仰倉あかり
フリーライターとして働いてきた経験など綴ってみようかなと。率直なご意見ご感想いただけると泣いて喜びます。
自分は普通だと言い張る母。 家庭内暴力と貧乏に苦しんだ幼少期から、 人生後半の離婚、癌治療…と、 幸せとは言い難いように思える彼女の人生を綴っています。 日記とエッセイの間のような感じですが、 一人の女性がどう生きてきたかの記録になれば。 長く続くので、時々思い出した時にでも 読んでいただければ幸いです。
ごく稀に書くエッセイやコラム、または雑文。 ここで示す見解は全て個人的なものです。 率直なご意見もコメントにてお待ちしています^^
猫、植物、風景など写真メインの呟き集です。
「母というひと」の重さから離れて こちらはサラリと読める短編の物語集♪ お口直しに、どうぞ^^
WEBライターを始めた頃、フリーランスの仕事は最初から価格が決まっているものだと思い込んでいた。店に並んでいる商品みたいに。 だから初めて「見積もりください」と言われたときは、ぽかんと口を開けてたんじゃないだろうか。 でも、先方は返事を待っている。何か答えないとならない。それも、今日中に。 さあ、どうする?! てな状況で目の前がぐるぐるしてました。 あなたならどうしますか? 今まで、どう対応してきましたか? 何と返せば良いか分からないときは 見積もりを依頼
ただただ残念な結果になった話です。 似たような思いをする人が1人でも減りますようにとの願いを込めて、書き残しておくことにします。 未払いが発生したのは、2022年半ばでした。 複数のユーザーの仕事をまとめて請けているクライアント(仮にA社とします)から、そのうちの1ユーザーに関して「今月分は支払えない」という連絡が入りました。「弊社への支払いが(トラブルにより)行われないので、仰倉さんにも支払えません」というのです。 支払い予定額は8万円強。細々とやっているフリー
心が、ちぐはぐになった。 友人や知人と会うのは楽しい、嬉しい。だけど、帰宅して一人になると激しく落ち込む。 先週くらいまで不安定な状態が続いていた。理由は母だ。 緊急入院 9月半ばを過ぎた、深夜0時。母が緊急入院した。精神病院に。 その日の夜8時くらいのこと。実家近くに住む兄に、父から緊急のSOSが入った。「すぐ来てくれ」と電話口で叫んでいる。飛んでいくと既に数名の警察官が到着しており、父を取り囲んで、母を病院へ入院させることに「今すぐ同意」するよう説得している
「この前はありがとうねえ」 母を久しぶりに銭湯に連れて行ったのだが、よほど嬉しかったのだろう、翌日すぐに電話が入った。 (この前じゃなく、昨日だけどね)とは思うが、指摘して傷つける必要もないので黙っておく。 「また連れて行っておくれねえ」 「そうやね、買い物にも回ろうね」と答えながら、頭の中に、実家から車で行ける距離にある大小の銭湯をずらりと並べた。 (続けて同じ場所へ行くのはやめておこう) そう考えた理由は、母の姿が、見る人にどうやら不快感を与えているらしい様子に気づ
#ノンフィクション 少し前のこと。 「あんた悪いなあ、わざわざO県から来てもろうて」 実家に到着した私を、母がねぎらう。 ガン、と頭を殴られた気分だった。 O県は母の出身地だ。私がそこに住んだことは一度もない。 「これから(母の)徘徊が始まるな」と父と不安を交わして二週間経つかどうかの時期から、母はいきなり「徘徊するひと」になった。それも数日に一度の頻度で。 困ったことに、徘徊の回数と反比例するように記憶が抜け落ちて行くものだから、自分が徘徊したことは片っ端か
父の手術が成功して両親の生活が落ち着いた頃、随分前に見た夢を思い出した。 夢に意味を求めても仕方がないことは分かっているが、目覚めた時に口が乾いていて、舌の奥に苦さを感じたのを覚えている。 (もしかしたら父さんは、唐突にいなくなるのでは)という不安が胸に残った。 時折そういう人がいる。体力気力が充実していて多少の不調でも動けてしまうのか、不調を感じて病院に行った時には手遅れになっているようなタイプだ。 実際、あっけなく亡くなった知人がいる。 「咳が止まらんけん病院
過日、信州へと赴きました 昔の知人との約束を果たすこと 尊敬し愛してやまない画家 犬塚勉さんの絵を直に見ること いろいろな目的を詰め込んで 特別な旅だったので 果たせて本当に良かった 昔の知人とは 日本画家の台伸八さん 「放浪の画家」と呼ばれた人です とても優しい人でした そしてロマンチックな人でした 「いろんなことが思い出せなくなってきた」 という手紙を最後に連絡が取れなくなりました ある日何でもなくやって来るお別れに その頃の私はとても鈍感だった 「信州の山
今日は母の日ですね。 私は、今年はお茶漬け用のヅケのお刺身を送りました。そして母からの「悪いねえ」という恐縮含みの受け取り電話をもらうまでの、恒例の流れをすべて終えました。 前話から間が開きましたが、母の日のうちに更新を再開することにします。 皆さまはどんな1日でしたか? ****** 先週、実家へ行った時のこと。母が突然こう言い出した。 「あら珍しい、うちの(母の夫、私の実父)が茶碗を洗いよる。今まで家事やらなあーんもしたことないのに、どういう風の吹き回しやろ
彼とは、お豆の半分ずつだったのだと思う。 互いに未熟で。 彼はいつも寂しがっていた。喪失感に追い込まれて入院までする心身の状況に陥っていた。 何年もかけて母の不安定さを埋める手伝いをした経験を持つ私は、こう思った。 (普通の人にはサポートは難しいだろう。私ならできる。 父が戻ってきて、母を支える必要もなくなったし) もちろんそれだけじゃない。 彼の、食事のマナーのスマートさと、食べ終えた後のプレートがとてもきれいで、そこに惹かれた。 帰り道のふとしたジョーク
たった今、雪が降っている。 お昼を食べ損ねそうになって慌てて近くにあるハニー珈琲に駆け込み、キーマカレーのランチセットを頼んだ。 店内はおだやかでふんわりとあたたかい。 席についてストールを外し、ガラス張りの店内でホッと息をついたとき、「都会に降る雪は汚い」、と誰かが言っていたのを思い出す。 それは東京に住んでいた20代の頃に聞いた言葉だ。 確かに東京の雪は降る端から人に踏まれ、車に潰されてすぐ灰色をしたみぞれの塊になって行く。 それでも、 きれいだ、と思った。 その
#ショートストーリー 彼女から連絡がない。 付き合い始めてまだ2ヶ月。いつもの振られサイクルよりずっと短く、思い当たることもないせいで和幸は焦った。 繰り返し電話をかけてみるが、出ない。 メールを送っても返信の着信音がなることはなかった。 (最後のデートで何かやらかしたか?) 記憶を探るが、思い当たる節がない。 いつものように白のBMWで迎えに行き、郊外へ飛ばして素朴なレストランで食事をし、手近なホテルで3時間ほど過ごして帰ってきただけだ。 帰り際の彼女の
猫はしなやか。 抱いてしなやか。 膝に乗せてしなやか。 シッポを立てて、ゆらゆらしなやか。 春の日に日向ぼっこをした後で、 ん、んん〜、と伸びてしなやか。 色は、くろ、しろ、みけ、とら、さば、きじ、サビ、パステルサビなど、なかなかにぎやか。 寝床では人の形に体を添わせ、 四角い箱にもぴったりはまり、 あたたかな部屋ではとろけるように長くなり。 辛いことがあって泣いていれば、横であくびをし。 でも時々は膝に手を乗せて顔を覗き込んでくる表情のうららか。 お茶碗をうっかり
【書きました】 今年3月から5月までの間、ブックライター上阪徹さん主催の「ブックライター塾」を受講していました。 そのご縁で、(株)Hakaliさまのライター募集に応募し、タイトルの記事を書かせていただきました。 カウンセリングは専門的な知見がとても重要になる仕事なのに、資格を持っていない人でも「心理カウンセラー」を名乗れることから、時として未熟なカウンセラーによるトラブルが発生しています。 カウンセリングを受けようと思っている人だけでなく、誰でもが当たり前に 「カウ
前の話を書いている最中のこと。 母が路上で倒れて救急搬送された。熱中症だった。 が、本人は「ただ転けただけ」と言い張ってきかない。「熱中症なんか起こしとらんのに、ケイサツが勝手に決めつけて勝手に病院呼んだんじゃわ。あれは病院からおカネをもらっとる」と。 助けてくれた恩人にそんな失礼なことをといさめてみたけれど、どうたしなめたって止められるもんじゃない。 1週間の入院がそれはそれは辛かったと愚痴が止まらない母を、父と2人で慰め続けた。 しかしその前に、実家ではもう