W杯で日本を応援してくれる中国の人たち
中国人が日本に敵対的だと思っている日本人は、残念ながら少なくない。しかしそれは、私の知る中国の普通の人たちの印象とあまりに違う。中国人に対して悪い印象を持つ人の中には、生の中国人と語った経験はなく、日々目にする嫌な政治のニュースに影響され、政治と市民を一緒にしてステレオタイプのイメージを持っている人も多いかもしれない。
今日本中を熱くしているサッカーW杯カタール大会。
中国では、多くのサッカーファンが日本のプレーを絶賛しているらしい。
かつて仕事でお世話になった中国人の友人は、ずっと日本を応援してくれている。ドイツ戦では、なんと、海を越えて一緒にテレビ観戦をしようかと言ってくれたので驚いた。
スマホのビデオ通話でつなぎながら、一緒に、それぞれのテレビ中継を見る。なぜか時差があって30秒ぐらいこちらの方が早く、どうなったかを私が先に知ってしまうので、へんてこりんな感じになったが、日本のプレーに熱くなり、勝利をものすごく喜んでくれて感激した。果たして私は逆のことをしてあげたことがあっただろうか。
実は彼が日本と関係があったから、というだけではない。中国の人たちは日本のサッカーをリスペクトする人が多いようだ。
もう何年も前、私が北京で視たCCTVスポーツの討論番組。テーマは「中国のサッカーはなぜだめなのか。日本サッカーに学ぶ」。参加した関係者や、サッカー好きの市民が日本サッカーのすごさを熱く、楽しそうに語る。そして、なぜ中国はこんなにサッカー愛好者も多く人口も多いのに、世界では弱小なのか、と、真剣に討論をしていた。サッカー界の腐敗を批判する声も多かった。
今回のW杯カタール大会でも日本の快進撃を絶賛する中国人も多いらしい。ネットでは、日本のサッカーは「亚洲之光yàzhōu zhī guāng(=アジアの光)」だとか、「足球老大哥 zúqiú lǎodàgē(=サッカーの兄貴分)」だとかいう言葉がよく飛び交っている。
ネット上で見つけた日本サッカーを分析する以下の記事。タイトルは「菊与刀,日本足球奇迹的背后 (”菊と刀”--日本サッカー奇跡の背景)
記事の最後には、このような一言も。
民族とか国とか出てくると、違和感があり嫌になってしまうが、やはり、私が見たテレビ討論会と同じ論調で、中国サッカーはなぜだめなのか(ちなみにFIFAランキングは世界79位)、日本から何を学ぶか、という視点のようだ。
ただ、サッカー好きの普通の中国人は、誰も民族性とか国家とか思っちゃいない。「日本すごいね!」と純粋に言ってくれているだけなのだ!
最後に少し、中国語の勉強を。
森保監督。サッカーの「監督」はなんと言うのかと思ったら、「監督」ではなくて、主教练(zhǔjiàoliàn)と言うそうだ。教練は「コーチ」。
また、レッドカードは「红牌=hóngpái」 「黄牌=huángpái」ゴールキーパーは「守门员=shǒuményuán」・・・などなど。
W杯をきっかけにサッカー中国語を覚えるのも面白そうだ。私も全然知らない。勉強してみよう!
ちなみに、三笘選手のスーパープレーをめぐる判定は「1.88mm奇迹(=1.88mmの奇跡)」として中国でも話題に。その有効性が証明されたと報じられ、純粋に「すげえ!」という論調だったみだいだ。
中国の話となると、いつもロックダウンだ、領海侵犯だ、言論封殺だ、とそんな話ばかりだけれど、同じ普通の市民同士、スポーツを見て単純に「おー、すげえ!」「おめでとう」と言い合える人の数が多くなることは、きっとよいことだ。と、信じている。
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本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
AJ 😀
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