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フリーライターの率直なハナシ[お金編]② 「見積もりください」と言われて焦ったときは

 WEBライターを始めた頃、フリーランスの仕事は最初から価格が決まっているものだと思い込んでいた。店に並んでいる商品みたいに。
 だから初めて「見積もりください」と言われたときは、ぽかんと口を開けてたんじゃないだろうか。

 でも、先方は返事を待っている。何か答えないとならない。それも、今日中に。
 さあ、どうする?!
 てな状況で目の前がぐるぐるしてました。

 あなたならどうしますか?
 今まで、どう対応してきましたか?

何と返せば良いか分からないときは

 見積もりを依頼してきたのは、クラウドワークスでご縁があった会社。
「せっかく知り合ったので仰倉さんにお願いしたいのだけど、この仕事、いくらでやってもらえますか?」と連絡をいただいたのです。

 その頃は、もっと幅広く仕事ができるライターになりたくて未経験の案件にもどんどん応募していて。その依頼も、実績が作れていない取材込みのライティングでした。

 とにかく大慌てで「平均価格はいくらだ?!」ってググってみたのですが、ライティングの仕事に平均価格なんてそもそもないようなもので、参考になりそうなものを見つけられず。
 結局、クライアントに尋ねることにしました。

「御社の規定はどうなっていますか?」って。

 そう。分からなければ、怖がらずに相手に聞いて良いんです。ライターに発注した経験がある会社なら、比較できる過去例を教えてくれるから。
 そのときのクライアントも、クラウド系で発注した過去事例から大体の金額を教えてくれました。それを参考に、自分の経験なら妥当と思える価格を相談させてもらって、無事に受注ができました。

 参考までに、そのときの依頼内容を書いておきましょうか。

[自社ホームページ用の取材記事作成]
インタビュー約1時間
文字数:約5000字〜
校正回数に制限なし、最終確認はクライアントが行う
報酬:10,000円

 今は同様の内容だと、おおよそ倍額(交通費別途)でお受けしてます(追記:2024年現在は、ジャンルにもよりますが、同量で大体30,000円〜50,000円でお話させていただいています)。
 エリアや媒体、ライターの経験や売れっ子具合によってピンキリで価格が変わるので、あくまで "地方ライターで未経験時" の参考価格だと思ってくださいね。

 もしも質問しづらいようなら、次↓の返し方をどうぞ!

他の人の見積額を参考にする

 フリーライター仲間に聞いたり、ネット上で調べたりする方法です。
 他の人の相場感を見て、いろいろな状況を見て、納得できる価格帯を探してみるのです。
 たくさんの事例を知ると、自分の記事単価が安いかそうでないかが、なんとなく見えてきたりします。見積もりを依頼されなくても、一度やってみると良いですよ!

 私が一番びっくりしたのは、先ほどと近い条件で、「最低3万円、それ以下なら断る」と言った若いライターさんがいたことです。
 キャリアも十分ある人でした。経験を積めばそこまでアップできるのか!と、初心者だった私はため息が出ましたよ。。

 地方のライターだからとか、キャリアが足りないからとか、そんな理由で「自分には手が届かない額だ」とか、思わないほうが良いです。絶対。
 ダメだと思ったら本当にダメになるから。
 もし憧れのライターがいるなら、その人の単価を目標にしても良いでしょう。すぐに同レベルに追いつくことは難しくても、単価アップを目指す励みになります。

 少し話がそれますが、安い案件ばかり発注するクライアントは、おそらくライターにそこまで期待していないはず。
 そこで繰り返し書いていても、成長のヒントはなかなか掴めないかもしれません。

 単価を上げるためにはキャリアアップも必要ですよね。怖がらずに「ちょっと高いな」と感じる案件にチャレンジすることで、自分自身の仕事を客観視する目も養えるし、責任感も育ちます。

 高額案件のプレッシャーは、自分を鍛える大切な要素。
 しっかりした額で発注する企業の担当さんほど対応がきちんとしていて暴言を吐いたりしないので、「この人に認められたい!」という思いが湧いて、自分でも気づけなかった隠れたパワーを発揮できたりすることも結構あります♪
(暴言吐かれた経験もあります〜。この話はまた機会があれば…^^)

 やってみたい!と思える仕事と出会ったら、臆せず手をあげて「やらせてください!」と言ってみましょう。

他の人の見積額が参考にならなければ、一度「時給」で考えてみよう

 これは単価が低いときに、特に有効なやり方だと思います。
 1文字単位いくらのコラムをメインに書いていたときに教えられて私もやってみたのですが……いや、良い参考になりました。
「このままじゃダメだ!」って本気で思えましたから(笑)

 前回も書きましたが、時給の最低単価が毎年発表されています。
 ご自身の地域の相場をチェックしたい方はこちら。
「令和3年度地域別最低賃金改定状況」厚生労働省ホームページ

 まずは一件あたりの時給を換算して、住んでいる地域の最低賃金をクリアしているかどうかを確かめましょう。

 やり方は簡単。仕事を受けたら、準備にかかった時間と記事作成にかかった時間を全部メモしておく。電話やメール対応にかかった時間も、おおよそで良いので含めておく。取材があったら、その移動時間も。
 納品が完了したら、かかった時間を全て足して、「単価➗総時間」で計算します。出てきた数字が、その案件の時給、というわけ。

 ちなみに、「自分が欲しいと思う時給を設定して、それに見合う仕事を選ぶ」という手法もあります。
 見積もりで希望価格を提示できるようになるためには、「最低賃金」と「目標価格」の両方を把握しておくと、自分なりに納得できる単価を弾き出しやすくなりますよ!

 自宅から一歩も出ずに記事を書く人を、一部では「こたつライター」なんて呼んでますよね。「自宅でちょこっと調べりゃ書けるんだろ?ライターってラクそうな仕事だな」なんて悪意ある言い方をTwitterで見たことも一度ではなく。
 いやいや、そんなわけないじゃん!て毎回突っ込んでます。

 文章を書くためには、下調べをしたり資料を集めたりして、情報をインプットしなければなりませんよね。それも大切な仕事。
 だから報酬計算には、執筆時間だけでなく、調査や資料集め、事務処理に費やした時間も全て計上するのです。


 書くスピードをアップして単価を上げる、というやり方もありますが、スピードだけ上げるとどこかが雑になったりする(私が不器用なだけ…?)ので、丁寧に仕事をするために単価を上げたいと考えて、私なりにここまでやってきました。

 何も知らない人が言う「自宅で仕事する=ラクしてる」図式を、自分に当てはめてはいけません。自分の仕事に対する認識が低いと、単価を上げること自体が難しくなっていくから要注意!
 これはフリーランスの鉄則だと、私自身、肝に銘じています。

 さて、時として変化球を投げられることもあります。
 そんな時にはどう答えたら良いのでしょうか?

「予算がないから見積もりください」は、要注意

 これはわりとよくあるケース。でもこの変化球、なかなか侮れないんですよ・・・。

 なぜ難しいかと言えば、予算がない「から」、見積もりをくれと言われた時点で、自動的に「安めの金額しか出せない」と思い込みやすいのです。
 良い人ほど、こう言われると気を使って一生懸命考えたりしちゃうんですよね。

 このケースへの対応で、私が正しいと思っているのはたったひとつ。
 通常の単価を提示すること、です。

 そのうえで「この価格では厳しいですか?」と尋ねてみましょう。このやり取りがひとつあるだけで、相手がどれくらいの価格を希望しているのかが分かります。
 こう尋ねて返信して来なかったお相手とは、残念ながらお仕事の縁が切れました。

 逆に、このやり取りでお互いの希望額をすり合わせることができたクライアントとは、それまでよりも話がしやすくなった感じがあります。
 さまざまなシーンで話し合いができる相手だと、お互いに認識できたのかもしれません。

 交渉ごとって気が引けて、「相手の想定より高い価格を提示したら、次から仕事もらえないかも」と不安になる人もいるでしょう。私もそうでした。
 でも、「安価なライター」と認定されて、一番困るのは自分です。
 ここは思い切って堂々と伝えましょう。

 もちろん、日頃お世話になっていて通常単価を把握しているクライアントからの相談なら、交渉なしで引き受けても良いと思います。
 私も、担当者さんが困っている時に、恩返しの気持ちで快くお受けすることもあるので。

基準の額が設定できたら、そこから下げない!

 ライティングの価格は案件ごと、クライアントごと、また媒体や地域性によってまちまちです。だから全国平均値が出しづらい。

 ライティングで一定の収入を確保したいなら、まずは最低基準の価格を把握すること。基準価格が掴めたら、次は絶対にそこから単価を下げないこと。
 スキルアップして一件でも単価を上げられたら、同じ価格帯の仕事を探しましょう。
 その繰り返しで、じわじわと底上げしていくのです。

 全体の価格が安定していれば、ここまで考えなくても良いはずなんですが。それはまだまだ理想の世界なのかもしれないから、見積もりには自覚をもって向き合いたいと思います。私が不当に安く仕事をして、ライターの価値を下げないように。

 もしも「見積もり出して」と言われても、まずは焦らず深呼吸しましょう。
 そして、怖がらず惑わされずに、胸を張って希望の額を提示してみてください。
 もしも断られたら、なぜ断られたのかを考えてみましょう。
 理由はちゃんとあるはずです。
 実績の不足か、お相手の想定額が低くて折り合いがつかなかったのか、他に安く引き受けてくれるライターが見つかったか、などなど。
 理由が確認できればベスト。類似のケースへの対処法が、そこから見えてきます。

金額の交渉がきちんとできるクライアントと仕事をすることを目標にしたほうが、精神的にも落ち着きますよね。

 稼げないからとライターを辞めていく人も少なくないようですが、もし書くことが好きでライターになったのなら、低価格の案件でメンタルを削がれてしまうのはもったいないです!
 良い形で続けていけるよう、道を整備して行きましょう!


 だいぶ長くなってしまいました。
 最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!

 次は[メンタル編]の1回目です。
 仕事でメンタルをやられないために私が気をつけていることなど、つらつらと書いてみたいと思います。

 仕事の合間に少しずつ書いているので、次ものんびりとお待ちくださいね〜^^

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