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きむちの創作

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私のきまぐれな創作をあつめたものです。
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#恋愛

短編過去作「桃色のチューリップ」④

短編過去作「桃色のチューリップ」④

 それから数ヶ月、私達はそれぞれ変わらず忙しい日常を過ごした。彼女は顧客の対応で前より忙しくなり、休憩時間をずらすことも多かったけど、お互い時間が合う時には必ず一緒にお昼ご飯を食べた。

私はプライベートの時間も充実させ、なんだかんだずっと引きずっていた元彼への未練を思い出として浄化することにも成功した。例えば、趣味である読書にとことんのめり込んだ。それから色々な美術館に出向いて沢山の芸術に触れた

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短編過去作「桃色のチューリップ」③

短編過去作「桃色のチューリップ」③

忙しい毎日を送っている間に季節は過ぎ、あっという間にライブ前日の金曜日がやってきた。私は、ウキウキとした気分で出勤し、今日のタスクを確認する。今日は、まず昨日終わらなかったバグ修正を午前中までに終わらせて、新しく任せられたテスト作業に取りかかり始めよう。午前中はいつもより頭がすっきりしていて、集中できた。12時のお昼休憩を知らせるメロディが鳴り始める。

 「おつかれ~」

いつもちょこちょこと歩

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短編過去作「桃色のチューリップ」②

短編過去作「桃色のチューリップ」②

後日、職場のお手洗いで偶然彼女と鉢合わせた。今日は桃色のブラウスだ。チューリップみたいな彼女によく似合っている。私は早速、重要情報について聞きだそうと話しかける。

 「おつかれ。あ、ねえ、どうだった?当落」
 「それがさ~、私全落ちだった。宮田さんは?」
 「私もー。まあ、人気の証だよね。今回は仕方ないね」

二人でちょっと落ち込んだ気分になりながらお手洗いを出た。

 「じゃ、切り替えてこの後

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短編過去作「桃色のチューリップ」①

短編過去作「桃色のチューリップ」①

 「宮田さん~、おつかれさま。今日も一緒にご飯食べれる~?」
 「あ、うん。これだけやったら休憩室行くね。先に行っててー」
 「おっけ~」

彼女と私の毎日のやりとり。今年から新卒でIT企業に同期入社した私達は、唯一拠点が同じである同期仲間ということもあり、毎日のように一緒に昼食をとる。

彼女は、今日もなんだかふわふわと天然な空気を放っていて、仕事で張り詰めていた私はふっと癒やされる。私とは部署

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「ま、人生どう転んでも」 創作

「ま、人生どう転んでも」 創作

「じゃ、俺が帰国したら住処提供してよ」
「は、どういうこと?」
「家賃半分払うから、一緒に住まわせて」
「ぬぬ。家賃はんぶん・・・それは大きいかも」
「ま、前向きに検討でよろしく」

 高校の時に付き合っていた元彼であり、ダチ。
お互い恋人がいない時には、たまに電話をしたり、ご飯に行ったりしている。ぶっ飛んだ話もできるし、何気ない悩みも吐き出せるから都合がいい。お互いに恋愛感情はないけど、ないから

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