【後編-9 ラスタファリアニズム:30cm以上の魚は食べちゃダメ!】あなたの大切な人の「アイデンティティ」を守る「お食事の要件」
前回は、本題に入る前の準備として、音楽やファッションとしてのイメージが強い、ラスタファリアニズムに関する背景をお伝えしました。
(レゲエとラスタファリアニズムのふか~い関係はこちら↓)
そして、いよいよ、今回が宗教の「お食事の要件」シリーズ、ホントにホントの最終回!
多くの聞きなれないカタカナ言葉や複雑な要件の数々にもかかわらず
読み続けてくださって、ありがとうございます!
前回予告した通り、このラスタファリアニズム、これまでご紹介した宗教と比べると
ううっ、これはちょっと・・
厳しすぎる・・
これまでコメント欄にもお寄せいただいた、ユダヤ教やジャイナ教に、勝るとも劣らない、かなり手ごたえのある要件を掲げています。
あなたがボブ・マーリーやレゲエ・ミュージックのファンなら、ラスタな世界に思いをはせ、気軽に読んでみてくださいね (^_-)-☆
そして、あなたがレゲエ・ミュージックに興味がない場合でも、雑談ネタとしてお楽しみください (^_-)-☆
● 宗教や宗派は、あまりに多岐にわたるため、一般的な概要のみを、解説しています。
● 信仰の深さには個人差がありますので、必ずしもこちらの内容通りとは限りません。そのため、あなたのゲストの「お食事の要件」は、可能であればご本人や、ご本人と親しい人に、直接確認することをおススメします。
● それぞれの宗教・宗派がどういうものか、については、リンクから参照いただけますが、正確性を保証するものではありませんので、ご興味があれば、ご自身で調べてみてくださいね!
さて、最終回も言わせていただきます。
宗教への信仰心は、
その人のアイデンティティを形づくるもの。
そんな宗教に求められる「お食事の要件」を知っておくことは、大切なエチケット。
【前編】では、このふたつの基本を、ご紹介していますので、あなたのお時間が許せば、こちらの記事も、ぜひ!
● 宗教にも「お食事の要件」があり、 それは宗教によって異なる
● 「クロス コンタミネーション」(交差汚染)にも注意!
(宗教でもクロス コンタミネーションには注意!「お食事の要件」【前編】はこちら↓)
徹底した自然派
ラスタファリアニズムにとって、自然は非常に重要で、自然を保護し、尊重する考えが「お食事の要件」に反映されています。
それでは、いよいよお待ちかね!
スーパー厳しい(と私個人的には思う)ラスタファリアニズムのお食事の要件、一挙にご紹介します!
■ ベジタリアン ■
ラスタファリアニズムは、ベジタリアン(菜食主義)で、野菜や果物、豆類を大量に食べます。
ただし、一部の宗派では、ブドウやレーズン、ベリー、トマト、カボチャなどは「力を弱める」とみなされているため、食べません。
調理については、軽く調理したものを食べることが許されています。
なお、未加工の塩(および未加工の調味料)でない限り、塩(および調味料)で味付けすることは禁止されています。
健康を維持し、精神的に自然とつながるために、添加物や化学物質、肉類を口にしません。
このラスタファリアニズムの食事のことを、アイタル(Ital)といいます。
アイタルは、ユダヤ教のコーシャ認証、イスラム教のハラル認証のような認証マークがありますが、事情があって(後述)、また別の記事でご紹介します。
■ 肉類 ■
豚、ウサギ、馬、猛禽類は、不浄の動物として、食べることが禁止されています。
また、肉に触れることは、死に触れることと同じである、と信じていることから、ほかの動物の肉も、ほとんど食べません。
とはいえ、宗派によって「きれいな動物」とされている、牛、山羊、羊、鶏などを食べる人もいます。
■ 魚介類 ■
魚は12インチ(約30.48cm)以下の小型の魚は食べますが、それより大きな魚は、(それら大きな魚が)他の魚を食べる可能性がある(カニバリズム)とされているため、食べてはいけません。
貝類は海の底をきれいにしてくれる生きものと考えられているため、食べることが禁止されています。
甲殻類も食べません。
■ 卵 ■
動物由来であることから、人間が食べる自然食品ではない、と考えられています。
■ 塩 ■
塩は完全に禁止されているわけではありませんが、食卓用の塩は、ヨウ素などの添加物が入っているため、摂ってはいけませんし、調理に加えてもいけません。
海から取れる塩は、未加工であれば、使用できます。
■ 缶詰 ■
缶詰には、自然から採取されたものではなく、添加物が含まれていることため、食べません。
■ 発酵食品 ■
漬けものや、発酵食品は、身体に有害であると考えられているため、食べません。
■ 乳製品 ■
牛など、動物のミルクは飲まず、代わりに、アーモンドミルクや豆乳を飲みます。
また、バターの代わりに、ココナッツオイルを使います。
■ カフェイン・アルコール ■
カフェインによる覚醒を避けるため、コーヒー、紅茶、チョコレートなど、カフェインが多く含まれているものは、摂りません。
代わりに、ハーブティーを飲みます。
過度のアルコール摂取は認められていませんが、心を曇らせたり、生活力を低下させるようなレベルに達しない限りの、適度な量のアルコールを飲むことは、認められています。
ただし、一部のブドウやレーズンを食べない宗派では、ワインも「力を弱める」と考えられているため、ほかのアルコールは飲んでも、ワインは飲みません。
■ タバコ ■
タバコは、健康上良くないとされているため、認められていません。
意外!認められているもの
ラスタファリアニズムは、自然の食材を徹底して食することで、自然と一体化することができる、と考えています。
そのため、これまでご紹介してきた9つの宗教の「お食事の要件」の中でも、群を抜いて厳しいものではないかな・・、と思います。
しかし!
認められているものには、意外や意外!こんなものがあるんです。
台湾のチアリーダー、とってもキュートなチュンチュンちゃんを心の底から応援する記事を全力で投稿している、丸竹群さん。
キュートなだけでなく、超達筆なチュンチュンちゃんの魅力満載の記事はこちら(↓)
丸武群さんは、レゲエも大好き☆
そんなチュンチュン応援団長から、このような質問をいただいていました。
はい。ガンジャ、いいんです。
ガンジャってなぁに?と思ったあなた、答えはこちら(↓)です。
■ マリファナ ■
マリファナは、宗教的な意味を持つ、「神の草」「自然のハーブ」とされており、瞑想や、コミュニティでの集まりのときに、トランス状態に入って、彼らの神であるジャー(Jah)と交信するために使用されます。
ガンジャとマリファナは同じ意味です。
レゲエ・ミュージックの歌詞では、ガンジャいう言葉が使われています。
※ガンジャという言葉自体はヒンディー語です。
マリファナの使用は、非常に儀式的な行為とされており、使用前には全員が祈りを捧げます。
※コカインやヘロインなど、その他の薬物は禁止されています。
調理器具も自然のもので
ラスタファリアンのお食事、アイタルでは、できるだけ自然の調理器具で料理を作ることが、尊重されています。
金属製の鍋で料理をすると、腎臓や肝臓にダメージを与えると考えられていることから、粘土製の鍋を使うことが、好まれています。
さらに、小さな木を燃やした火の上に、粘土の鍋を3つの石の上に乗せ、バランスを取りながら調理をする、「スリーストーン(3つの石)法」という方法がよく使われています。(こんなイメージ↓)
要はベジタリアンってこと?
ラスタファリアニズムの「お食事の要件」をご紹介してきましたが
ラスタの人たちの「お食事の要件」って
要は、ベジタリアンってことだよね?
と、思ったあなた!
なかなか鋭いですね (^_-)-☆
実は、ラスタとベジタリアンは「お食事の要件」の考え方がまったく違うんです。
このシリーズ(いつの間にかシリーズ化!)の「前編(↓)」でお話した、
お食事に関する5つの要件(↓)
◆ お食事に関する5つの要件 ◆
1)アレルギー
2)宗教上の理由
・ハラル(イスラム教)、コーシャ(ユダヤ教)など
3)個人のポリシー
・ヴィーガン、ベジタリアンなど
4)健康上の理由
・糖尿病、乳糖不耐症、セリアック病、妊婦
5)好き嫌い
これまで2)宗教上の理由についてご紹介してきましたが、続いての
3)個人のポリシー:ヴィーガン、ベジタリアンなど
の「お食事の要件」は、実にアイタルと混同されたり、誤解されたりするらしいのです。
ラスタファリアニズムのお食事の要件である、アイタル認証の定義は、宗教が背景にあるかどうかを別にしても、ベジタリアンとは明確に異なります。
なので、アイタル認証については、ベジタリアンの回でご紹介しますね☆
いかがでしたか?
恐らくは、これまでご紹介してきた中で、色んな意味で、1番シビれるラスタファリアニズムの「お食事の要件」。
音楽やファッションのジャンルとしても確立している、レゲエミュージックやラスタファッションの背景には、こんなにも自然と向き合い、自然に敬意を払う人たちが存在しているのです。
これまで、世界の9つの宗教の「お食事の要件」を、ご紹介してきました。
私の方はといえば、とにもかくにも、宗教のお食事の要件のご紹介が、ひと段落して、ホッとしました☆
とはいえ、
ちょっと、もりだくさんかも..
と、心配になったあなた!
安心してください。
すべて、頭に入れなくても大丈夫☆
いつかあなたが、ここで紹介した宗教を信仰している人と、お食事をする機会が巡ってきたら、ご本人に
あなたのダイエタリー・リクワイアメントを
教えてください
と、聞いてあげることだけを、覚えておいてくださいね☆
次回は、宗教のお食事の要件、さくっと(?)まとめ編をお送りします。
そして、あなたがゲストをおもてなしすることになったら、役に立つ・・かも知れませんので、来たるべき日にそなえ、一気に参照できるよう、「お食事の要件」をマガジンにまとめておきますね☆
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