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赤の少女と白い虎

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真っ赤な満月の夜に生まれたその少女は、4番目の姫だった。 彼女が生まれた夜、見たこともない大きな白い鳥が、一晩かけて空を渡ったという。 歩けるようになったらすぐに宮殿を飛び出…
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記事一覧

【赤の少女と白い虎】 1夜. はじまりの物語

真っ赤な満月の夜に生まれたその少女は、4番目の姫だった。 彼女が生まれた夜、見たこともな…

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【赤の少女と白い虎】  2夜. 不吉なメッセージ

いままでのお話はここから 絵・津山文子 。・。・。・ 一番上の王子が、16歳の誕生日を迎え…

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【赤の少女と白い虎】 3夜. 宮殿会議

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 人々は一斉に不安な言葉を放った。 …

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【赤の少女と白い虎】 4夜. 白い虎の予言

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 午後の日差しの中、姫は宇宙の風読み…

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【赤の少女と白い虎】 5夜. 災いのはじまり

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 深い霧が立ち込める夜明け前。 王家…

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【赤の少女と白い虎】  6夜. 鏡池の清め

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 長老がひとり、池に向かって歩みだし…

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【赤の少女と白い虎】  7夜. 宇宙の風

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 春の木洩れ日のさす、見渡す限りの青い空の下。 宮殿の前の広場に、多くの民に囲まれて立つ国王の姿があった。 後ろには臣下と多くの僧たちが連なり、 奥の院の長老の国葬が、おごそかに執り行われた。 鏡池で起きたことは、その場にいた者たちの胸に秘されていた。 最後の瞬間まで、民と国のために 力を尽くした長老を思い、みな泣いた。 紫のベルベットに包まれた棺が進む。 集まった人々は無言で道を開けた。 姫は宮殿

【赤の少女と白い虎】 8夜. 悲しみの血

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 城の門の前で、その男は屈強な兵士達…

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【赤の少女と白い虎】 9夜.賢者の登場

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 「なんだ、お前か」  老婆はじろっ…

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【赤の少女と白い虎】 10夜.金色の夢

前回のお話はここから 最初からはこちら 絵・津山文子 。・。・。・ 「あれ? ここは?」 …

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【赤の少女と白い虎】 11夜. 家族の輪

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・  真っ白な光のテラスから笑い声が聞…

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【赤の少女と白い虎】 12夜. 世界の理(ことわり)

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・  姫は、じっと祖母の顔を見つめてい…

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【赤の少女と白い虎】 13夜. 禁術の書

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ わたしは生まれてすぐに、ある人の元…

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【赤の少女と白い虎】 14夜. 欲望のありか

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ その書の中には、龍にまつわる儀式がいくつも書かれていた。 龍は知っているだろう? そう、世界のすべての方向にかかわる力のありかだ。 だから門外不出の禁忌になっているのも知っているな。 その全てがそこにあったんだよ。 なんという不運だろう。笑ってしまうくらいにね。 ほの暗い書庫の片隅で、わたしは夢中になって読み進めたのさ。 すると、紅龍と青龍を腹に呼び込む秘儀が 目の中へまっすぐに飛び込んできた。 そ