料理の「うま味」を引き出すために欠かせないものです。
前回ご紹介した、ミックス&マッチの観点では、お醤油や出汁を使ったお料理を「別の出汁に置き換え」てもらったり「お醤油での味付けを省いて」もらったりする、という個人的なニーズに応えてもらうこと自体、簡単ではありません。
(調理の変更はサービスのひとつ!ミックス&マッチのお話はこちら↓)
そのため、「お食事の要件」を持つ人が日本に行くことがが決まったら、自身の「お食事の要件」に合った飲食店について、可能な限り事前にリサーチしておくことが推奨されています。
見えなくても注意!
前回もお話しましたが、例えばメニューの写真・イラストや食品サンプルなど見た目で食べても良いかどうか、判断できるものと、上に挙げた醤油や出汁のように、調理の過程や原料に含まれているため、見た目では判断できない場合があります。
日本の料理は、「お食事の要件」を持つ人たちが口にしてはいけないものが、意外に多いという事実を理解しておきましょう。
うどん、そば(十割そばは除く)、冷やむぎ、そうめん、ラーメン、焼きそばなど、多くの麺、そしてお麩には小麦が使われていることは、知られていますが、「お食事の要件」を持つ人は食べることのできない、日本の料理や食品・食材を、もう少し細かく見ていきましょう。
■ 衣・タネ ■
唐揚げ、魚やエビのフライ、天ぷらなどは通常、小麦粉やパン粉や卵などを原料として衣を作っていますよね?
また、カステラやおまんじゅう、たい焼き、どら焼き、タコ焼き、お好み焼きなどには小麦粉と卵が使われています。
この場合、セリアック病の人にとっては小麦粉やパン粉がNG、オボベジタリアン以外のベジタリアンやヴィーガン、ジャイナ教、ラスタファリアニズムを信仰する人たちにとって、卵がNGです。
※オボ(OVO:卵という意味)・ベジタリアンは、卵を食べても良いとするベジタリアンです。
(さまざまなベジタリアンの種類はこちら↓)
■ 和のお菓子 ■
意外にも、和のお菓子にも小麦粉は入っています。
お餅にも、米粉に小麦粉や小麦でんぷんが含まれている場合があります。
小麦粉が入っていないお菓子でも、水あめなどに使われる「麦芽糖(マルトースともいいます)」には注意!
麦芽糖には、小麦ではなく大麦が使われますが、大麦にもグルテンが含まれています。
日本では、アレルギー物質を含む「特定原材料等」として、小麦が指定されており、小麦が原材料に含まれる場合は、ラベルに表示しなければならないと、消費者庁により義務付けられていますが、大麦には表示義務がありませんので、注意が必要です。
ご参考:
ラベル表示義務のあるもの7種:
卵、牛乳、小麦、落花生、そば、えび、かに
ラベル表示が推奨されるもの20種:
アワビ、イカ、イクラ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉、ゴマ、クルミ、
カシューナッツ、リンゴ、バナナ、オレンジ、キウイフルーツ、モモ、
大豆、マツタケ、ヤマイモ、ゼラチン
そのため、セリアック病など、グルテンがNGの人のために和菓子のお土産を選ぶときには、必ず表示を確認しましょう。
ラベルに表示されていない場合でも、確実にグルテンが含まれていないと言い切れない場合は、製造元に問い合わせるか、別のものを選びましょう。
■ 飲みもの ■
宗教の「お食事の要件」を持つ人たちは、アルコールがNGの場合が多いですが、グルテンを摂ってはいけない人たちにとっては、ビールや麦茶はNGです。
日本では、おなじみの光景
え~っと・・
とりあえずビール!
は、彼らにとっては命にかかわることなので、グルテンフリーのビールか、別の飲みものを勧めるなどの配慮をしてあげましょう。
商品名で混乱!
「お食事の要件」を持つ人たちの混乱のもととなるのが、料理や商品のネーミングです。
ブランディングのために、「ベジタブル」や「ソイ(大豆)」などと表示されている料理や食品、乳製品においてはアーモンドミルクやココナッツミルクなども、よく見かけるようになりました。
私たちも、なんとなくオシャレ☆、なんとなくヘルシー☆という印象で、その料理や商品を選ぶ場合があります。
「お食事の要件」を持たない場合は、楽しく、美味しくいただけば、それでハッピー ♪なのですが、「お食事の要件」を持つ人たちの場合には、そうはいきません。
そもそも異文化の「お食事の要件」への認知と正しい理解が、まだ十分にされているとはいえない日本。
このような背景の中、ヘルシーな商品名で販売されているものは、必ずしも全てが、「お食事の要件」を持つ人たち向けに、厳選された素材が使われている・・とは限りません。
たとえば、ベジタブル●●と表記されていても、チキンエキスが入っているとヴィーガンの人にはNG、ソイ●●と表記されていて、一般的にはヘルシーと見られるものも、小麦が入っている時点でセリアック病の人にはNG、という具合です。
アーモンドミルクやココナッツミルクなども表示はそうであっても、実際は、牛乳ベースで「アーモンド」や「ココナッツ」風味の飲み物もあります。
原料を確認せず、商品名だけで判断して購入したものを口にした場合、その原料に対してアレルギーを持つ人にとっては、深刻な事態となる可能性がある・・ということを、頭の隅に置いていただければ嬉しいです。
いかがでしたか?
日本の食べものにも、「お食事の要件」を持つ人たちから見た場合、注意しなければならないポイントが、意外に多いこと、お分かりいただけましたでしょうか?
私は以前、パリでムール貝を大量に(!)食べ、アレルギー反応で大変な目に遭った経験があるので(泣)、異国での食には細心の注意を払っています。(パリでの忘れられない大晦日の思い出(泣)はこちら↓)
もちろん、旅先で口にするものは、自己責任の部分が大きいですが、受け入れる側の私たちが、知識を持って「お・も・て・な・し」すること自体が、「お食事の要件」を持つ人たちの、より素晴らしい旅の思い出づくりをサポートしてあげることになるのではないでしょうか?
さて。
「お・も・て・な・し」には、もうひとつ、と~っても注意しなければならないことがあります。
それは、
クロスコンタミネーション(交差汚染)
クロスコンタミネーションは、調理の過程だけで起こるとは限りません。
次回は、「日常で起こりがちなクロスコンタミネーション」についてお話します。
そして、あなたがゲストをおもてなしすることになったら、役に立つ・・かも知れませんので、来たるべき日にそなえ、一気に参照できるよう、「お食事の要件」をマガジンにまとめておきますね☆
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