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【赤の少女と白い虎】 1夜. はじまりの物語
真っ赤な満月の夜に生まれたその少女は、4番目の姫だった。
彼女が生まれた夜、見たこともない大きな白い鳥が、一晩かけて空を渡ったという。
歩けるようになったらすぐに宮殿を飛び出し、土の上を転がり、あっという間に野山を駆けめぐるようになった。
そして、泥だけになりながら、兄や従兄弟たちと相撲をとっては笑った。
彼女が川に向かう時には、美しい青のオウムがどこからともなく飛んできて、彼女の肩にとまる。
タロイモ畑へ向かう時には、何頭もの野生の馬が左右に現れて、守るように寄り添った。
王家の宇宙の風読み師は、彼女に「赤い剣(つるぎ)」という二つ名を与えた。
「この子は希望をつなぐ聖なる剣をたずさえて生まれてきた。
戦士の魂をもって運命の輪を外し、ゆく道を変える時には、必ずその役割を果たすだろう」と添えた。
3人の兄たちとともに、王家の谷で、空と大地の恵みのもと、すくすくと成長した。
彼女は3歳から兄たちの剣の練習に混ざり、5歳になる頃には誰よりも美しい剣の舞を披露して先生を驚かせた。
ある新月の夜のことだ。
姫は夜の散歩の途中で、コヨーテに襲われて死にかけている虎の子どもを見つけた。
真っ白なその虎は、月のない真っ暗な夜の闇の中で白く輝いていた。
真っ赤な血にまみれながら。
彼女はその虎に、古い言葉で白銀(しらがね)という意味の「トランカ」と名付け、弟のようにかわいがり、共に成長した。
腰まである真っ赤な髪をなびかせ、
白く輝く虎にまたがり、
民と王国を守った伝説の姫。
それが王女・ジョーイの物語である。
それはある祝典に届いたカラスの伝言から始まる。
つづきはここから
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