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【短編】 教師失格!

 アパートの郵便ポストを開けたら真っ黒な封筒が入っていて、開封すると中から真っ赤な紙が出てきた。
「あなたは教師失格です。地図に記した場所へ○月○日に来て下さい」。
 私は教師なんてやったことないし、きっと何かの詐欺だなと思いながら、私は手紙を小さく折り畳んでゴミ箱へ捨てた……。
 
 数年後、アパートのドアを激しくノックする音が聞こえた。
「あなたは教師失格です!」
 恐る恐るドアを開けると、全身黒服の人が立っていて真っ赤な紙を私に差し出す。
「たくさんの生徒があなたの助けを待っています。あなたは教師失格の烙印が押されましたが、それでも生徒たちを救う義務があります」
 いやあ、宗教とか変な勧誘の類はお断りしておりまして。
「あなたは以前教師をしていて、その記憶を全て消されてしまったのです」
 ああ、アニメなんかだとそういう物語の設定がよくありますね。
「あなたの生徒たちは、現実という物語の中で今苦しんでいるのです! どうか助けてください!」
 全身黒服の人は、急に玄関の前で小さくうずくまって土下座をした。
 私はドキドキしながら警察を呼びますよと強めに言って、何とかその人に帰ってもらうことができた……。
 
 でもその後、あなたの生徒でした、という変な人がよくアパートを訪ねてくるようになった。
 
「高校を卒業したあと、仕事もせずに小説をネットに投稿するだけの毎日を過ごしていたら、わたしのためだけに小説を書いて下さいって変な金持ちが連絡してきました。面白半分でいくつか小説をメールで送ったら、数日後に郵便箱に一千万円が入っていたのですが、わたしはどうしたらいいのでしょうか? 先生」
 私はあなたの先生ではありませんが、そのお金はまず警察に届けるべきです。
 
「先生は、人と人が話し合えばきっと分かり合えると言っていたけど、今アメリカと中国が世界戦争をしています。結局話し合いなんて無意味じゃないですか? 先生」
 私はあなたの先生ではありませんが、話し合いを拒否したから戦争になったのではないですか?
 
「わたし先生に恋をしています。どうしたらいいでしょうか?」
 それは本当の恋ではないでしょうし、私はあなたの先生ではありません。
「本当に好きなの、先生」
 今の世界は戦争で狂っていますから、そんな変な気分が変に作用して、行き場のない気持ちを何となく恋だと錯覚したのでは?
「恋は狂気だって先生言ってたし、戦争の狂気と何が違うの?」

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