【後編-2 ユダヤ教:お肉と乳製品の関係】あなたの大切な人の「アイデンティティ」を守る「お食事の要件」
宗教のダイエタリー リクワイアメント、つまり「お食事の要件」を、お届けしています。
宗教への信仰心は、その人のアイデンティティを形づくるもの。
そんな宗教に求められる「お食事の要件」を知っておくことは、大切なエチケット。
【前編】では、このふたつの基本を、ご紹介しました。
● 宗教にも「お食事の要件」があり、 それは宗教によって異なる
● 「クロス コンタミネーション」(交差汚染)にも注意!
(宗教でもクロス コンタミネーションには注意!「お食事の要件」【前編】はこちら↓)
【後編】からは、主だった宗教ごとの「お食事の要件」を、紹介しています。
その1の仏教、キリスト教に続き、今回は、ユダヤ教について見ていきましょう。
● 宗教や宗派は、あまりに多岐にわたるため、一般的な概要のみを、解説しています。
● 信仰の深さには個人差がありますので、必ずしもこちらの内容通りとは限りません。そのため、あなたのゲストの「お食事の要件」は、可能であればご本人や、ご本人と親しい人に、直接確認することをおススメします。
● それぞれの宗教・宗派がどういうものか、については、リンクから参照いただけますが、正確性を保証するものではありませんので、ご興味があれば、ご自身で調べてみてくださいね!
ユダヤ教
Jewish Virtual Libraryによると、2019年時点で世界のユダヤ教徒の人口は、1400万人と発表されています。
そして、その人口トップ5は、次の通りです。
やはり、イスラエルと米国が2トップですね!
1位:イスラエル(46.7%)
2位:アメリカ合衆国(38.8%)
3位:フランス(3.1%)
4位:カナダ(2.7%)
5位:イギリス(2.0%)
コーシャとトレフ
ユダヤ教の食べものに関するルールは、カシュルート(Kashrut)と呼ばれています。
そして、食べることを許されているものをコーシャ(Kosher)と呼び、許されていないものをトレフ(Treif)と呼びます。
さらには、パレブ(Pareve)というカテゴリに含まれる食材もあります。(後述します)
ユダヤ教の「お食事の要件」は、私たちにとってはちょっと複雑に感じると思います。
ですので、コーシャとトレフによって分けるのではなく、食材ごとにご紹介しますね。
■ 肉 ■
4つ足の動物で、反芻し、ひづめが割れている動物のみを食します。
豚は、ひづめが割れていますが、反芻しないので、食べてはいけません。
馬は、ひづめが割れていなくて、反芻しないので、食べてはいけません。
ラクダは、見た目ひづめが割れていなくて(実際は割れている)、反芻しないので、食べてはいけません。
ほかにも、うさぎ(不浄な動物)、イノシシ、イナゴなどを一部を除いた昆虫類、肉食動物なども食べることが禁止されています。
ほかの動物を食べない鳥は食べることを許されていますが、ワシ、タカなどの猛禽類や死肉を食べる鳥を食べることは禁止されています。
■ 魚介類 ■
ヒレとウロコがあるもののみを食べます。
甲殻類や貝類、イカ、タコなどを食べることは禁止されています。
また、カニカマのように、禁止されている食べものを連想させるものも禁止されています。
■ 肉と乳製品 ■
肉と乳製品は一緒に食べてはいけません。
ひとつの料理に、肉と乳製品が一緒になっていてはいけないだけでなく、胃の中で一緒になってはいけない、という意味です。
わかりやすく、以下に例を挙げますね!
1)ひとつの料理で一緒になっている例:
・チーズバーガー、肉入りシチューなど
2)胃の中で一緒になっている例:
・ランチセットでのステーキと食後のカフェオレ
2の場合は、さらにルールがあります。
・肉を食べた場合は、6時間以内に乳製品を食べてはいけない
・乳製品を口にした場合は、最低30分は肉を食べてはいけない
牛乳を乳製品をこよなく愛する、kojuroさん、sekkyさん、ユダヤ教の人と一緒にお食事をするときは、乳製品を口にするタイミングに要注意!
私も牛乳&乳製品LOVERなので、一緒に胆に銘じましょう(^_-)-☆
ヨーグルトLOVE:kojuroさんの記事
牛&牛乳♡命♡:sekkyさんの記事
※この記事が大好きなので、再度紹介!
■ 適切に処理した肉 ■
動物は、ユダヤ教上、正しい方法で屠殺するために訓練された、シェヒターと呼ばれる人によって、鋭いナイフで喉を切られなければなりません。
また、血を飲んだり食べたりすることは禁じられているため、血は動物から排出されなければなりません。
なお、自然死した動物は食べられません。
■ パレブ ■
肉でも乳製品でもなく、肉や乳製品と一緒に食べられる中性食品を、パレブといい、水、魚、卵、野菜、パスタ、米、ナッツ、パン(牛乳や乳製品を使っていないもの)、などが含まれます。
肉類と乳製品の調理器具は別にしているため、肉も乳製品も使わない料理もパレブと呼ばれます。
また、大豆バーガーや、アーモンドミルクなど、植物由来の原料で作られた食べものも、パレブです。
■ お酒 ■
異教徒が触れたワインや、異教徒が栓を開けたワインは禁止で、ユダヤ教徒が育てたブドウからつくられ、醸造されたワインを飲みます。
日本酒については、コーシャ認証がされたものであれば問題ありません。
コーシャ認証
日本でも、イスラム教に対するハラル認証が広まってきているようですが、コーシャの認証機関による審査に通過した食品を、コーシャ認証といいます。
コーシャ認証は、ユダヤ教の教義に準じた食品や調理法を審査し、基準に満たす場合にのみ、認証されます。
とくに重要なのは「清潔さ」「混じり気のなさ」。
食材の生産地や品質、加工する場合は工場の設備や製造過程、清掃方法などが審査されます。
日本には、コーシャに従った食べものが、極めて少ないそうですが、日本に住むユダヤ教を信仰する人たちのために、日本の食品でコーシャに反していないものを認定する機関として、イスラエル政府公認のコーシャジャパンが設立されています。
こちらのサイトに、コーシャ認証のプロセスなども記載していますので、興味のある方は、覗いてみてください。
コーシャジャパンから認定されたコーシャ認証マークは、こちらです。
ちなみに、コーシャ認証マークは、世界の国や地域や、認証機関、認証された内容の種類によってさまざまありますので、こちらも紹介しますね。
めっちゃいっぱいあります・・汗
そして、これらは、ほんの一部です。
もっと知りたい!と思うかたは、アメリカ各州や、世界各国のコーシャ認証マークを一覧で見ることのできる、こちらのサイトをどうぞ☆
断食
ユダヤ教での断食は、すべての飲食を完全に絶つと定義されいて、年6回、断食を行います。
断食をする時期によって、以下2通りがあります。
● 前日の日没から当日の日没までの断食が2回
● 日の出から日没までの断食が4回
飲食しないだけでなく、買い物をしない、髪を切らないなどの行動も、断食に含まれます。
ただし、9歳以下の子どもや、妊娠中、授乳中の女性や病気療養中の人は、断食をしてはいけません。
「お食事の要件」まとめ
私の周りにユダヤ教の人は、多くはいらっしゃいませんでしたが、信仰の厚い人が、おひとりいらっしゃいました。
彼は、まったく外食をしなかったのですが、お食事の要件を守るには、日本の食生活は、少し不便な環境であることから、自炊が一番安心できるのかも知れません。
いまはそのような環境でも、日本でのおもてなしと、お食事を楽しんでいただくために、私たちができることを、探してみると、新たな発見があるかも知れません。
● その人にとっての「お食事の要件」を確認する
● 「お食事の要件」がある場合、どの程度の「要件」なのかを確認する
・たとえば、肉であれば、どの動物の肉を食べるのか、調理法など
・調理法:つまりクロス コンタミネーション(交差汚染)に注意!
● コーシャ認証マークの付いている食品を中心にメニューを組む
● コーシャジャパンに問合わせ、コーシャ認証のレストランを聞いてみる
いかがでしたか?
次回は、イスラム教の「お食事の要件」をご紹介します。
そして、あなたがいつか、ゲストをおもてなしするときに、もしかしたら役に立つ日がくる・・かも知れませんので、来たるべき日にそなえ、一気に参照できるよう、「お食事の要件」をマガジンにまとめておきますね☆
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